特別番外編 流れ無視の投稿日による時事ネタです!

X'mas投稿番外編 本編関係ありません!

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作者の声です。


 前話がクリスマスイブに投稿するには、あまりにもあれなお話でしたので、今回は特別編をお送りします!


はじめに

・本話は本編の流れなんか全てぶった切った話になっております。

・本編はまだ9月ですが、12月になったよ! という時間軸でのお話です。

・そう、全ては聖なる夜が起こす奇跡なのです☆彡

・番外編ですが、本編側に投稿しますので視点は本作の主人公ゼロやんでお送りします。


 それでは……お気楽な気持ちでお進みください!m(_ _)m

 皆様がよいクリスマスを送れたことを願って☆彡

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 12月24日木曜日、2学期終了前日。

 世の中では多くの人々が幸せな日を過ごすであろう、クリスマスイブ。

 その、大体20時半前。


 クリスマスイブだというのに、残念ながら今日はド平日だったから、仕事を終えた俺は我が家に一人だった。

 しかも翌日も金曜で普通に仕事があり、さらにその日は2学期終業式ということで通知表を配る必要があるため、一人一人の生徒たちへ2学期の所見なんかを入力し、配布のための準備を終え、俺が帰宅して、買ってきた惣菜のチキンなんかを食って、風呂に入って、なんかを済ませるともうこんな時間だったってわけだ。


 俺がそんな状況ということは、もちろん同業者である愛しのだいも同じ状況、ということなので、この日は付き合って最初のクリスマスなのに会う予定はなし。


 むしろお互い2学期の疲労がピークに近いところまできていたので、イブはいいよね、というところでお互いの意見が一致していた。

 会うのはね、明日の仕事が終わってから。

 明日が終われば冬休みでだいぶゆっくりできる予定だし、一緒にいるのはそこからにしようということになったのである。


 でもせっかくのイブに全く会わないのもね、多少寂しい思いはあるので、この日のデートはもう一人の自分に任せることに。

 そう、もう一人の俺、LAの中でもそこそこ名の知れたキャラクターである〈Zero〉へ、この日はだいとのデートはお任せだ。

 まぁ、LAの中じゃだいの〈Daikon〉は男だから、デートって感じはしないんだけど。


 そんなことを考えながら、俺がログインすると。

 

〈Cecil〉>〈Zero〉『Merry Christmas☆』

〈Cecil〉>〈Zero〉『みんなのアイドルこと、あいなちゃんでーす☆』

〈Zero〉>〈Cecil〉『いや、いきなりなに!?』


 彼女に会うためにログインしたのに、真っ先に声をかけてきたのはまさかの元カノでした。

 なんでやねん!

 っていうか、君はいったい誰に何をアピールしようとしてんのさ!?


 そんな疑問を抱いても、それに答えてくれる人はなし。

 それどころか、なぜか届いたのは


〈Cecil〉があなたをパーティに誘いました。


 というシステムメッセージ。

 まさかまさかの、〈Cecil〉からのパーティのお誘いではありませんか。


〈Zero〉>〈Cecil〉『どういうこと!?』

〈Cecil〉>〈Zero〉『えー、せっかくのイブなんだし、お話しようよー』


 なんでや!

 俺はこれからだいとLAの中でデートだから!

 

 ということで俺がパーティの誘いを断ると。


〈Cecil〉があなたをパーティに誘いました。


 というシステムメッセージagain。


 なんでや!

 今断ったやんけ!


 ということで俺がもう1回断ると。


〈Cecil〉があなたをパーティに誘いました。


 という3度目のメッセージが。


 マジかこいつ、俺が入るまでエンドレスにする気か?

 8回とか繰り返しちゃうのか?


 いや、さすがにそれはめんどい。

 ええい、しょうがねぇ、とりあえず入ってやるか……!


