第272話 新人君、その実力 前編

〈Jack〉『やっほーーーーw』

〈Pyonkichi〉『ノノノ』

〈Senkan〉『おうw』

〈Yume〉『やっほ~』

〈Yukimura〉『こんばんは』

〈Soulking〉『こんばんはっ!今日はいるよっ』

〈Gen〉『最近は活気あって何よりw』

〈Loki〉『こんばんはっす!』

〈Jack〉『あーすがきたら、この前リダと話してた編成できるねーーーーw』

〈Gen〉『うむ!w12人で倒せるのなんてもう当たり前だからな!これからは6人で討伐する時代だ!w』


 と、俺たちがログインした時には、既にあーす以外が来ていたみたい。

 そして何やらジャックとリダが楽し気というか、わくわく感のある感じで話してるけど、なるほど、6人でキングサウルスやるのかー……うーむ、勝てるのか、それ?

 いや、実際初討伐の時は6人だったけど、あれはほんと、ジャックの腕前ありきだった。2チームに分けるとして、片方にはジャックがいるが、もう片方にはもちろんいない。

 となると、嫁キングと真実をセットに後衛? うーん、真実で大丈夫だろうか?


〈Gen〉『あーすが来ると信じて、今日の編成を伝えようw』


 だがそんな俺の心配をよそに、リダは今日の編成を発表する気満々。

 まぁ負けてもやむなし、って感覚でいくなら、いいのかね。

 負けもまたその後の反省会に繋がるし、醍醐味ったら醍醐味だとは思うけど。

 

〈Gen〉『まず盾役は俺とあーすで分担。だがあーすだけじゃまだ心許ないからな、サブ盾にゆっきーとせんかんもつける』

〈Senkan〉『え、両方?』

〈Jack〉『ゆっきーは火力侍いけるからねーーーー』

〈Yukimura〉『なるほど』

〈Gen〉『とりあえずメイン盾にサブ盾が二人いれば、そう簡単に崩れないだろうから、あーす側は銃も弓もなし。アタッカーにはゆめをいれて、あとはウィザードでぴょん、サポーターでジャックだw』

〈Yume〉『ゆっきーとせんかんいれば、連撃し放題だね~』

〈Pyonkichi〉『でも支援ジャックだけって、あれかー?あたしもある程度回復したほういいのかー?』

〈Jack〉『じゃあゆめの回復だけみてもらっていいかなーーーー?w』

〈Yume〉『え、死にそうw』

〈Pyonkichi〉『おいw』

〈Senkan〉『ま、ジャックが落ちなきゃいけそうだなw』

〈Jack〉『頑張るさーーーーw』


 ほうほう。あーす・ゆきむら・大和・ゆめ・ぴょん・ジャックで1パーティか。

 となると俺の方は。


〈Gen〉『もう片方は残りになるわけだが、こっちはサポーターのいっちゃん、ヒーラーの嫁が入る分火力が低いかもしれんw』

〈Zero〉『俺のブレス封じとリダのタックル硬直技の連携が重要だな』

〈Gen〉『おうwまぁそこは俺が上手くやるさw』

〈Hitotsu〉『嫁キングさんお手数おかけします><』

〈Soulking〉『ううんっ、がんばろーねっ』

〈Zero〉『あ、でもこっちのウィザードは、だいとロキロキのどっちがやるんだ?必須だけど』

〈Jack〉『そこなんだけどねーーーー』

〈Gen〉『うむ。そこはなぁ』


 そう、キングサウルス討伐にはどうしても魔法攻撃が必要なため、コンテンツとしてウィザードが必須。もう片方のチームにはメインで樫の杖を鍛えてるぴょんがいるから問題ないけど、俺らの方には樫の杖をメインに鍛えてるキャラがいない。

 ただ、だいはたまにぴょんの代わりをやることがあるから、スキルがあるのは知ってるし、この前ロキロキもな、250は越えてる話をしてたから、たぶんロキロキでもその役割を果たすことが出来るだろう。

 二人ともメインは短剣だけど、今回はどちらかが譲らざるを得ないんだよな。


 果たしてリダたちはどちらに任せるのだろうか?

