第484話 衝撃の助っ人
〈Reppy〉『っつーわけで交代すっわー』
〈Richard〉『おう、おつかれ!w』
〈Zero〉『待て待て待て待て!!!』
〈Zero〉『え、なんで?知り合い?いや待て
レッピー!』
〈Reppy〉『んだよ?もう夜遅いんだぞ?夜更かしは美容の敵なんだぞ?』
〈Zero〉『お前の昨日の運勢と同じくらいどうでもいいボケやめい!』
〈Zero〉『え、ていうかどんな人選したらここでリチャードさんが来るんだよ!?』
〈Richard〉『あれ?邪魔だった?w』
〈Zero〉『いやいや!』
〈Reppy〉『人にスカウト頼んどいて、ひどいやつだなー』
〈Zero〉『頼んではねぇよ!?』
〈Reppy〉『ま、俺より強いファイターなのは真実だから、いいべ』
〈Zero〉『何その階段だるかったからエレベーターでいきなり最高層階行きましたみたいな話!?』
〈Reppy〉『神羅ビルかよw』
〈Zero〉『あれは戦略的判断だ!』
〈Richard〉『すげぇなwツッコミちゃんとしてんなw』
〈Zero〉『やかましい!』
〈Zero〉『ってああ!すみません!!』
〈Zero〉『頭文字Rで空目った・・・!』
〈Richard〉『www』
〈Reppy〉『失礼な奴だなー』
〈Reppy〉『とりあえず、リチャさんの強さなんか説明不要だろ?』
〈Reppy〉『さくっとお前の作戦が正しかったこと証明してこいや』
〈Reppy〉『そしたらリチャさんがお前の作戦の正しさを広めてくれるだろうしさ』
〈Zero〉『え』
〈Reppy〉『Adiós, amigo☆』
嵐のような会話を巻き起こしながら、パーティリーダーを俺に戻した直後、レッピーは消えた。
いや、もちろんキャラクターは俺たちのすぐ近くにいるままで、
そして呆然とした気持ちで、俺は代わりに加わった名前を眺めていた。
……マジかよ。
浮かぶ思いは、色々あった。
第一に浮かぶのはまず疑問。レッピーとリチャードさんが知り合いなのはもうこの際置いておくとして、何故来てくれたのかということだ。
だってこの人、自分の入ってるギルドがあるはずなんだから。
そして次に浮かぶのは、この話をあいつが知っているのかどうか。
〈Richard〉と言えばLAプレイヤーなら知らぬ者はいないレベルの、最強ファイターだ。
【Vinchitore】の看板の一人にして、ジャックより古株の、ルチアーノさんの右腕たる最古参メンバー。
そしてそのギルドには、あいつがいる。
俺の話がどう伝わっているのか知らないが、正直【Vinchitore】の人とはあまり関わりたくないのが、俺の思っているところなのだ。
もちろんレッピーからすればそんなこと知ったこっちゃないわけなんだけど……。
だが——
〈Daikon〉『よろしくお願いします』
〈Richard〉『おう!w』
〈Zero〉『軽っ!?』
俺のごちゃごちゃした考えに短剣一突きと、うだうだした思いを突き壊すように、だいの一言で3人パーティ内に会話が生まれた。
こうなってはもう引くことは出来ない……!