 ということで渋々、本当に渋々俺が〈Cecil〉の誘いに応えパーティに入ると、そこには当然のことながら〈Zero〉と〈Cecil〉の名前が並ぶ、二人パーティが結成されたのだった。


〈Cecil〉『断るとか信じらんなーい』

〈Zero〉『やかましーわ』

〈Cecil〉『えー、ノリ悪いなぁ。あの頃はせいなる夜を共にした仲だっていうのにー』

〈Zero〉『おい露骨なひらがな!』

〈Cecil〉『えー?』

〈Cecil〉『あ』

〈Zero〉『なんだよ、って、ここで!?』


 謎の『あ』という言葉ログの意味が分からなかったけど、俺はその直後、その意味を理解した。


 それと同時に新たに加わるパーティメンバー。


〈Daikon〉『相変わらず仲良しね』

〈Cecil〉『菜月ちゃんメリクリっ☆』

〈Daikon〉『うん、メリークリスマス』

〈Zero〉『よお』


 現れたのは俺が本来であれば今頃二人でのんびりどっかで狩りを、とか考えていた〈Daikon〉の名前。

 古いフレンドで、相棒で、そして何より中の人はリアルでの彼女で。

 もう色んな関係がありすぎてどう言えばいいか分からないが、俺にとって何より大切な存在。


 まぁ、LA内での〈Daikon〉は男なんだけどね!!


 しかしいきなり亜衣菜の妨害を受けるとは、うーむ俺らもつくづく運のない……。

 なんでクリスマスイブに彼女と元カノとパーティ組まなきゃならんねん!


 って、いや、うん。

 クリスマスイブにいい年した大人の男女がみんな揃って家で一人ゲームしてるっていうのも、うん。あれなんだけどさ!


〈Cecil〉『2人はあれかな?これからせいなる6時間を過ごすのかなー?』

〈Daikon〉『ちょっと!?』

〈Zero〉『おおおおおおおい!?!?』


 よくそんなこと聞けるなおい!?

 羞恥心とか、どこに捨ててきたの君!?


〈Cecil〉『えー、だってそのための日でしょ?』

〈Zero〉『おい待て。全てのキリスト教徒に謝れおまえ』

〈Daikon〉『明日も平日だし、そもそも今日は会わないわよ』

〈Cecil〉『えー、いいのー?』

〈Zero〉『社会人なめんな!』


 いや、いいのかとどうかでいったら、そりゃまぁ、うん。多少寂しいのはあるけどね?


〈Cecil〉『あ、じゃああたしが代わりにりんりんのとこいこっかー?w』


 って、なんでじゃ!!!


〈Zero〉『いりません!』

〈Cecil〉『えー、けちー』

〈Zero〉『けちってなんだけちって!』

〈Cecil〉『ま、これから固定なんだけどねー』

〈Zero〉『さすがゲーマーだなおい』

〈Cecil〉『【Vinchitore】にクリスマスなどないのだよ坊や』

〈Zero〉『いや、誰が坊ややねん』

〈Zero〉『っていうかその発言……いや、みなまで言うまい』


 ルチアーノさんともこさんとか、ジャックとくもんさんは一緒にいるんだろうけど、もぶくんとかね、会ったことないけどやっぱりうん、いやなんでもない。


〈Daikon〉『あいなさんは、クリスマスは何かコスプレとかしてたの?』


 え、何この子!? すごい話題転換!


〈Cecil〉『んー?そだねー色々やったけどー……』

〈Zero〉『!?』


 ねぇ!?!?

 答える気なの!?

 俺のプライバシーは!?!?


 聞く方も聞く方だけど、答える方も答えるほうだよね!?


