第386話 試される愛③
〈Senkan〉『さてどうすっかなー』
〈Jack〉『けっこうむずいよねーーーーw』
出題者の番が来て、問題に悩む大和。既に出題を終えたジャックは気楽な感じなんだが、そもそも、だ。
〈Zero〉『みんな問題って事前に考えたりしてないのか?』
と、少々気になってたことを俺が何気なしに聞いてみたら。
〈Yume〉『今日やる内容は聞いてたんだけどね〜』
〈Hitotsu〉『例題がなかったから、イメージ作れてなかったんだよー』
〈Loki〉『分かってたのは、トップバッターが嫁キングさんってことだけっす!』
〈Senkan〉『ってことよ。さすがだろ?うちの盛り上げ隊長は』
〈Zero〉『答えてもらってマジかよ、ってならないから、ホントさすがだわ』
聞くまでもなかったな!
しかしさすがぴょん。今日やることの大枠を示しつつ、細かいところは各自へぶん投げの大雑把スタイル。でも、この企画力に何回も楽しませてもらってきたんだし、助けられたりもしてきたから、いまさらそこに対して何かを言うようなつもりもない。
とりあえず、質問は気長に待つのみってことだな。
そう思って、こっそり飲み物でも取りに行こうかと思ったところ。
〈Daikon〉『でもみんな木曜日なのによく集まったね』
〈Jack〉『集まろう自体は、たぶんみんな自然と思ってたんじゃないかなーーーーw』
〈Yukimura〉『そうですね。企画についてはぴょんさんからメッセージをもらいましたが、私は元々来るつもりでした』
〈Loki〉『木曜夜来るよな?って来る前提の聞き方でしたもんね!』
〈Yume〉『そして想像通りにくるゼロやんとだい、素敵だよ〜w』
〈Pyonkichi〉『ちなみにゼロやん戻ってくるだろうから、木曜日何かやらな〜い?ってゆめも言ってました』
〈Yume〉『あ〜、ダメだよ〜。そういうのは口にしちゃうとわたしの尊みが減っちゃう〜』
〈Senkan〉『尊みw』
〈Gen〉『たしかにぴょんなら減らないかw』
〈Pyonkichi〉『おいおいこの天上天下唯我ぴょん尊のあたしになんたる無礼だよ?』
〈Yukimura〉『む?ぴょん尊ではなく唯ぴょんではないですか?』
〈Hitotsu〉『ゆいぴょん』
〈Daikon〉『あ、なんか可愛い』
〈Senkan〉『ゆいぴょん^^』
〈Pyonkichi〉『ひどいこと言われたら泣いちゃうぴょん;;』
〈Yume〉『いやキャラ違うキャラ違う〜w』
だいの発言から始まった会話の流れがくだらなくもちょっと楽しくて、結局飲み物を取りに行けず。
そんなことをしてたら。
〈Senkan〉『よし、じゃあ問題だ!』
〈Jack〉『おーーーーw』
唐突な切り出しが始まったので、結局席を離れられず。まぁしょうがない。さて、大和問題は何だろうな……ある意味こいつも古参だし、古参ならではの問題が来るのだろうか?
そんな気持ちで問題を待つと。
〈Senkan〉『問4:次のメンバーを大きい順に並べ替えなさい』
〈Senkan〉『ぴょん、ゆめ、だい、ゆきむら』
〈Zero〉『・・・へ?』
〈Senkan〉『さぁ!答えたまえ!』
……え、大きい順って、何の大きさだよ?
何とも不親切な問題が発せられたわけである。
この問に対し、俺の中にパッと浮かんだのは、[だい>ゆめ>ゆきむら>ぴょん]という並び。これは、言わずもがな……な大きさによる並びなのだが、間違いなく今この場で言っていい並びではない。
そして大和のことだから、俺がこの考えになることはきっと読んでいるはず。
だからこそ、俺が何の大きさだ? って聞いた段階で、『おいおい何の大きさだと思ったんだよ』って言ってきて俺を嵌めにくるに決まってる。
つまりここまで見えているなら、わざわざ大和の策略に嵌ってやる必要はないのだ。
じゃあ大きさと言えば何か? ここで大事なのはシンプルに考えることのはず。『大きい順』という言葉をそのままの意味で捉えるのが必定。
ならば!
