第430話 旧友の仲間たち

〈Reppy〉『よく集まったな野郎共!』

〈Reppy〉『今日の傭兵は恒例のゼロやんと、その仲間のせんかんだ!さっさと倒して、俺に錫杖を献上せよ!』


 パーティメンバーが揃ったところで始まったレッピーの口上は、【Bonjinkai】レッピーのギルドらしくないオラオラ系のものだった。


〈Senkan〉『よろしゃっす!』

〈Zero〉『おひさー』


 そんな熱い口上を受け、俺と大和も挨拶を交わす。

 ちなみに挨拶からも分かる通り俺がここのメンツと遊ぶのは初めてではない。


Limonりもん〉『ゼロやんおひさっす!せんかんさん初めまして!』

Lohengrinローエングリン〉『凡人の集いへようこそ』

Yamuimoやむいも〉『お手伝いあざま〜す』

Risacoりさこ〉『ちっすー。いうてレッピーの武器狙いなんだから、あたしらも手伝いなんだけどねー』

Kodamaこだま〉『ガンナー有り楽って聞くから、助かる!』


 と、新キャラオンパレードな感じの挨拶が、俺と大和に対して伝えられる。

 まぁ全部が挨拶じゃないにしても、今日来ているのは【Bonjinkai】の大部分のメンバーのようだった。

 もちろんこのメンバーも、俺は全員話したことがあるくらいには、顔見知り。

 なんだったらレッピーの手伝いで顔合わせすぎて、【Bonjinkai】古参の〈Limon〉こと、りもちゃんと、〈Risaco〉こと、りさこ、〈Kodama〉こと、こじまさんとはフレンド登録までしてあるからな。


〈Reppy〉『ま、積もる挨拶はいーよ別に。とりあえず、ちゃちゃっと狩り行こうぜー。せんかんも当然初じゃないんだべ?』

〈Senkan〉『おうよ。イムフル持ちだぜ』

〈Yamuimo〉『おー。さすがゼロやんとこのメンバーだなー』

〈Risaco〉『スキルもカンスト?』

〈Senkan〉『いやいやw言うて俺、今年の夏からの復帰勢だからw300ちょいよw』

〈Limon〉『復帰勢でイムフル持ち!?さすがゼロやんのとこのメンバーっすね!』

〈Kodama〉『うちの武器持ちなんてレッピーとりもちゃんとりさこしかいねぇのにw』

〈Yamuimo〉『ま〜こうやって傭兵さん来ないとなかなか勝てないしね〜』

〈Reppy〉『ま、そこは俺らのペースでいいんだよ。ガツガツやりたいならやればいいさ』


 道中俺たちはのんびり会話もしながら、まずはコンテンツ開始場所である山脈エリアを目指してレッピーの指示通りに移動を開始した。

 その中でいろんな会話があったわけだけど、まず出てきた固有名詞のイムフルはキングサウルスが落とす格闘武器のことで、ステータス上昇は現状最高で、とりわけ防御性能のアップが著しいのが特徴の武器である。そういう点では火力全振りの特殊格闘武器であるサハブラブジャヤとは棲み分けがされてるってことなんだろうな。

 もちろん、イムフルだって攻撃も強いわけなんだがね。

 しかし最後のレッピーの発言こそがまさに【Bonjinkai】を代表する言葉だろう。

 ガツガツせず、ゆったりマイペース。レッピーの柄は悪いが、それをみんなが受け入れている、居心地の良さそうなギルドだと思う。

 まぁ俺はレッピーの下にはつきたくないけどな!


「いい雰囲気だよね、いつも思うけど」

「だな」


 そんな俺の思いと同調したのか、俺とともに割と面識あるメンバーが多いだいが、俺の考えを代弁してくれた。

 いやぁ、やはり思うことは同じってあたり、嬉しいね。


〈Zero〉『じゃあレッピー作戦よろ』

〈Reppy〉『うい』

〈Reppy〉『よく聞けよー』

〈Reppy〉『道中の雑魚はスルー。中ボスはりもちゃん固定後せんかんのタックルからいも>ゼロやん>りさこで連携』

〈Reppy〉『2体戦はせんかんキープの槍持ちから撃破』

〈Reppy〉『りもちゃんキープのは俺とりもちゃんでキープする』

〈Reppy〉『ボスはせっかくのガンナー様がいるから、銃ギミック確認したらいも>りさこで連携』

〈Reppy〉『それ以外はせんかんのタックルリキャ毎にいも>りさこ>ゼロやんで連携』

〈Senkan〉『了解!』

〈Yamuimo〉『あいよー』

〈Risaco〉『ほい』

〈Limon〉『うす!』

〈Reppy〉『こじまはりさこのヘイト軽減とアタッカーの支援』

〈Kodama〉『こだまだよ!wでも了解』

〈Reppy〉『ローエンは適宜氷魔法』

〈Lohengrin〉『心得た』

〈Reppy〉『回復は俺がやる』

〈Reppy〉『なんか質問あるかー?』


 念の為に作戦を確認して返ってきた指示は、俺の予想以上に丁寧なものだった。

 うちだったらたぶん、ジャックが全部支えてくれるから、連携の順番だけ言ってあとは雰囲気で、って感じになるけど、この辺の丁寧さも、参加しやすいギルドの要因なんだろうなぁ。


〈Zero〉『1個だけ』

〈Reppy〉『ん?』

〈Zero〉『俺が阻害すると、りもちゃん盾でヘイト稼げないから、こじまさんはりもちゃんにはヘイト上昇魔法よろ』

〈Kodama〉『こだまだよ!wでも了解!』

〈Limon〉『そっか!ガンナーありだとそうなるのか!』

〈Reppy〉『じゃあそれでよろー』


 で、俺のアドバイスをみんな素直に聞き入れ、これで作戦が決定する。

 ちなみに会話からも分かったと思うが、パーティのメイン盾は主人公顔した赤髪ヒュームの少女キャラであるりもちゃんで、槍アタッカーが大人っぽい顔立ちの犬耳獣人りさこ、大剣アタッカーが緑色の髪をした小人族♂のいも、サポーターがややチャラい系の顔をした茶髪ヒューム男のこじまさん、ウィザードがクールな黒髪ダークエルフのローエンだ。

 この中で一番上手くて強いのは、圧倒的にりさこになる。キングサウルスドロップの槍であるクラウ・ソナスを持っている上に、槍スキルキャップだし、なんたって幹部級ではなくとも、2,3年前まで【Vinchitore】のアタッカー部門にいた経歴を持っているからな。DPSは間違いなくこのメンツならりさこが1番だ。

 次いで上手いのがレッピーかりもちゃんだが、りもちゃんは真面目すぎて熱血的なプレイになりがちで、割とよくミスをする。レッピーも、MP管理が割と雑なのが難点だ。

 他のメンバーはみんなそこそこって感じのプレイヤーで、スキルは300もいってないと思うけど、それでも何回か攻略してきてるわけだから、全く下手ってことはない感じ。言われたことは、だいたいできる、っていうのが分かりやすいだろうか。


 全体でみたら、割と自律的に判断して動けるメンバーが多い【Teachers】より明らかに弱いのは確かだ。

 でも、ちゃんと勝つ時は勝ってるところが、【Bonjinkai】の優秀なところだろう。


 じゃあ今日はみんな、どんなプレイを見せてくれるのか。

 レッピーがコンテンツ侵入手続きをし、切り替わっていく画面を見ながら、俺はちょっとワクワクした気持ちを抱くのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る