〈Cecil〉『りんりんのトナカイ可愛かったなー』

〈Zero〉『え、そっち!?』

〈Daikon〉『あ、サンタじゃないんだ』

〈Cecil〉『うん、ほら、トナカイに乗るのはサンタさんじゃん?』

〈Zero〉『へいへいへいへいへいへいへーーーい!!!』

〈Zero〉『ねえ!!!』

〈Zero〉『自重って知ってる!?!?!?』

〈Zero〉『だいも変なこと聞くなよ!?』

〈Daikon〉『なるほど』

〈Zero〉『ってなるほどじゃねえええええ!!!!』

〈Daikon〉『でも、サンダクロースが乗るのってソリじゃないかしら?』

〈Cecil〉『あ、そういえば』

〈Zero〉『そこじゃねええええ!!!』


 え、待って、この二人俺のログ見えてるよね!?

 なんなのマジで、え、俺もう死んでるとか!?


〈Cecil〉『ちなみにりんりんが一番喜んでたのは、ノースリーブのミニワンピタイプのサンタコスかなっ』

〈Daikon〉『またワンピースなのね』

〈Cecil〉『そそ。あの時はアイドルブームもあったし、チェック柄のとか着てた気がするよー』

〈Cecil〉『なるほど……』


 語られる過去。

 止まらない女たち。


 我、ここに死す。


〈Cecil〉『あの頃の写真あるかなー・・・』

〈Cecil〉『あ、あった』


 む。

 あの頃って……いや、何年前の写真持ってるの君!?


〈Cecil〉『はい、送信したよー』


 いやいや、なんでだいに送る必要あるんだよ。

 と、思った矢先、そのログと同時に震える、俺のスマホ


 俺にも送ったんかい!!


 って、送られてきたら見ちゃうけどね?


 そこ写っていた笑顔のサンタコス亜衣菜を撮ったのは俺なんだけど、そりゃね、可愛いに決まってるよね。

 ……うん、懐かしい、ってか、亜衣菜わけー。


〈Daikon〉『なるほど・・・可愛い・・・』

〈Zero〉『いや、俺に送る必要ないからね?』

〈Cecil〉『えー、懐かしさに少しセンチになりながら亜衣菜ちゃんの可愛さに喜べし』

〈Zero〉『くどくない!?』

〈Daikon〉『可愛いのにね』

〈Cecil〉『ほんとだよねー』

〈Zero〉『自信がすごいなおい』

〈Cecil〉『でもこの頃若いなー。この柄は今じゃきついかなー』

〈Cecil〉『あ、そだ。最近着たやつも送るねー』

〈Cecil〉『雑誌とは別のやつだぞー』


 って、別のやつ?

 いやどのタイミングで仕事以外で着ることあんのさ君。


 ちなみに今月の『月間MMO』はクリスマス特集で、予定調和のようにサンタコスプレを披露した亜衣菜さんは既に確認済です。

 あ、亜衣菜が見たくて買ったわけじゃないからね!?

 ゲーム情報のためだからね!?


 とかそんなことを思ってると、再び震える我がスマホ。


〈Daikon〉『わ、可愛い』

〈Cecil〉『えへへー、ありがとー☆』

〈Cecil〉『りんりんどー?』

〈Cecil〉『衣装チョイスはやまちゃんだよー』


 もちろん通知が来た直後に、俺も画像が確認したが、そこにいたのは白のミニドレスに赤のリボンで装飾を施した、まるで天使かと思うような亜衣菜の姿が。

 はにかんだ笑顔はコラムなんかとともに載ってくる写真では見せないような、なんというか素を感じさせる表情で……さっきの写真と比べると若さは少し減っていても、それでもなお正直めちゃくちゃ可愛かった。


〈Zero〉『ノーコメントで』

〈Daikon〉『可愛いってさ』

〈Cecil〉『えへへ、やっぱりー?』

〈Zero〉『ええい、心読むでない!』

〈Daikon〉『ほら、合ってるじゃない』

〈Cecil〉『素直じゃないなー』


 彼女もいるのに言えるかい!


〈Cecil〉『なつきちゃんはコスプレしないのー?』


 あ。

 いいぞ! それはもっといけい!


〈Daikon〉『え、用意が・・・』

〈Cecil〉『言ってくれれば送ったのにー』

〈Cecil〉『りんりんもしょんぼりしてるよー?』

〈Zero〉『してません!!』

〈Daikon〉『ふむ・・・』


 いや、してるけど!!

