第7章 思い出の対決編
第164話 まだまだ強くなりたい
〈Yume〉『やっぴー』
〈Jack〉『やっほーーーーw』
〈Yukimura〉『こんばんは』
〈Gen〉『よっ』
〈Zero〉『うぃー』
〈Daikon〉『こんばんは』
〈Senkan〉『おっす!』
〈Pyonkichi〉『なんか、こっちで会うの久々な気分だなー』
8月12日火曜日、20時13分、ギルド内に9人目となるゆめ
現在キャラ放置で仁くんの面倒を見ている嫁キング以外が、ゆめの登場にいつも通りの挨拶をする。
でもたしかにぴょんの言うこともなんとなく分かるなー。
リダと嫁キングは一昨日だけど、それ以外は昨日まで一緒にいたんだしね。
なんか不思議な感じだな。
ちなみに昨日の夜は、ベッドに入ってすぐに眠ってしまった。
俺が家に入ってから特に隣の家からケンカする声とかは聞こえなかったように思われるので、昨日うちのドアを叩いてた女性はただの酔っぱらった隣人の彼女かなんかで、訪ねる部屋の番号を間違えていただけなのだろう、たぶん。
しかしお隣さんって、ちょっと暗そうな雰囲気の、俺より少し年上の会社員さんだった気がするけど、まさかあんな綺麗な人と付き合ってたんだなー。
驚きだ。
〈Yukimura〉『今日は全員集合が早いですね』
〈Jack〉『え、それわざとだよねーーーー?www』
〈Senkan〉『まだあーすいねぇよw』
〈Yukimura〉『あ』
〈Gen〉『相変わらず天然かw』
昨日の夜のことを思い出す俺だったが、ボケボケなゆきむらのログにモニター前で思わず笑わされてしまう。
ちなみにさすがに平日なので今日は後ろにだいはいない。ので、笑ってても何か言われる心配はなしだからな。
しかしたしかに今日はいつもよりみんなの集合が早いな。
21時の活動スタートギリギリに揃うことが多いけど、まだけっこう時間には余裕あるし。
夏休み効果、かなー。
〈Pyonkichi〉『あ、次回オフは新婚さんお邪魔しますオフになったぞー。日程調整中』
〈Jack〉『ウェルカムだよーーーーw』
〈Senkan〉『ほほう。え、でもジャックんちそんなたくさん入れるのか?』
〈Jack〉『そんな広いわけじゃないけど、3LDKマンションだから、大丈夫かなーーーー』
〈Zero〉『おお、買ったのか』
〈Jack〉『そだよーーーー名義はあたしじゃないけどねーーーーw』
〈Yume〉『すごいな~。そういえば、リダのお家はどんななのー?』
〈Gen〉『うちは去年建売の一軒家買ったぞw』
〈Senkan〉『おお、一国一城の主か!』
〈Yukimura〉『城主ですね』
〈Gen〉『おうw殿と呼びたまえwww』
あーすの登場前なのに、ぴょんが既に次回の告知をしたってことは、まぁあーすは遠いから気にしない、ってことなのかなー……ちょっと不憫だな……。
でも、ジャックもリダも家持ちかー。
なんか、既婚者って感じするなー。
俺も実家は一軒家だったけど、こっちで建てるとなるとなー……ちょっと敷居が高いというか、23区内だと、なかなか手出ししづらいよなぁ。
もはやゆきむらとリダのやりとりにツッコむ気にもならず、ちょっと将来のことを考える俺。
ずっと賃貸でいるのもなんだから、結婚すればいずれ俺も家持ちになりたいとは思うけど。
この辺は未来の伴侶と要相談かな。
……だいもきっと一軒家育ちだろうから、一軒家がいいって言う気がなんとなくするけど。
〈Daikon〉『今日の活動って、何する予定なの?』
だが、この家トークにさほど興味を示さなかったか、あるいは流石ゲーマーというべきか、今日の予定を確認するだい。
たしかにそれは俺も気になってたところではある。
〈Gen〉『そういえば、一昨日話し忘れたけど、ジャックなんかいい案があるんじゃなかったか?』
〈Jack〉『確かに話すの忘れてたねーーーー』
〈Jack〉『秋に来るPvPに向けてみんなのスキル向上目指すなら、簡単なのは武器シャッフルだよーーーーw』
〈Pyonkichi〉『武器シャッフルー?』
〈Yume〉『みんな使う武器変えるのー?』
〈Jack〉『そうだよーーーーいつもと違う立ち回りを経験したり、自分の役割を他の人がやるのを見たり、自分のプレイを振り返るって感じだねーーーー』
ほうほう、なるほどねー。
【Mocomococlub】にいたときは、パーティシャッフルでいつもと違うメンバーと組んでプレイするとかはやってたけど、まさか武器を変えるとは……これが【Vinchitore】のやり方なのかな?
