第395話 平和的奴隷使用
〈Earth〉『あーちゃんもゼロやん奴隷権欲しかったなぁ!』
〈Zero〉『どんまい^^』
〈Earth〉『うわっ、ひど;;』
〈Senkan〉『ちなみにあーすならどんな問題を出したんだ?』
〈Earth〉『んーとね、あーちゃんの可愛いとこ10個答えよ!』
〈Zero〉『ない』
〈Senkan〉『www』
〈Loki〉『でもほんと、一昨日面白かったっすw』
〈Earth〉『行きたかったのにー;;』
〈Senkan〉『傷塩www』
〈Loki〉『あっ!』
〈Zero〉『お、そろそろリポップタイムだぞ』
〈Loki〉『了解っす!』
〈Senkan〉『しっかし、こんな素材集め久々だなー』
〈Earth〉『のんびり話しながらできるのはいいね☆』
〈Zero〉『やー、でもまさかこれが活動になるとは、なんかちょっと申し訳ないけどな』
〈Senkan〉『ま、みんなメイン武器は出揃ったんだし、いいべw』
〈Loki〉『競争だとやる気でますしね!』
〈Zero〉『いや、ロキロキはくもんさんのためだからだろ・・・』
〈Earth〉『え、これくもんさんのためなの!?』
〈Zero〉『今回集めてるアイテム、次のバージョンアップで新アイテムの素材候補って発表されてるやつだし、検証用だろ』
〈Senkan〉『どのくらいの製作スキルで作れるかの検証ってことか』
〈Earth〉『ほえー』
〈Loki〉『さ!行きますよ!』
……と、きっと何してるんだ? って思った人もいるだろうが、俺たちは今海底都市に隣接した海底フィールド、バクラダスの深海にて、俺、大和、あーす、ロキロキでパーティを組み、格下のモンスター狩りを行っている。
何故深海にエリアが存在するのか、プレイヤーが動くことが出来るのか、空中都市以上に仕組みが謎な場所だが、ファンタジーの世界だから、できっと全ては済まされるのだろう。そんな海底エリアはオブジェクトととして魚が泳いでいたり、海藻が揺れたりと美しいグラフィックが特徴で、モンスターもほとんどが水生生物で構成されている。
そんなエリアで今俺たちがせっせと倒しているのは、デッカいヤドカリのようなモンスターで、こいつがやや低確率で落とす素材アイテムを目的にやってきた。ただこのヤドカリ、HPは多くないが殻の中に閉じこもった時はダメージが全然通らず、攻撃しようと殻から出てきた時にタイミングよく攻撃しなければ簡単には倒せないという、やや面倒なモンスターなのである。
〈Loki〉『っし!1個出ました!』
〈Zero〉『しっかし倒すのはえーな・・・』
〈Senkan〉『うむ。ちびっ子なのに』
〈Earth〉『あーちゃんの方が可愛いよ!』
〈Zero〉『聞いてねーよ!』
で、そんなヤドカリを何故倒しているかというと、今日は活動日ではあるのだが、リダと嫁キングから子どもが熱を出したから今日はお休みする、という連絡を受け、みんなやりたいことが思いつかなかったから。
それがどうして素材狩りに? ってなるところだと思うんだけど、みんな何をするか思いつかなかった時に、ぴょんがこの前の奴隷権獲得者に意見を聞いて、ジャックから素材集めを手伝って欲しいとの意見が出たからである。
まぁこれ、より厳密に言えばくもんさんがジャックに時間あったら、ってお願いしたみたいだから、俺たちは元請けの下請けって感じで、今この海底エリアにやってきているのである。
もちろん俺以外は頑張る必要性はないのだが、「メンズVSレディース対決だ!」とかぴょんが言い出したことで、これが全員参加の活動になったのである。
ちなみにレディースチームにはぴょん、ジャック、だい、ゆめ、ゆきむら、真実と6人いるので、数的不利は否めない。
ただまぁ、向こうが行ってる空中庭園の方がモンスターは少し強めだから、そこがバランスの取り所だろうか。
だいと真実、ジャックとゆきむら、ぴょんとゆめの3チームで動いてるみたいだし、ヤドカリの配置エリアは深海エリア全域という点を活かし、効率よく狩るために、俺たちは全員バラバラに散らばっているから、たぶん俺たちの方が効率はいいのだ。
でもなんでみんな姿見えないところにいるのに、パーティになってると会話出来るんだろうな。もちろん「仕様です」って言われたらそこまでなんだけど。
「順調か?」