 こいつら2人揃ってエスパーか何かかほんと!!


 ってか、だいも『ふむ』じゃないよ『ふむ』じゃ!


〈Cecil〉『ほんとコスプレ好きだからなぁ、りんりんはw』

〈Zero〉『ええい、やめい!』

〈Cecil〉『きわどいのより可愛いの派だったよね』

〈Zero〉『な!?』

〈Cecil〉『女戦士より賢者だったもんね』


 それドラ〇エ3の話だよね!?

 ああもうやめて!

 俺のライフは0よ!!


〈Cecil〉『菜月ちゃんサンタは来年のお楽しみだねー』

〈Zero〉『いや、クリスマスのお楽しみか?それ』

〈Cecil〉『まぁまぁ』

〈Cecil〉『菜月ちゃんも相談乗ってくれたら衣装選びするからねー』

〈Cecil〉『って、あれ?』

〈Zero〉『ん?』

〈Cecil〉『菜月ちゃんいなくなった?』

〈Zero〉『む、たしかに返事ないな』

〈Cecil〉『トイレかな?』

〈Zero〉『あー、かも?』


 言われてみれば、たしかに『ふむ・・・』を最後にだいのログがない。

 まぁ何してるわけでもなくただ喋ってるだけだからね、離席されても問題なんだけど。


〈Cecil〉『でもほんと、二人仲良しであたしゃ嬉しいよー』

〈Zero〉『はいはい、ありがとな』

〈Cecil〉『おい、元カノ扱いが雑だぞ!』

〈Zero〉『お前はこの関係の歪さをわかれ!』

〈Cecil〉『えー、いいじゃん。2番目的な?』

〈Zero〉『このログだいもみるのわかってよね?』

〈Cecil〉『菜月ちゃんならわかってくれる!』

〈Zero〉『根拠なんだそれおい』


 ほんと、はぁ……なんだろうなぁこの徒労感。

 2番目とかそんなのね、いらないんだけど……。


 とか言いつつ、なぜか脳内に浮かぶ他のギルドのメンバーたち。

 クリスマスパーティオフとかやったら、他のメンバーもサンタコスとかしてくれたのかな?

 ゆめなんかはノリノリでやってくれそうだよな。

 なんというか、イメージだけどちょっと胸元開ける感じのセクシー系のやつ。

 可愛い見た目のゆめだけど着るのはセクシー的な、そんなギャップの着てそうな気がする。

 もちろんミニスカタイプだろう。

 それでにこって首傾げながら、プレゼント渡すふりして「あげなーい」なんてやったりしてそう。

 脳内でもあざといなうん。


 で、ゆきむらなんかも周りに合わせて着てくれそうだけど、ゆきむらはあれだな、露出多いのよりも、メンズのサンタ衣装をちょっとだぼっとした感じで着てる感じが可愛いかも。

 そんな恰好で「メリークリスマスですよ」、なんてあのぽーっとした目で見つめながら言ってくるんだろうな。

 

 ……うん、考えるだけで二人とも可愛い。

 

