第434話 楽しむ人はそれぞれだから
〈Reppy〉『おつかれさーん』
〈Limon〉『お疲れ様!』
〈Risaco〉『いやぁ、今日も出なかったねー』
〈Yamuimo〉『レッピー運なしー』
〈Lohengrin〉『ドロップ率は神のみぞ知る・・・』
〈Kodama〉『ま、そういうことだなw』
22時42分、狙った報酬は手に入れられなかったが、コンテンツクリアを果たした俺たちは、再び山脈エリアに転送された。
そこでレッピーが絞めの挨拶をするわけだが、【Bonjinkai】のみんながそれに応え、ノードロップを労った。
〈Senkan〉『おつかれっしたー』
〈Zero〉『おつかれ!』
〈Reppy〉『傭兵ご苦労さん!』
そして助っ人の俺たちも自分の手でキーボードを叩き、攻略を共にしたメンバーたちに挨拶するわけだが、俺と大和の
もちろん誰が彼女とは言ってないが、お互いの彼女同士が友達と知った時のみんなの驚きは大きく、そこで俺と大和が
そしてボス戦中はレッピー以外が俺と大和の彼女に話しかけようとしたりするログが飛び交うなどふざけたことも行われた。……まぁ、うちの場合だいがベッドの上に戻ってぴょんと電話をし出したから、そのログは全く以て目に入ってないんだけど。
あ、ちなみに二人の電話はボス戦に38分となかなかの時間を要したけど、まだ続いているからね。
今も楽しそうに「そうなんだ」とか「そうなの?」とか「そうなんだね」とかだいはずっと相槌を打ってるぞ。……うん、だいもなんか話題振りなさい。
〈Limon〉『それではお二方とも彼女さんとお幸せにっ!』
〈Risaco〉『若いっていいねーw』
〈Kodama〉『だな!w』
〈Kodama〉『ネタ的にせんかんは俺と同じくらいかと思ってたけど、そんな悪戯する彼女ならもっと若いんだろうなw』
〈Yamuimo〉『え、こじまさんリアルいくつなん?』
〈Kodama〉『こだまだよ!wちなみに47』
〈Yamuimo〉『そうなんかー』
〈Lohengrin〉『48-1』
〈Risaco〉『お? なんだよローエンは48好きかー?w』
〈Limon〉『え、私握手会行ったことあるよ!w』
〈Yamuimo〉『俺は剥がしの仕事したことあるよー』
〈Lohengrin〉『何だと!?』
〈Reppy〉『はいはい、その手の話はギルドチャットでやってろっつーの』
そんなレッピーの言葉の後、急に他のメンバーがパーティメンバーから消えたから、きっとレッピーがパーティから
でも俺も大和も二人ともキーボードを乗っ取られるというまず聞かない出来事があったっていうのに、それを笑い飛ばしてネタに出来るのは、ここのメンバーの人がいいからに他ならない。
レッピーと出会った【Natureless】とか、昔だいと一緒に所属した【Mocomococlub】だったら、間違いなくちゃんとやれって怒られただろうし。
〈Senkan〉『いいギルドっすねw』
そんな流れを受け、本物の大和がそう言うと。
〈Reppy〉『ま、このゲーム好きな奴しかいねーからな』
と、きっと画面の向こうでは照れてるだろうなってログが、レッピーから返ってきた。
でも俺も前から思ってたが、その点については大和に同感。
そんな風にいいパーティだったなぁという満足感を抱いていると。
〈Reppy〉『しかしあれか? せんかんの彼女も【Teachers】か?w』
突如レッピーからなかなかの言葉がぶっ込まれた。その切り込みに、俺は危うく噴き出しかける。
あぶねぇ!
〈Senkan〉『おっつwそこまで予想されてんの?w』
〈Senkan〉『ゼロやんのせいかー?w』
〈Zero〉『いや、俺は何も言ってねーよ!?』
〈Reppy〉『昨日は修羅場だったのにかー?w』
〈Reppy〉『まぁ仲直りはしたみたいだけどな!』
大和に今更ゼロやんと言われるむず痒さを感じながら、俺は露骨ないじりを見せるレッピーに何と言い返すか言葉を探すが、なかなか反撃のワードが浮かばない。
そうこうしているうちに大和が。
〈Senkan〉『その修羅場ってのは気になるが』
〈Senkan〉『俺に関してはお察しの通り、俺の彼女も会話に乱入してきたのも【Teachers】の一員だよw』
〈Senkan〉『家でじっとしてらんなかったみたいでさ、ここぞとばかりにふざけたこと聞かせちまって悪かったw』
と、早くもレッピーと打ち解けた感を出して説明をしてくれた。
なんだかんだ大和もコミュ力は高いよな。
〈Reppy〉『おふざけ大いに結構さ』
〈Reppy〉『ここは好きなこと言って、好きなこと出来る
〈Senkan〉『そう言ってくれると助かるよw』
〈Senkan〉『なかなか悪戯好きな彼女でなw』
〈Reppy〉『モーマンタイモーマンタイ』
〈Reppy〉『変に
〈Senkan〉『あー。そいつはたしかにw』
〈Reppy〉『うちのローエンだって、リアルであんな話し方してたら浮くだろうけど、この世界ではあれが〈Lohengrin〉でそれ以上でも以下でもない』
〈Reppy〉『この中じゃリアルなんか関係ないから、勝手に楽しんだ者勝ちなのさ』
〈Reppy〉『だからせんかんたちも好きなようにやればいいさ。その自由がこの世界にはあんだからよ』
そして大和とレッピーの会話の中で、ビシバシとレッピーの正論が届く。
ほんとこいつ、たまーにこんな感じで核心を突くようなこと言うんだよな……。
〈Senkan〉『たしかにそうだな。恩に着るぜw』
〈Reppy〉『おうよ』
〈Zero〉『いいこと言うなぁw』
〈Reppy〉『どっかの誰かさんとは違うからなー』
〈Reppy〉『俺の徳の高さを思い知ったか^^』
〈Zero〉『うざwww』
前言撤回!
やはりレッピーはレッピーだ。
……まぁ、でも、勝手に楽しんだ者勝ちっていうのは、たしかに間違ってないだろう。
その言葉は、なんだかレッピーから俺にも届けられたような、そんな気がした。
それと同時に浮かぶ、レッピーはレッピーだなっていう感覚。
こいつがリアル女だろうがなんだろうが、LAの中じゃ細目の猫耳獣人〈Reppy〉なのが真実で、それ以上でも以下でもない。
うん、これからもこいつは変わらず俺のフレンドなのだ。
〈Reppy〉『じゃ、また機会あったら手伝いよろー』
〈Senkan〉『おうよ!俺も楽しかったぜ!』
〈Zero〉『ほいほい。こっちもまた適当に声かけるわノシ』
そんなこんなで、不意に発生した俺たちの傭兵任務は無事終了。
その後俺たちは近くに残っていた、パーティチャットが出来なくなった奴らに手を振るモーションをしてから、それぞれホームタウンに戻るのだった。
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