第537話 最後の変身

〈Soulking〉『大魔王楽しみだねー^^』

〈Jack〉『煽ってるーーーーw』


 ぴょんの登場からがやついたが、待望のリダの登場に俺の安堵感はMAX。

 そんなリダにジャックの言う通り、嫁キングが分かりやすい煽りをいれるが、楽しみという点ではきっとみんなも思ってる。

 そんな期待を受けたリダは——


〈Gen〉『ついに俺の真の姿が解放される・・・!』


 煽りや期待に怯むことなく、ノリノリな反応を見せてくる。


〈Pyonkichi〉『な、なんだと・・・大魔王がついに降臨だと・・・!?』

〈Pyonkichi〉『お誂え向きにヒーローの出番ってことじゃねぇか・・・!』

〈Pyonkichi〉『みんな!ここはあたしに任せろ!』

〈Yume〉『きゃ〜たすけて〜』

〈Senkan〉『にげろー』

〈Zero〉『いや、せめてヒーローの後ろにいけやっ』


 そしてノリノリなリダとノリノリで乗る賑やかしヒーローに、文字だけで棒読みが見える二人組。いや、乗っかってやってるだけ優しいとも言えるのだが、なぜかゆめも大和も俺の背後にやってきた。

 なんでやねん! ヒーローは俺じゃないだろ!


〈Yukimura〉『でもヒーロー小さいですし』

〈Hitotsu〉『かくれろーw』


 そしてなぜかゆめや大和に続いて、ゆきむらも真実も、そして無言でだい、ロキロキも俺の後ろに回ってくる。

 それはさながらドラ◯エのパーティのような縦一列だったのだが、俺含めて7人だから、これ後ろ3人は馬車じゃんな!

 それに〈Senkan〉は〈Zero〉よりデカいんだから隠れられてねぇからな!?


 とまぁ、そんなこんなでワイルドな獣人姿のリダと向き合うように、正面に小人族のヒーローぴょん。その左に俺の列、その構図を見守るように嫁キングとジャックが並ぶ中、ついに——


〈Gen〉『我が真の姿に畏れ慄くがいい!!』


 〈Gen〉がトランスポーションを使用した。


 そのセリフとログの後、光が溢れ——


〈Gen〉『はーっはっはっはっ!!!』


 高笑いが響き渡り——


〈Soulking〉『はぁ』

〈Pyonkichi〉『あー・・・』

〈Yume〉『ん〜・・・』

〈Senkan〉『まぁ、うん』

〈Jack〉『みんなーーーーw』


 広がるため息というか、上がっていたテンションがフリーフォールの如く急降下。

 でも正直、その気持ちは分からなくもなく——


〈Yukimura〉『魔王、ですか?』

〈Hitotsu〉『魔王、なんですよね・・・』

〈Daikon〉『ちょっと事前に上げすぎてたかもね』

〈Loki〉『あ、でもけっこう珍しいタイプかもっす!』

〈Zero〉『ロキロキそれはフォローじゃねぇw』


 続けられたログもやはり盛り上がるものではなし。

 そんな流れに——


〈Gen〉『え、出オチ扱い!?』


 さしものリダ……ならぬ魔王もその反応にはガッカリな感じを見せたけど、ねぇ。

 これは俺でもちょっとフォローし切れない。

 だって——


〈Soulking〉『本物の可愛いの前に中途半端な可愛いできても意味ねーよ^^』

〈Jack〉『優しさ0ーーーーw』

〈Daikon〉『でもちょっと予想してたわよね』

〈Yume〉『うん〜。言葉の裏をかくとか、想像つきすぎるからやらないと思った〜』

〈Gen〉『ふぐっ!?』


 大ダメージを受けているのが間違いないリダの新たな姿は……小人族だったのだから。

 いや、俺もちょっと考えた。

 これだけ大見得切って、蓋を開けたら言葉を裏切る小人族にするのかもって。

 でもそれは想像の範疇だったから、さすがにやらないだろうとも思っていた。

 だが……。


〈Pyonkichi〉『あ、女小人か?』

〈Loki〉『おかっぱタイプの髪型って、あんまいないっすよね』

〈Yukimura〉『でも魔王感ないですけど』

〈Yume〉『むしろ序盤の村にいるNPCって感じ?』

〈Hitotsu〉『平和そうですね』

〈Soulking〉『おいこのリアクションだけど、こんだけ待たせた責任取れんのか^^』

〈Jack〉『ごめんリダこれはかばえないーーーーw』

〈Gen〉『ぴえん;;』

〈Yume〉『可愛くな〜い』

〈Gen〉『Σ(゚д゚lll)』

〈Daikon〉『可愛くない』

〈Gen〉『(;ω;)』

〈Yukimura〉『お疲れ様でした』

〈Senkan〉『見事なトドメ!!w』


 まぁ、そういうことである。

 

 ずっと魔王魔王言っていて、蓋を開ければむしろNPCかと思うようなおかっぱ頭の小人族の女の子。さらに小人族の中でも無邪気な子ども系の見た目。

 これが魔王のくだりなく、1番手での変身だったならばきっと今までのリダとのギャップから、みんなも盛り上がってツッコんだだろうけど、盛り上げに盛り上げてのこれだからな。

 まぁ、自業自得って言えば自業自得なんだけど。


〈Gen〉『次は負けない!!』

〈Soulking〉『期待してるね^^』


 そして、自ら変身の効果を切ったのだろう、リダの姿が見慣れた獣人姿へ元通り。

 30万リブラのアイテム、たった数分でさようなら。


 でもま、リダは盾だしな。デカい方がいいだろう。


〈Pyonkichi〉『成敗完了!』

〈Senkan〉『なんもしてねぇだろw』

〈Yume〉『でもリダはその姿がいいよ☆』

〈Gen〉『次こそは!w』

〈Soulking〉『期待している^^』


 そんなこれが、今回のオチ。

 でもほら、この時間のおかげでいよいよみんなのPvPの準備が整ったわけだからな。

 場繋ぎとしては無問題だろう。

 まだ時間も、22時10分くらいだし——


〈Gen〉『じゃあ、チーム分けして戦うか!w』


 見事に切り替えて発してくれた期待通り言葉に、俺は小さく拳を握りしめたのだった。

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