 え、ぴょん? いやー、ぴょんはほら、もうね、管轄違いなので。

 って、何様だ俺おい。

 うん、でもまぁそういう感じで。


 そういやギルドメンバーじゃないけど、去年の終業式の日にやった部活のクリスマスパーティでサンタ服着てた市原もぶっちゃけ可愛かったなぁ。

 あいつの良さは無邪気さだからな、何も狙わなくても、着てるだけでただただ可愛いんだから、ほんと末恐ろしい存在だよ。

 明日の放課後、俺は参加しないって言ったけど部内でプレゼント交換会やるって言ってたし、見てこよっかな……。


 っと、なぜか脳内が邪な考えに流れちゃったけど。

 でも、やっぱり、俺が一番見たいのは、ね。


〈Cecil〉『あ、そだそだ』

〈Zero〉『ん?』

〈Cecil〉『イベントのクリスマス衣装とった?』

〈Zero〉『あー、一応』

〈Cecil〉『りんりん着てるとこみたーい。いまどこいるー?』

〈Zero〉『いや、俺じゃないけどな?』

〈Zero〉『いるのはバザール』

〈Cecil〉『あー、そこは目立っちゃうから、天空都市の教会で会おー』

〈Zero〉『そこも今日は人いそうだけど』

〈Cecil〉『えー、雰囲気あるじゃん?』

〈Cecil〉『セシルちゃんも着てあげるからっ』

〈Zero〉『はいはい、わかりましたよ』


 ゲーム内のキャラとはいえね、実際〈Cecil〉のグラフィックは可愛いし、出会った頃から年を取っていないから、ずっと可愛さは変わらない。

 って、こういうと亜衣菜になんか失礼な気がするけど、まぁそれは置いておこう。


 ということで、俺は〈Zero〉を今回のイベントで配布されたメンズサンタ服に着替えてからキャラを動かし空中都市へ。

 色んな商品が行きかうバザールは相変わらずの雰囲気だったけど、空中都市の綺麗なグラフィックの街並みは、なんだかちょっと男女ペアのキャラクターがいつもより多い、気がした。

 

 って、うわ、あの人とあの人一緒にいるんだ。わーお、知らなかったわ。

 中身知ってんのかな?

 ま、知らぬが花ってこともあるんだろうけど。


 なんて、見知ったプレイヤーを発見してそんなことを思ったりもしつつ、俺は亜衣菜の要通り、空中都市にある教会へと〈Zero〉を動かす。


 そして俺が着くよりも先に先方は来ていたようで、そこには可愛らしい衣装のグラフィックをまとった猫耳獣人の〈Cecil〉が。


〈Cecil〉『りんりんも可愛いなー』

〈Cecil〉『イベント装備、ほんと凝ってるよねー』

〈Zero〉『そうなぁ』

〈Cecil〉『この辺は運営センスある』

〈Zero〉『まぁ、それは思うな』


〈Cecil〉の衣装はふりふりのミニスカサンタ衣装に、先っぽにボンボンがついてくたっとした感じの赤帽子。街中で見かけたら目で追ってしまうような可愛らしい恰好の〈Cecil〉は、キャラメイクした身としては鼻高々なくらい可愛かった。

 こういうの見るとね、女キャラでやってもよかったかなとか、ちょっと思う。


別アカウントのあれに着させてみるか……?

いや、うん。さすがにあれ〈Ainyalove〉はやめておこう。


 とかそんなことを思いつつ、俺が〈Cecil〉を見ていると、急に手をぐーにして、その手を顔の近くに近づけるように肘を曲げ、そして片足だけ膝を曲げてあげる、いわゆるキャピっ☆みたいなポーズを〈Cecil〉が決め出した。


〈Cecil〉『イベント衣装専用モーションとか、やる気ありすぎだよねw』

〈Zero〉『謎の本気だなほんと』


 そのポーズはあざとくも可愛かったんだけど、ほんとこのゲームの運営は何を目指してるのか、機会があれば聞いてみたい。


〈Cecil〉『今度この格好してあげるねー』

〈Zero〉『あ、大丈夫でーす』

〈Cecil〉『ぶーぶー』

〈Cecil〉『菜月ちゃんと一緒だったらー?』

〈Zero〉『はいお願いします』

〈Cecil〉『うわ、露骨』

〈Cecil〉『絶対やってやるんだからね!』

〈Zero〉『いやほんと何キャラだよお前』


 ほんと、昔と変わらない中身の亜衣菜に、俺はモニターの前で苦笑い。

 まあ、こいつらしいったららしいんだけどさ?