「そうね、今全員で嘴が7個と鉤爪が3個集まったところ」
「そっちドロップ率高いなー」
「ゼロやんたちは?」
「全員少なくとも10体は倒してると思うけど、俺が1、大和が2、ロキロキが4であーすが0だな。やっぱり俺とあーすの倒す速度がおせぇ」
「銃と弓のソロでヤドカリ狩りなんて、普通しないものね」
「つーか、殻の欠片とかさ、普通に考えて1匹倒したら無限に手に入りそうなのになぁ」
「ゲームなんだから、そんなこと言ったってしょうがないでしょ」
「くそう……俺がLAの中入れたら、絶対粉々に砕いて素材にしてやる……」
「はいはい。アニメみたいなこと言わないの」
メンズチームで分散しての素材狩りをしつつも、俺の背中側にはだいがいるから、こうしてたまに話したりもする。
気心知れた仲間たちと遊びつつ、同じ空間には彼女がいる。何というか、いい時間だなぁ。
〈Senkan〉『ジャックは素材狩りだったけど、ゆめとゆきむらは何命令すんだろなー』
〈Zero〉『あの二人なら持ってない装備もそれなりにあるだろうから、その辺じゃないか?』
〈Loki〉『でもあれっすよね。ゼロさんを時間拘束するって点では、リアルで何かしてもらうのもLAで何かしてもらうのも、変わんなさそうっすよね』
〈Zero〉『は?』
〈Senkan〉『うむ。それは俺も思ったw特にゆきむらなら、その解釈で奴隷権を使ってもいいか、ぴょんに聞いてきそうな気もするw』
〈Earth〉『えー!いいなぁ!』
〈Zero〉『いやいや。リアルで何かするなら交通費とかお金かかる場合あるんだから、流石にそれは・・・どうなんだ?』
〈Senkan〉『でもオフ会の時なら?』
〈Loki〉『そっすよね!その時に何か罰ゲーム的に権利行使するのは、ありな気がするっすね!』
〈Zero〉『君たち他人事だと思って・・・』
〈Earth〉『僕だったら何してもらおうかなー』
〈Zero〉『無駄な妄想すんな!』
と、せっかくだいと話してちょっといい気分だったのに、大和やロキロキが恐ろしいことを言い出すもんですっかり気分がパーである。
リアルでの奴隷権とか、それ日本国憲法違反ですよ? まぁさすがに人権無視したことは言われないだろうけど……ううむ、杞憂に終わることを願う。
なんて、そんなことを思ってるうちにも、狩りは進む。
そして肝心の勝負は、正式な奴隷の俺以上に張り切って狩りを進めてくれたロキロキの善戦虚しく、撃破したモンスター数なら圧勝だろうが、そもそものドロップ率という絶対的な仕様には勝てず、戦いは女性陣チームの勝利で幕を下ろすのだった。
☆
「久々の活動どうだった?」
「いやー、やっぱみんなと遊んでこそだな、LAは」
「こっちもみんな賑やかだったよ。ゆめとゆっきーは、LAでしてもらうこと思いつかないから、オフ会で何かしてもらおうかなって話になってたし」
「ええ!?」
みんなでの活動を終え、土曜の夜の夜更かしスキル上げに臨む前の一休み中、だいが何気なく報告してくれた女性陣の会話内容に俺は思わず声を上げて驚いてしまった。
しかしまさか、さっきのさっきに大和とロキロキが言ってたことがマジに言われていようとは。
「びっくりしすぎよ、もう。……でも、ゆめなら一発芸とか、ゆっきーなら隣に座ってもらうとか、そんな感じじゃないかしら?」
「いやー……そのくらいならいいけど……なんかこえーなー」
「問題に答えられなかったんだから、しょうがないでしょ?」
「いやいや、リダのは無理ゲーとして、だいのは普通に5分じゃ無理だったって……」
「柔軟な発想がなかったせいね」
驚いた俺にだいがクスクス笑いながら俺を茶化すが、まぁ、だいが言った程度の奴隷権ならまだ許容範囲かなぁ。
「再来週までドキドキしてなさいよ」
「いや、心臓疲れちゃうじゃん。その前に大会もあんのに」
「それはそれ、これはこれよ」
「へいへい、頑張りますって」
「じゃ、今からもしっかり頑張ろうね」
「おうよ。さくっと人集めて、行きますか」
「うん、よろしく」
でもまぁ、困ったらだいもきっと助けてくれるだろう。
そんなことを思いながら、俺たちは一休みを終えて、いつものメンバーに声をかけ、26時くらいまでせっせとスキル上げに精を出すのだった。
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