 そんな風に俺が自分のパーティの編成について考えていると。


〈Daikon〉『私がやるね』

〈Loki〉『あ、俺がウィザードでいいっすよ!新参なんで、言われた通りにやります!』

〈Gen〉『そこは二人で話し合って・・・って、まさかの譲り合いかw』

〈Jack〉『同時だったねーーーーw』


 そう、ほぼ同じタイミング、コンマ差でだいが先に喋ったログを発した形になったけど、まさかのだいもロキロキも相手にメインの武器を使うのを譲ると言うではないか。


〈Pyonkichi〉『譲り合うとか日本人かよw』

〈Yume〉『日本人でしょw』

〈Senkan〉『でもあれか?倫としてはアタッカーとして合わせやすいのは、だいの方か?』

〈Yukimura〉『でもお二方とも装備は揃ってるはずですし、そうなると火力はスキルが上のロキロキさんでは?』

〈Soulking〉『ロキロキの樫の杖ってスキルいくつなんだっけっ?』

〈Loki〉『あ、自分は257っす!でもウィザードでキングサウルス戦出したことないんで、やってみたいっすね!』

〈Jack〉『あ、やりたい発言がでたかーーーーw』

〈Gen〉『だいはスキルいくつだっけか?』

〈Daikon〉『269』

〈Daikon〉『私はどっちもやったことあるから、どちらでも平気』

〈Zero〉『じゃあ、やりたい発言も出たことだし、だいが短剣でいいのかね?』

〈Gen〉『スキルレベル=火力とすると、逆なんだけどなw』

〈Zero〉『そこは俺がちょっとDPS上げるさ』

〈Jack〉『おーーーーw頼もしい発言だねーーーーw』


 まぁ、ほんとはロキロキの短剣の実力も見てみたい気はするけど、今日はやりたいって言ってる武器があるんだから、しょうがない。

 うん、何はともあれこれにて両パーティの編成が完了。

 あとはあーすを待つのみ、となったところで。


〈Earth〉『あーちゃん登場☆』

〈Gen〉『よし、じゃあパーティ組むぞw』

〈Jack〉『あたしが誘ってくねーーーーw』

〈Earth〉『あれ?え?』

〈Yukimura〉『あーすさん、しっかりやってくださいね』

〈Pyonkichi〉『ちゃんとやれよー』

〈Earth〉『お?おー☆』


 うん、いきなりで全然話分かんないだろうけど、頑張れあーす。

 まぁあとはね、パーティチャットでジャックが説明してくれるだろう。


〈Gen〉『じゃあ突入は21時30分ジャスト!時間までは各PT打ち合わせで、どっちが先に倒して出てくるか、勝負だぞw』

〈Jack〉『ご武運をーーーーw』


 ということで、俺はリダから送られてきたパーティの誘いに応え、リダ・だい・嫁キング・真実・ロキロキと6人でのパーティを組み、まずはコンテンツの入口である火山へと、みんなで移動するのだった。