〈Cecil〉『あ、やば、おにーちゃん呼んでる』

〈Zero〉『あ、固定なんだっけ』

〈Cecil〉『うん、21時から!』

〈Zero〉『いや、あと5分じゃん!』

〈Cecil〉『てへ☆彡』

〈Zero〉『遅刻すんなよ?』

〈Cecil〉『じゃ、固定いってきまーす』

〈Zero〉『いてらー』

〈Cecil〉『なつきちゃんによろしくっ』

〈Zero〉『はいはい』

〈Zero〉『じゃあな』

〈Cecil〉『お正月会おうねっ』

〈Zero〉『気が向いたら^^』

〈Cecil〉『向かせるね^^』

〈Zero〉『いいから早くいけw』

〈Cecil〉『ちぇー』

〈Cecil〉『じゃーねー』

〈Zero〉『おーう』


 何ともまぁ不毛な会話になってしまったが、21時の5分前、〈Cecil〉がパーティを抜けて去って行く。

 それと同時にパーティは俺とだいの二人になるも、〈Zero〉は一人教会に取り残された状態に。

 ……ここにだいが来てくれたら、って、ダメか。男同士か!

 しょうがない、帰るか。


 ということで俺は〈Zero〉を再びプレイヤータウンへと移動させる。


 しかしほんと、だいもどってこねーな。

 なんだ、腹痛とか?

 大丈夫だろうか?


 どれ、スマホで連絡でも。


 そう思った、その時だった。


ピンポーン


 鳴り響くインターホン。

 

 こんな時間に、誰だ?


 宅配とか何も頼んだ記憶ないんだけど。

 

 そんなことを思いながら、俺は玄関へ向かい扉を開ける。


 そこには。


「……Merryメリー Christmasクリスマス

「え?」

「な、なによ」

「いや、え、マジ?」

「とりあえず寒いからいれて」

「お、おうっ」


 まさかまさかの、彼女だいの姿。

 寒さにちょっと震えてる彼女を家に招き入れ、寒い玄関先を離れ、暖房を利かせた室内にだいを案内。


 ていうか、え、マジで?


「玄関前で待つ時間、恥ずかしくて死ぬかと思ったわ」


 慣れた仕草で手に持っていたコートをハンガーにかけながら、疲れた表情を見せるだい。

 なるほど、さすがにその恰好で来たわけじゃないよね、うん。寒いし。


「お、おう……てか、え?」

「なによ?」

「いや……きてくれたの?」

「別に……明日は終業式だけだし……」


 あ、「来て」でとったのね。

 俺は「着て」で言ったつもりだったけど、まぁいいか。合わせよう。


「そうだけど……」

「会いたかったし」

「え、あ、う、うん……でもパーティ明日って約束だったから、ケーキとかまだなんもないけど」

「別にもうご飯食べたし……一緒にご飯は、明日でいい」

「え」

「ゼロやんがいればいい」


 そして。

 とてもとても可愛らしい恰好で、とてもとても可愛いことを言ってくるだいが、もう我慢できないって感じで俺に抱き着いてくるではありませんか。


 そう、玄関を開けた先にいただいは、何とびっくりさきほど亜衣菜がゲーム内で〈Cecil〉に着させていたような、ふりふりのミニスカワンピのサンタ衣装を着て、頭には白いぼんぼんの着いたサンタ帽子をかぶっていた。

 抱きしめた際に触れ合う生地の材質も、滑らかで安物ではない様子。


 え、でも用意してないって言ってなかったっけ?

 というか会うの25日って言ってたよね?


 むむ。

 むむむ?


 でも俺が疑問を抱く間も、だいは変わらず俺にぎゅっと抱き着いてきたまま。


 ああもう、とにかく、可愛いなこいつ!!!


 うん、考えても分からないことは考えない!

 とりあえず分かるのは、俺の彼女可愛いってこと!!


 たまらない愛しさに俺は力強く抱きしめ返し、外気で冷えた彼女の体を温める。


 もしかしたら亜衣菜は全部知ってたのか……?

 それでいて、この衣装をだいに渡してたとか?