〈Zero〉『リチャードさん、レッピーの知り合いだったんすね』
〈Richard〉『おうよ。でもフレンドってわけでもないんだけど、なんかアタッカー関連のこと色々質問してくる知り合いって感じなんだよなw』
〈Zero〉『は、はぁ・・・』
〈Richard〉『ま、俺は大剣と斧と槍なら誰にも負けない自負があっから、質問されるのは嫌いじゃないしw』
〈Zero〉『優しいんですねー』
〈Richard〉『おいおい、これでも一応攻略サイトやってるギルドの幹部だぜ?聞かれたら答えるなんて当たり前だろうよw』
〈Richard〉『というか、幹部に限らずみんなそうすべしって、ルチアーノの方針でもあるからな。そこが俺があいつに付き合ってる理由でもあるし』
〈Zero〉『そうだったんですね』
〈Richard〉『ゼロさんと関わりの深いジャックとかセシルとかだって、そうだろ?』
〈Zero〉『え、あー・・・まぁ、そうですね、たしかに』
だいの挨拶をきっかけとして、俺とリチャードさんの間にちょっとした会話が生まれた。
その会話の中で【Vinchitore】がいいギルドだってのが改めて伝わったが、会話の中で出された名前に俺は思わず言い淀む。
その名前は、中の人まで知りすぎているその名前は、俺がここ最近意図的に頭の中でも呼ぼうとしなかった名前だったから。
だが——
〈Daikon〉『セシルさんは元気ですか?』
ちょっ!?
俺が明らかに困惑した名前を、これまでずっと静寂を保っていただいが口にする。
そのまさかの発言に俺は危うく椅子から落ちそうになりかけるほど焦ったのだが——
〈Richard〉『だいこんさんも知り合いなのか!』
〈Richard〉『でもなー、あれだけガンナー大好きだったのに、最近あんまりガンナーで動いてねーんだよな』
〈Zero〉『え』
返ってきた言葉にも、俺は驚きを隠せなかったのだが——
〈Richard〉『とはいえ、普通にインはして活動してるし、昨日からは流石にガンナーやってるよw』
〈Richard〉『今もガンナー有りで倒せなくてジタバタしてたとこだしなw』
〈Zero〉『あー・・・w』
やはり根っこの部分が変わったわけではないようで、なんだか少し安心した。安心してしまった。
しかし、俺がそんな気持ちに俺がなっていると——
〈Daikon〉『セシルさんも、まだ倒せてないんですね』
〈Richard〉『おうよ。俺はもう欲しいの3つもらったけど、セシルはまだ本命未取得だ』
〈Daikon〉『つまり、私たちが倒せればこのサーバー初のガンナー有り編成の勝利ですよね』
〈Richard〉『おそらくなw』
〈Daikon〉>〈Zero〉『だって』
まるで俺の本気を引き出そうとするかのように、だいがリチャードさんと会話する。
最後の言葉だけ個別チャットなのがだいらしい。
〈Richard〉『そもそもレッピーから「ガンナー有りで勝てそうな編成なんだけど、俺のせいで勝ててないから代わりにやってみてヒントくれ」って言われてんだぜ俺?w』
〈Zero〉『へ?』
〈Richard〉『だからよ、勝ってその編成をうちでもやらせてもらうために、俺はルチアーノたちに許可取って来てんだよw』
〈Richard〉『編成と戦略の公開は、手伝い報酬としてもらうがいいよな?w』
そして明かされた、レッピーがどうやってリチャードさんを誘ったのかと、リチャードさんが来た理由。
なるほど、ね。
〈Zero〉『もちろん。どうぞ世界に広めちゃってくださいよ』
自分で言って、心が弾んだ。
興奮のような、うずうずするような、そんな感覚が胸に湧き上がる。
これはつまり、俺が考え、だいが磨いた戦略が世界の指標になるチャンス。
世界とか流石に大袈裟だし、もちろん名前を売ろうとか、名誉が欲しいとか、そんな気持ちはサラサラない。
ただ単純に、ゲーマーとしての矜持が騒ぐのだ。
誰もが認める最強ガンナーたるあいつより、俺が先に一歩進めるかもしれない。
この気持ちはもう、止められなかった。
〈Zero〉『それじゃ、戦略についてお話しますね』
〈Richard〉『おう、頼む!』
23時31分、俺たちの作戦会議が開始され——
〈Richard〉『了解した!』
そんな威勢のいい発言のあった23時43分、まもなく日が変わりそうなそんな時間、最強のファイターを擁する俺たちの戦いが、幕を開けるのだった。
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