〈Gen〉『いやぁ、6人は久々だなw』

〈Zero〉『だなー』

〈Loki〉『俺も6人で挑むのは初めてっすw』

〈Soulking〉『推奨が7人だもんねっw』

〈Hitotsu〉『足を引っ張らないように頑張りますっ』

〈Daikon〉『頑張ろうね』


 そして移動を終え、現在コンテンツスタート位置には俺らのパーティとジャックパーティの2パーティが、それぞれちょっと距離を置いて待機中。

 たぶん向こうも今は打ち合わせしてるんだろうけど、まぁ向こうは良くも悪くもあーす次第、だろう。

 こっちもこっちで、負けはしないだろうけど、時間内に倒せるかは未知数。そこが勝負の分かれ目、だな。

 うーん、しかし久々に長期戦になりそうだし、DPSは上げたいけど、MP効率も考えていかないとなぁ。

 ちょっとマクロいじるか……。


「うぅ、ジャックさんいないの初めてだし、緊張するなぁ……」


 っと、俺がモニターを見ながらどう攻撃していくか、そのパターンを考えていると、不意に背中側から不安そうな声が。


 たしかに真実にとってサポーター一人は初めてか。

 でもな、基本どのコンテンツでもサポーターは一人だし、こういうのにもね、今後のためにも慣れる必要はあるからな。


「大丈夫よ。ゼロやんはダメージ受けないし、回復は嫁キングがしてくれるから、支援と阻害に集中すれば大丈夫」

「だな。リダはタゲがっちり取ってくれるだろうし、2連撃しかできないから削りはかかるけど、崩れはしないべ」

「MP切れだけ気を付けてれば大丈夫よ」


 きぃっと椅子を回転させ、俺が真実に声をかけようとするより先に、だいが優しい表情で真実に声をかけている光景に、なんだかほっこり。

 だいに続く形で俺も真実にアドバイスを送るけど、隣にいるのが優しいお姉ちゃんでよかったな、妹よ。


「は、はい……頑張りますっ」


 そんな俺とだいベテランズの言葉に、緊張は隠せないけど真実も前向きになってくれたようで一安心。

 ま、習うより慣れろだ。やるしかあるまいて。


〈Loki〉『あ、道中ってまとめ狩りっすか?』

〈Gen〉『まとめ狩り?』

〈Zero〉『あー、1回やってみるか?道中移動支援魔法なしでリダが雑魚とか全部引っ張って、中ボスのとこでタゲ固定後、範囲攻撃で殲滅してくやり方』

〈Zero〉『道中の時短なるのと、雑魚倒す分経験値が入るw』

〈Gen〉『ほお。そんなやり方が』

〈Daikon〉『でも範囲攻撃できるの3人しかいないけど』

〈Zero〉『あ、そっか。この前のときは5人いたっけか』

〈Loki〉『この前?』

〈Gen〉『なんだ?ゼロやんとだいは、それでやったことあるのか?』

〈Soulking〉『ゲンにやってもらったことないよねー?』

〈Zero〉『あ、先日ちょっとね、凄まじいメンバーに参加させてもらったことがw』

〈Loki〉『え、誰すか?』


 そうか、この前のオフ会でルチアーノさんたちと会って、一緒にプレイしたって話したメンバー、このパーティにはだいしかいないのか。


〈Zero〉『あー、明日話すよw』

〈Gen〉『じゃあそのやり方、1回やってみるか』

〈Zero〉『ある程度被弾して、自己回復でヘイト上げるみたいだから、落ちないように気を付けてなw』

〈Gen〉『ほおほお』

〈Soulking〉『回復不要ね、おっけー』

〈Hitotsu〉『え、ええと』


 あ、そうか。ジャックなしに加えて新しいやり方だと、さすがに混乱するか。


「真実はな――」


 と、俺がサポーターとして何をすればいいか説明しようと思い再び振り返るも。


「もう大丈夫みたいよ」

「へ?」


 なぜかだいから、そんな言葉が。

 その言葉を受けて俺がモニターの方に向き直ると。


〈Loki〉『いっちゃんさんは、突入したらリダのヘイト上昇と全体の防御UP使えばOKっすよ!』

〈Hitotsu〉『はい!わかりました!』


 とまぁ、見事なまでに俺が言おうと思った言葉がロキロキによって伝えられていた。

 なるほど。まぁそうよな、元【Vinchitore】なんだしな。本家ギルドじゃなく支部ギルドだとしても、知識は豊富よな。

 キングサウルスの実装、ロキロキがギルド抜けた後だと思うけど、数もこなしてそうだしな。

 って、よく見たら樫の杖もあれじゃん、うちではぴょんしか持ってないキングサウルスのドロップ品現状最高峰だし、短剣に続いてそれも持ってるってことは、ギルド抜けた後でもけっこう通ったってことだよな……?

 誰と行ってたんだろう? 抜けてもそこは元支部幹部、何だかんだジャックみたいにスポット参戦してたとか? となると、やっぱ相応に頼もしい存在だったってこと、か。


「真美ちゃんが困ってたら私が指示出すから、ゼロやんはリダへの指示お願いね」

「あー、了解」


 ロキロキがいるからか、人見知りを発動してLA内ではあんま喋らないだいだけど、リアルではちゃんと真実の面倒見ようとしてくれててありがたい。

 いや、真実だって今日が初対面なんだけどね、一応は。まぁそこらへんは性別もあるし、何より俺の妹ってのが、大きいのかな。


「よろしくお願いしますっ」

「うん、頑張ろうね」


 俺がだいに真実の指示を任せた直後、背後から聞こえたそんな言葉。

 とりあえずこれで支援側が安心。ならあとは、アタッカーの仕事だな……!


〈Gen〉『じゃ、間もなく時間か』

〈Zero〉『あ、そだ。今回のうまくいったら、今度は編成変更で俺に盾やらせてよw』

〈Soulking〉『ゼロやん最近盾上げてたみたいだしねっ。どのくらいいったのー?』

〈Zero〉『最近サボってて止まってるけど、今268かな』

〈Gen〉『あーすとそんな変わらないんじゃないか?それw』

〈Loki〉『銃メインの人が、サブで盾上げるって珍しいっすねw』

〈Soulking〉『そうなのー?』

〈Loki〉『装備使いまわせないっすからね!』

〈Zero〉『あー、元はメイスの方が次に高かったんだけどね』

〈Loki〉『いや、それも装備の転用ほぼ出来ないじゃないっすかw』

〈Gen〉『アタッカーやるなら銃一筋っていうガンナー馬鹿なんだなw』

〈Loki〉『おお、なるほど。さすがセシルさんに一目置かれた男・・・!』

〈Zero〉『それを言うのはやめろ』

〈Soulking〉『ゼロやんが盾やるときは、だいが銃かなー?』

〈Zero〉『それもいけるといいなw』

〈Loki〉『だいさんガンナーもやってるんすか!』

〈Daikon〉『え、あ、そうですけど』

〈Loki〉『12人しかいないのに、ガンナー2枚いるんすね!すげぇw』

〈Gen〉『おwさらっと人数ディスったな?w』

〈Loki〉『あ!いや、そ、そういう意味では!』

〈Soulking〉『事実だからしょがないよねっw』

〈Gen〉『うむw夏休み前までとか、9人だったからなw』

〈Soulking〉『今年はせんかん復帰、いっちゃんにロキロキ加入で、いっぱい増えたもんねっw』

〈Zero〉『そうなぁ・・・ほんと、不思議な年だな、今年は』

〈Gen〉『意味深そうだなw』

〈Loki〉『む、どういうことすか??』

〈Gen〉『詳しくは明日、かな?w』

〈Zero〉『うむ。明日だな!』

〈Loki〉『じゃあ、明日楽しみにしてるっす!』

〈Daikon〉『まもなく半よ』

〈Soulking〉『じゃ、そろそろいきますかねっ』

〈Gen〉『おっと、よし、じゃあ入ったらいっちゃんが魔法かけて、完了したら合図よろしく!』

〈Hitotsu〉『はい!』


 そしてまぁ色々話したりしつつ、迎えた定刻。

 でもほんと、だいはよく時計見てるなぁ、さすがだわ。


〈Jack〉『入るよーーーーw』

〈Gen〉『おう!また後でな!w』


 いざ6人でのキングサウルス討伐へ。


 果たして俺たちは勝てるのか?

 そして既に知の面の片鱗は見せるが、ロキロキの実力とは?

 

 そんなちょっとした高揚感を抱きながら、俺は背後にいる2人のPCから聞こえる僅かにずれたBGMを聴きながら、読み込み画面を見守るのだった。






―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―

以下作者の声です。

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 久々に少しゲームパートに突入します。笑


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 本作スピンオフシリーズである『オフ会から始まるワンダフルデイズ~Side Stories~』。3作目となる〈Yuuki〉が掲載されております。

 ゆるーく更新していきます。

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