 うーん、だとしたらまんまと転がされた気分。

 でも、結果としてそれは悪いものではないんだけど。


 あえて聞くのも、野暮ってもんだろうし。


 俺の腕の中で幸せそうな表情を見せるだいに、俺は今はただ幸せを噛みしめる。


「ゼロやんあったかい……」

「ん、いくらでもあっためてやるよ」

「……うん。ねぇ?」

「ん?」

「来年も、一緒にクリスマスしようね」

「おう」

「再来年も、その先もずっとね?」

「おう、もちろんっ」

「わっ!?」


 そう言って抱きついてくるだいを抱きあげて、俺はだいとともに、ベッドの上にごろんと転がる。

 その動きにだいが少し驚いてたけど、ベッドに横なって、すぐそばにある俺の顔に気づいただいは、恥ずかしさと幸せと、その両面を併せ持つような表情でじっと俺を見つめ。


「……倫、好きだよ?」


 なぁんて、甘い言葉を囁いてくる。


 ああもう、可愛すぎるこいつ。

 くそう。


 だったら俺も。


「俺も、菜月のこと大好きだよ」

「んっ」


 お返しとばかりに愛を囁いて、そのままだいの唇を奪う。

 

 そのまましばし、愛を確かめ合う時間は続いた。




 ほんとね、幸せって、こういうことなんだと思う。


 色んな人がいて、色んな仲間がいて、色んな恋があって。

 様々な状況が人生にはあって、いいことも悪いこともあるけど、そういう日常の中で、こういう特別な日があるから、普段をきっと頑張れるんだろう。


 はにかんだ表情で俺を見てくるだいは、まるで幸せという言葉を体現したような、そんな存在に見えてくる。

 これもきっと、好きって感情がなせるものなんだろうな。


 もちろん幸せの形は人それぞれだし、それぞれ自由な幸せがあるだろう。

 

 ただ、俺の場合は、これなだけ。


「ん~?」


 長く続いたキスを終え、ほんの数センチの距離で普段見せないような甘々な様子のだいを見ていると、俺までにやけてしまうからね。

 顔もあったまってきたのか、火照って赤くなってる頰も愛おしい。


「明日のケーキのご所望は?」

「駅前のとこの、ホールで」

「マジ?」

「あそこのは余裕よ」

「そっか」


 そんなにやけを誤魔化すようにした話題の中で、俺は思わず笑ってしまったけど。

 

 結局は変わらない甘々な空気の中で、そんな文字通り甘々な話をして。


 俺の幸せは、つくづくだいでできるんだな、なんて感じながら。


「なぁ」

「うん?」

「愛してるよ」

「……っ! うんっ、私もっ!」


 心からすっと出てきた言葉とともに、また再び、可愛くてたまらないだいを抱きしめる。


 ではでは、ここから先は俺とだいの幸せなクリスマスとさせていただきます。

 たまにはこんな日があってもね、罰は当たらないよね!




 どうかみんなにもサンタさんから、幸せが配られますように。


 Merry Christmas!!








―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―

以下作者の声です。

―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★― 

 前日の懺悔を経て……。


 本編の流れぶったぎり!

 でもクリスマスくらい明るい話を書きたい!

 コメントも頂いておりましたので、そんな思いで突発的に書かせていただきました。笑

 3000字くらいのライトなのでいっかなー、とか思ってたんですけど、ログの会話を書いてくと長くなる長くなる。

 亜衣菜ちゃんはおしゃべりで困りものです。


 自重? 何それ美味しいの?

 そんなテンポで書きました。笑


 コロナ禍でなかなかままならない日々ですが、どうか皆様に幸せが訪れますように。


 正月にもこんなお話、書けたらいいなと思います。

 あ、もちろん本編進行も頑張ります。

 次話からはまた本編を進めますのでご安心ください!










 ちなみに例の6時間に、ゼロやんは久々のトナカイになったみたいです☆彡

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