と、俺が『・・・へ?』って言ってから3秒ほどでこの思考に至り——
〈Zero〉『ゆきむら>ぴょん>だい>ゆめ!』
〈Senkan〉『正解!』
〈Zero〉『っしゃあ!』
〈Loki〉『おー!』
〈Yukimura〉『私が1番です。えっへん』
〈Yume〉『なんか1番下扱いなるのちょっとぴえん〜』
脳裏では俺と大和の激しい心理戦があったことなど、きっとみんな分からないだろう。
だが俺はこの戦いに勝利した。
ふっ。やったぜ。
〈Pyonkichi〉『しょうもねぇやりとりだなー』
〈Senkan〉『いやぁ、さすが倫。読み切られたわw』
〈Pyonkichi〉『むしろ出題者がBPO入りだわ』
〈Yume〉『はいはい、拗ねないの〜』
〈Gen〉『んーお、ちなみになんだが、何の大きさの順番なんだ?』
〈Zero〉『おいおいリダ、大きさなんだから身長以外なんだってんだよ?』
明らかに大和の様々な意図に気付いたぴょんが不機嫌感を出すのはもう二人の問題なのでいいとして、俺は俺で迂闊にも地雷原に踏み込もうとしてきたリダへ、
〈Yume〉『その言い方は、きっとゼロやんも一回は違うものを想像しましたな〜。どうするだい〜』
〈Daikon〉『え?ええと・・・ちゃんと躾けておきます』
〈Jack〉『躾ーーーーwww』
〈Pyonkichi〉『ほんと、男子って最低ねっ』
〈Yume〉『いやキャラ違うキャラ違う〜w』
見事なまでに正解の栄光から蹴落とされる展開に、俺だけでなく男メンバー全員がけなされる。
あ、いやロキロキは対象外だな。うん、やはり沈黙は金というのは文字通り金言なんだと実感するよ。
しかしこの流れにだいも乗るとは……成長したなぁ、なんて思ったり、していると。
〈Loki〉『じゃあ次は俺なんで、せんかんさんの問題お借りするっす!』
真面目なロキロキが見事にこのおふざけ展開を断ち切って、見事なまでの軌道修正をかましてきた。
さっきからちょっと沈黙続きだったし、きっと問題考えてたんだろうな。いやぁ、偉いぞロキロキ……!
〈Senkan〉『著作権フリー!』
〈Loki〉『あざす!』
〈Loki〉『では!リダ、せんかんさん、ゼロさん、あーすさん、俺の5人を大きい順に並び替えよ!』
〈Loki〉『っす!』
そして出された問題は、大和の問題のメンバーが男メンバーに変わっただけの問題で、答えるのはわけない問題なのだが……さっきの問のイメージがあるせいで、答えとして正しくない回答のイメージも浮かんでしまう。
とはいえ、そのパターンは俺には大和とあーすしか分からず、リダは不明、ロキロキに至っては……って感じなので、当然答えられるわけがない。というか、アレな場合、そもそもロキロキに模範解答が分かるはずもない。
ということでちゃんと素直に。
〈Zero〉『リダ>大和>あーす>俺>ロキロキ』
って答える。
しかし、なんか自分が下から2番目……ってなると、なんかちょっと悲しいな……。
そんなことを思いながら答えた俺に対して——
〈Loki〉『ゼロさん即答でしたけど、正解でいんすかね?』
〈Zero〉『へ?』
〈Yukimura〉『合ってるかと思います』
〈Daikon〉『うん、合ってる』
〈Yume〉『ロキロキはリダ会ったことないもんね〜。リダでっかいんだよ〜』
〈Hitotsu〉『そうなんですね!』
〈Gen〉『180超えだからな!しかし体格って話になると、せんかんが上だけどなw』
〈Senkan〉『水泳人舐めんなw』
〈Jack〉『でも合っててよかったねーーーーw』
なんてロキロキの天然全開からの、俺が悲しんだことなんか完全に忘れさせてくれるような、まったりしたみんなの会話が生まれたと思ったら。
〈Pyonkichi〉『くっそー!ナニの大きさか判断を間違えちまったぜ!!』
〈Yume〉『水を得た魚だな〜』
〈Jack〉『教育に悪いよーーーーw』
〈Yukimura〉『むむ?』
〈Daikon〉『いいの。ゆっきー、無視しなさい』
〈Hitotsu〉『だいさんお姉ちゃんみたいですねっ』
予定調和のような一人の暴走によって、安定の脱線祭りである。
よし、この隙に飲み物取ってこよっと。
とりあえずこれであと5人。
そして次はだい、か。
俺が言うのもなんだけど……何出してくるかまったく読めないな……ふむ。
冷蔵庫からお茶を取りつつ、俺は次なる問題に備えるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます