第320話 いつもお世話になっております、社交辞令じゃなしに

「あー、わりいゼロやん。もう一人分買ってきて」

「え?」

「いや、今ちょうどよく連絡きてさ、今からここにもう一人来るから」

「え、あ……なるほど。買うのはぴょんと同じのでいいか?」

「ん、それでいいと思う。いや、もうちょい早ければよかったんだけどなー」

「いやいや、さすがにそこには何も言えねーよ。じゃあ俺買ってくるから、だいはぴょんたちと先食べてていいからな」

「あ……ううん、待ってるよ」

「いや、でもアイス溶けちゃうし」

「あ、え、じゃあアイスだけ食べて待ってる」

「いや、そんな気にしなくていいのに……まぁいいや、とりあえずもっかい頼んでくるな」

「おう、よろしくー」


 と、そんな会話があったのがちょうど数分前。

 ということで俺は再びワッフルを頼むために列に並びなおしたわけだが、この列からも見える俺の仲間の3人中2人は俺を待つことなく、俺が買わせていただいたワッフルを食べ出し、もう一人はゆっくりと添えられたアイスだけを食べている。

 なんかだいだけお預けくらってるみたいで、食べたいけど食べるの我慢してる感じがちょっと可愛い。


 と、それはさておき、俺が誰の分を買うためにまた並んでるかなんてのは最早言うまでもないと思うが、戻ってくるのは一人だとぴょんは言っていた。

 ということは、あいつは宣言通りに帰った、ってことなんだろう。

 だからゆめが何を話したかは分からないが、おそらくその二人の話は折り合わなかったか、ゆめが諭す形の話になったかで、そうなったからこそゆめだけが戻ってくるという結末になった、のだろう。

 もちろん聞いてみないとわかんないけどね。


 でも、ゆめが戻ってきて何を言おうが、俺とだいが今後取るべき行動はもう決まった。

 ゆめの話は聞くけれど、あくまで聞くだけになり、ひとしきり聞いた上で、俺とだいがどうするかをゆめにも報告する、そういう流れになるだろう。


 そんなことを考えつつ、俺は列に並び続け、店外からいつゆめが入ってくるのだろうかというのを、少しそわそわしながら待つのだった。




 そして、待つこと7,8分ほど。

 まもなく俺が注文する番というところで。


「あ、ゼロやん私ストロベリーのやつよろ~」


 俺が手元のスマホを見ながら油断していたところ、ぽんと背中を叩いてきた存在が、聞き慣れた口調で俺にそう言ってきた。

 そしてそう告げたまま、俺に顔も見せることなく声の主は3人が待つテーブルの方に向かって行って、俺が座っていた椅子に着席。たった今合流したそのメンバーを加えた4人で何やら話している光景が始まるのだが、俺はまだそちらに行くことが出来ない。


 く、なんというもどかしさか……!


 でも、やってきた存在、ゆめにはゆめで面倒な役回りをさせてしまったのも事実だから、労いの意味も込めてスイーツくらい奢らないと罰が当たる。

 なので俺は精一杯心の中で早く順番来いと念じながら、その時を待ち――


 注文したものを受け取ってすぐに――


「お待たせっ」


 と、みんなのところに合流した次第である。


「お~、おいしそ~ありがとね~、ってあれ? アイス多くない?」

「あ、うん。それ1個はだいにあげてくれると嬉しい」

「あ、なるほど。だいは待てをされてたのね~、おけ~、はいどぞ~」

「え、あ、うん。ありがと……」


 そして本題を前にゆめに頼まれたワッフルを渡しつつ、トッピングで増やしてもらったアイスを1個、ワッフルと一緒に食べれなかっただいに渡してもらって、話を聞く準備は完了。

 あ、ちなみに俺のアイスは諦めました。きっと溶けてるだろう、って思ったけど、少し前に作ってもらい終えていた俺の皿にその痕跡が、見当たらない。

 ……まぁ、誰かが食べたのだろう。まぁいいや。って思ってたらだいがゆめからもらったアイスを半分俺の方に乗せてきた。

 なるほど、君だったのか。

 うん、溶ける前に食べてもらえてアイスも喜んでると思うよ。ありがとね。


 って、ええい、とりあえず今はそんなこといいのだ。

 まずは何よりゆめの話を、そう思って俺は――


「ゆめも色々と迷惑かけてごめんな。そして、ありがとな」


 謝罪とお礼。伝えるべき言葉を真っ先に伝える。

 すると。


~よ、~よ、ほうふぁいもうだいひっへほらっははら言ってもらったから~」


 ってね、早速もぐもぐしながら、ゆめの返事が返ってくる。

 いや、何言ってんのかわかりづれーけど……でもあれだな。雰囲気的に亜衣菜を擁護する、って感じではなさそう、か?


「……ん。この時間お腹空いちゃうよね~。他の子たちはご飯食べて来るかな~?」

「あー、そこは……うん、ゼロやん確認よろしくっ」

「え、俺?」

「おうよ。ほれ、あたしもだいの意見に賛成で、何だかんだゼロやんが一番人気者だと思うし?」

「うむ。いいなぁ倫は、人気者で」

「え、な、なんだよ二人して……あ」


 そんな、俺としてはゆめから亜衣菜の話を聞いてこのもやもやした感情を終わらせたいのに、なんかもうそれは既に終わりました感を出すメンバーたちが、何やらニヤニヤした感じで俺に向こうの班と連絡を取れと言ってくる。

 特にぴょんと大和は意味ありげな顔してるし、なんかその言ってる内容、さっき言われたようなことだな……って思ってたら、だいが少しバツの悪そうな顔で、俺に苦笑いを浮かべていた。


 あー、はいはい。さっき並んでた時の会話、教えたのね。

 それでこいつらいいようにそれをいじってるってわけか、ったく……。


 でも今日はしょうがない、借りがでかすぎるから。


 ということで俺はスマホを取り出し、真実に聞いてと頼まれた内容のことを確認するメッセージを送信し、元々が4人がけテーブルだったため空いた椅子がなくなったから、余ってるお客さんグループから椅子を拝借し、それを持ってきて狭いながらもだいの隣に座ることに。


 さて。


「人気か~。それ昨日の夜の話~?」


 と思ったのに、なかなか俺の中の本題に踏み込ませてくれないみんなの空気が、俺にちょっと疎外感を与えてくる。

 いや、ゆめとぴょんと大和はともかく、だいはもうちょっと気を遣ってくれてもよくない……? って、あ、今はあれか、ワッフル優先モードか? もしかして。


 ずっと待てをさせられていた分、だいの視線は目の前のお皿に釘付けで。

 俺が隣に来たのに、さっきのバツの悪そうな顔はどこへやらって感じでもぐもぐしてらっしゃいますね。


 まぁ……だいの雰囲気からして、受け入れられるレベルの話だった、ってことなのかな……。


「あ、うん。その話をね、ゼロやんにもさっき教えてあげたの」


 だが話を振ったのがゆめだったからか、それには反応したようで、一旦食べる手を止めただいがゆめに返事をしてあげていた。


「でもまー、マジでそれは事実だよなー。二人班って考えたらさ、やっぱ付き合い短かったり頻繁にオフ会で会ってないメンバーとはちょっときついよなー」

「いや、この班分け方法決めたのぴょんじゃねーかよ……」

「わたしも二人班でも大丈夫かな~って思えるの、ぴょんとだいとゼロやんくらいだよ~」

「んむ。あたしはそれにせんかんが加わるくらいだなー」

「え、二人ともゆっきーもダメなの?」

「ん~、ゆっきーと二人で何話すって言われてもね~」

「うむ。同じ教科とはいえ仕事の話も長く続く気しねぇし、ゆっきー高校希望じゃん? そこもちげーからなー」

「あ、そっか……」

「だいは男子チームはゼロやんとロキロキは平気だと思うって言ってたけど、女子チームは誰とでも一緒で大丈夫だった~?」

「うん。二人はもちろん大丈夫で、真実ちゃんは今日うちに泊めるくらいだし、ゆっきーもうちに泊めたことも二人で一緒に買い物もしたことあるから」

「となると、女ん中じゃだいが1番誰とでもOK率高かったかもなー」

「でも案外ゆっきーとかあーすとか、向こうは誰とでも大丈夫って思ってたかもだけどね~」

「あ、それはありそうだなー。でも、片想いだけじゃなー、そう簡単にゃいかねーかんなー」

「うんうん~。ほんと、ゼロやんよく1発目でゆっきーと二人なって文句言わなかったね~」

「え? いや、それは言ったら可哀想だろ……そりゃもちろん、変えれるなら変えたかったけどさ」

「倫はなー、ほんと尊敬するわ。あーすからもロキロキからも好かれてるし」

「あっ、それは朝思った~。何でゼロやんロキロキとくっついてたの~?」

「いや、俺はくっついてない。断じてくっついてない。起きたらあいつがあそこにいた。それだけだからな?」

「大地くん羨ましがってたわね」

「おっ、だいもそこいじれるくらいまではなったかー!」

「ん? いじる?」

「あ」

「おい!? ほら、あれだって、だいとあーすは色々あったのは大和だって知ってんだろ? その過去乗り越えていじれるようなったな、って意味だって!」

「あー、そういやあったなそんな話。でもほんとなー、男同士とはいえ、俺はあーすもロキロキも二人班はなー、4時間ずっと話せる自信ねーなー」

「むしろ、大和は誰となら大丈夫だったんだ?」

「ん? そりゃ俺レベルじゃぴょんと倫以外、持たないぞ?」

「んだよ情けねーなー。あたしの半分じゃねーか」

「それでもオールOKのゼロやんの半分しかいないけどね~。でも、気持ちは分かるよ~。せんかんと二人班決まった時正直引いたもん~」

「え、引くレベル!? っても、まぁ、結局その時間もほとんどなかったけどな」


 そしてそのまま誰となら組めた組めないなんて、中学生の修学旅行の行動班決めかよ、みたいな会話が続き、意外とだいも平気な相手多いんだなって思ったり、ゆめから俺に分かるわけもない今朝のロキロキのことについて聞かれたり、あーすの秘密がぴょんにより大和へバレそうになったのを焦って止めたり、と紆余曲折もありながら、ついに俺は話を戻すチャンスを見つけたのである!


「あ、その話なんだけど!」


 そして見事に俺は割って入ることに成功!!


「えっと、その、なんかもう落ち着いた感じなってるのはさ、よく分かるんだけど……ゆめの話って……もう終わったの?」


 そしてみんなの会話を止めた俺に視線が集まるのを感じながら、俺は話題を強引にでも持っていく。

 すると……。


「え?」


 なぜかみんなの表情が……え?


「ごめんね」

「え?」


 そして聞こえた、ゆめの声。

 その表情は、力ない笑顔を浮かべていて――


「だいとゼロやんがどうするかってのはさっき聞いたけど、わたしは亜衣菜さんの話、聞いてあげることしかできなかったんだ」

「ううん、さっきも言ったけど、むしろ聞いてあげてくれてありがとうだよ。ごめんね、面倒に巻き込んじゃって」

「も~、だからそれは平気だって~。せんかんと二人で4時間過ごすよりは、楽だったかな~って思うし」

「え、えっと、どんな話したかは、聞いてもいいのか?」


 そんなゆめに、だいはワッフルを食べる手を止め真剣な顔をして謝ってるけど……ゆめの表情が苦笑いに変わったから、俺が戻ってくる前にも同じやりとりがあったことは容易に想像がついた。

 でもその話は俺も知っておくべきだと思ったから。二度手間になるとは分かっていつつ、直接亜衣菜と話していたはずのゆめの言葉を待つ。


「んとね~、駅の方のカフェ入ったんだけどさ、最初はずーっと泣きながら謝ってて、泣き止んだと思ったらゼロやんとの思い出と、だいとの思い出楽しそうに話し出して、仲良くなれたと思ったのに、そんなつもりじゃなかったのに自分で全部壊しちゃったってまた泣いて、泣き止んだと思ったらまた謝って、結局帰ってったよ~」

「……ふむ。そう、か。事情も分かんないのに謝られて、聞いてもない思い出話されて、また泣かれて謝られてって、うん、大変な役回りやってもらって、ごめんな」

「ん~ん。聞いてて切ないな~、とは思ったけどさ~……それでもわたしらは、だいの味方だから、だいのこと応援してあげてね、ってしか思えなかったよ」

「……うん、ありがとね」

「んーむ。だいとゼロやんを責めるようなこと言わないのは立派だとは思うけどよ、安易な同情はしない方がいいぞ? しっかし、さっきも思ったけどあたしはそういう情緒不安定な女は苦手だなー」

「ん~……ぴょんがあたしの役だったら、泣いてたんじゃな~い?」

「は、はぁ? んなわけねーだろっ、ったく」

「いやいや、ぴょんの方が情に訴えられたら弱そうだよ~」

「んなことねーからっ」


 ……と、しんみりした空気で話しだしたゆめだったけど、それもぴょんとの掛け合いが始まったことでどこへやら。

 とはいえ、そっか。謝って帰ったのか。

 その謝罪は、きっと本心なんだろうとは思うけど……今ぴょんが言った「変な同情すんなよ」って言葉は、俺もそう思う。

 今までの俺なら、そこで、謝るなら……ってなってたと思うけど、これは選べるのは1つまでって問題だから。少なくとも今は、その謝罪を受けるべきではないだろう。

 大学1年の秋に付き合って、大学3年の冬に別れて、社会人6年目の夏前に再会して。

 再燃したあいつの気持ちが完全に沈下するには、まだ時間がかかるだろうから。

 俺にだって今胸に感じる想いがあるくらいなんだから、他に行きどころがないあいつの場合は、俺の比じゃないだろう。


 だからこそ、今はもう近づけない。

 それが俺が選んだ道だから。


 ちらっとだいに視線を送れば、少し悲し気ながらも、何も言わずに頷いてくれた。

 きっと、思いは同じ。


「まー、漫画やアニメみたいにハッピーエンドな世の中なんざそうそうねーんだ。顔上げてけよ」


 そんな俺とだいを見てか、この話題になった瞬間苦笑いを浮かべてた大和が、安心感を覚えさせる笑顔で俺たちにそう言ってくる。

 きっと俺が戻る前の時も、こんな感じで切り替えるしかないだろって、みんな切り替えてたとこだったんだろうな。


「そうだな。うん。本当の意味で幸せにできるのは一人いれば十分、だもんな」


 そんな大和へ、俺は頷き。


「ほんと、みんなありがとな。うん、ほんと助かった。この恩は忘れないよ」


 改めてみんなに頭を下げる。

 きっとこれが、今回の件の終わり方として最善だったと思うから。


 そして顔を上げると、みんなも笑顔を浮かべてくれていて――


「ん~でも、迷惑かかったかって言ったら、かかったって言わせてもらうけどね~」

「……へ?」

「おっとー! 残念! これはゼロやん謹慎待ったなしだわー」

「うーん、しょうがないよなー。俺は別に気にしないけど、ゆめがそういうんじゃなー」

「え、で、でもゆめも大和と4時間一緒よりはって――」

「ばーか、そこは比べるとこじゃねーだろーが」

「うん、ゼロやんしょうがないよ。どんまい」

「え!? だ、だいまで……!?」


 とりあえず一件落着、と思ったのに……ま、まさかこんなオチが待ってるとは……!


 ……まぁいいか、今月くらい。

 うん、俺への戒めとして、馬鹿な俺の自覚を促す期間にゃ妥当かもしんないし。


「あー、分かりました分かりました、謹慎でもなんでもやりますよ。……っと、あ、真実たち今どっかのレストラン入ったってさ」

「お、じゃああたしらも何か食いにいくかー」

「あ、駅の方にある建物のが、美味しそうなのありそうな雰囲気だったよ~」

「お、じゃああたしらはこっそり1回出て、また戻ってくっか」

「じゃあ夕飯は私が奢るよ」

「ん? あー、そういうのいいって。だいは気にすんなよ。あたしら友達じゃん? それにほら、せんかんの相談も乗ってもらってたことあるみたいだし、彼氏絡みって点でおあいこじゃん? 自分の飯くらい自分で出すって」

「うんうん。わたしも演奏会の時快くゼロやん貸してもらったからね~。気にしないで~」

「……あれ? 俺の時と違くない?」


 そして俺が色々と諦め、そこに丁度良く真実から来た連絡の内容についてみんなに伝えると、今度はこれから何を食うかの話へと変化。

 そこでだいがお礼に食事代を奢るって言ったんだけど、ぴょんもゆめもそれは丁重に断っていた。

 ……え、ゆめの方は置いといて、俺だって大和の相談乗ったんだけど……?

 いや、でもその分相談乗ってもらってることの方が、多い気はするけど……。


「ま、こういうとこが、倫がみんなに好かれてるってことだと思うぞ?」

「いや、どこがだよ……」


 とね、まぁもうなんか、でっかい問題は片付いたからいいし、いまさらって気分もあるんだけど……。


「ほれ、さっさとゼロやんも食っちまって、飯行くぞー」

「デザートが先だったって思うと変な感じだけどね~」

「え?」

「あ、デザートはまた別物でしたか~……これは失礼~」


 そして言われるがまま、急いで自分の分のワッフルを詰め込んで、先に行ってしまいそうな女子3人組を追いかける。

 ほんと、待ってくれた大和はいい奴だな、うん。


 そしてみんなを追いかけ店外に出れば、そこはもう夜空の下になっていて、辺りは電気による明かりのおかげで明るいけれど、すっかり夢の国Ver.夜へと姿を変えていた。

 そんな夜空の下を俺たちは出口の方へと向かいながら、再入場のスタンプを押してもらって、一旦5人で駅の方へ。


 道中の夜風は優しくて、暑さが去って気持ちいいくらい。

 そして周囲には今日はもう帰るのだろう、楽し気な顔をした家族やカップル、疲れて両親の背中で寝てる子どもやら、幸せな空気が多かった。

 こんな場所で、さっきまで重たい話をしてたとか、ほんとごめんなさいって感じだけど、それでも今日はたしかな一歩を踏み出した、そんな日になったと強く思う。


 だがふと思い返して、不思議なことが1つだけ。


「……そういやさ」

「ん?」

「なんでゆめ、俺に亜衣菜と話した内容教える時、最初に謝ったんだろ?」


 だいを中心に前を歩く女子3人を見ながら、俺は横を歩く大和の顔を見上げつつ、ふと思ったことを聞いてみた。

 でも、ゆめには迷惑をかけたけど、別にゆめに謝ってもらうような内容はなかったと思ったけど。


「んー、だいにも同じように謝ってたけど、連れ戻せなくて、か、聞くしかできなかったって言ってたから、倫とだいの邪魔しないでって言えなかったからとか、そんな意味じゃねーの?」

「あー、なるほど。そこまで考えてくれたのか。やっぱゆめもいい奴だなぁ」

「ほんと、3つも年下とは思えねーな。だいから今後どうするかについて言われても、わたしもここで切っとくべきだと思うよ~、って言ってたし。頼もしいよな」

「ほんとだよ。ゆめが追いかけて話聞いてもらったからこそ、これからあいつが何かしてくるかもって怖さないもんな。謝って帰ってったって聞けて、ほっとしたし」

「そうな。だいの味方が多くてよかったな。……うん、俺が知ってただいはさ、もっと不愛想なイメージだったけど、復帰したら正直別人だし。……きっとこれも倫のおかげなんだろ? 大事にしてやれよ?」

「え、あ……い、言われるまでもねーよ。当たり前だろ」


 俺が聞いてみたことに対する大和の答えは、たしかにそうか、って思うもので、改めてゆめへの感謝の念も増すってもんだった。

 ほんと、今日はみんなに感謝しっぱなしだなー。

 支えてくれる仲間にも、そして何よりずっと俺のそばにいてくれるって言ってくれた、だいにも。


 この気持ちを忘れずに、明日からもまた頑張ろう。

 

 とはいえ……今日の夜を思うと、ちょっと憂鬱なとこはあるけれど。


 そんな思いを抱きながら、俺は大和にもし誰々と二人班だったらどんな話をしたか、なんて想像を話しながら、だいとその信頼する友二人の背中に、ゆっくりと続いていくのだった。








☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―

以下作者の声です。

―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★― 

 なんかこの5人組を書いていると、不思議と安心する作者です。

 ちなみに以下今回のオフ会に参加したギルドメンバー内での、班決め時における二人班許容人物一覧です。

 (◎余裕 〇大丈夫 △できれば避けたい ×厳しい)

だい⇒◎ゼロやん、ぴょん、ゆめ、ゆきむら、真実 〇ロキロキ △せんかん ×あーす

ぴょん⇒◎せんかん、だい、ゆめ 〇ゼロやん △ゆきむら ×あーす、真実、ロキロキ

ゆめ⇒◎だい、ぴょん 〇ゼロやん △ゆきむら ×せんかん、あーす、真実、ロキロキ

せんかん⇒◎ぴょん、ゼロやん △だい ×ゆめ、ゆきむら、あーす、真実、ロキロキ

ゆきむら⇒◎ゼロやん、だい 〇ぴょん、ゆめ、真実 △せんかん ×あーす、ロキロキ

あーす⇒◎ゼロやん、せんかん 〇ぴょん、ゆめ、ゆきむら、真実 △ロキロキ ×だい

真実⇒◎ゼロやん、だい 〇ゆきむら、あーす △ぴょん、ゆめ ×せんかん、ロキロキ

ロキロキ⇒◎ゼロやん 〇せんかん、あーす、だい ×ぴょん、ゆめ、ゆきむら、真実

ゼロやん⇒◎だい、真実、せんかん 〇ぴょん、ゆめ、ゆきむら、ロキロキ △あーす(※なりたいかどうかは別)

 圧倒的ゼロやんの支持率。普段からいじられ&ツッコミ&お手伝いマンを活動日にやってた賜物、とでも言っておきましょうか……!

 基本的にギルド加入歴長い組かそうじゃないかでも関係性が違いますね。


 次話で9人が合流です。


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 本作スピンオフシリーズである『オフ会から始まるワンダフルデイズ~Side Stories~』。停滞中……!

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