でも、武器だって人によって鍛えてる武器違うから、そもそもうまく組めるのか?
〈Zero〉『すげーな、【Vinchitore】ってそんなことしてんのか』
〈Jack〉『いやーーーーこれは幹部がたまに遊びでやるだけだよーーーーw』
〈Jack〉『あとはほら、たまに違うことすると面白いしさーーーーw』
〈Gen〉『おお・・・』
〈Daikon〉『さすがね・・・』
〈Senkan〉『メインじゃない武器を遊び感覚で出しても普通に俺らの数段上の強さっぽいよなw』
〈Yume〉『みんななんでも使えそ~』
〈Jack〉『んーーーーそういう人もいる、って感じかなーーーーw』
〈Yukimura〉『修練の賜物ですね』
〈Pyonkichi〉『いやー、他にやることねーのかー?』
〈Senkan〉『ま、人それぞれだろw』
さすがにぴょんに同意したい気持ちもあるけど、まぁね、本人たちが楽しんでいるならいいのだろう。俺もかつては廃ギルドにいた身だし、あの頃はね、楽しんでやってたからね。
ジャックだってほとんどの武器使えるだろうしさ。
〈Jack〉『ということで、メイン武器以外でみんな使えるようになりたい武器教えてーーーーw』
〈Senkan〉『俺は錫杖だな!』
〈Daikon〉『私は銃かな』
〈Yukimura〉『槍です』
〈Zero〉『あー、今は盾かなー』
〈Yume〉『斧以外だと苦無しかやってないよ~』
〈Pyonkichi〉『あたしは
〈Gen〉『俺は大剣もだけど、メイスもちょっとやりたいw』
〈Gen〉『あ、嫁もメイスだそうです』
〈Jack〉『おっけーーーーみんなスキルいくつーーーー?』
俺には無理だけど、ジャックが即座にOKを言ったってことは、もうなんか編成のイメージあるのかな?
〈Daikon〉『254』
〈Yume〉『え、だい早くない~?わたしは222だよ~』
〈Yukimura〉『わたしは278まできました』
〈Yume〉『えっ!? わたしの斧とほぼ変わんないじゃんw』
〈Pyonkichi〉『ゆっきーはやる気すげーからなー。あたしは182だー』
〈Zero〉『俺の盾は今260』
〈Senkan〉『倫ももうそんな上げてたのか!ちなみに俺は212!』
〈Gen〉『えーっと、俺が154で、嫁が132かな』
〈Jack〉『おっけーーーーちょっと編成考えるねーーーー』
あ、まだできてたわけじゃないのか。
でも、みんなの希望を合わせてくと、盾もアタッカーも後衛も、それなりにバラけたな。
あとはあーす次第、かな?
〈Earth〉『やっほー☆あーちゃんだよー☆オフ会ではお世話になりました☆』
あ、噂をすれば。
しかしすごいな、中の人バレしてもなお、そのキャラなのか。
21時までまだ30分ほどあるが、これでほんとに全員集合である。
〈Jack〉『やっほーーーーw』
〈Yume〉『大地くんこんばんは~』
〈Pyonkichi〉『おせーぞ大地ー』
わーお。
さすがゆめとぴょん、いきなりのいじり。
昨日そんな呼び方してなかったくせに。
〈Earth『あーちゃんだよー!?』
〈Yukimura〉『あーすさんの武器はなんですか?』
〈Earth〉『え、ゆっきー何の話??』
〈Gen〉『ゆっきーはいきなりだなw』
〈Earth〉『あーちゃんの武器は可愛さだよっ☆』
〈Yukimura〉『そんなことは聞いてませんけど』
〈Senkan〉『お前らほんと面白いなw』
ほんと、我らがギルドの女性陣は恐ろしいな。
あーすがいじられてたのは前からだけど、さすがに少し同情するぞ……。
このログを、だいはどんな気持ちで見ているのだろうか……?
〈Zero〉『いま、俺らのプレイヤースキル向上のために普段あんまり使わないけど、鍛えたい武器の話してたんだよ』
〈Earth〉『あー、そういうことねっ☆おっけー☆』
〈Earth〉『えっとね、ちゃんと鍛えたいなら弓かなー☆』
〈Pyonkichi〉『いつも使ってんじゃねーか』
〈Jack〉『スキルいくつーーーー?』
〈Earth〉『221だよ☆』
〈Yume〉『あ、あんまり高くないんだね』
〈Pyonkichi〉『割と恐竜相手にダメージ出してるのは武器がいいからかー』
少なくともぴょんよりはけっこう高いと思うけど、フォローすんのはやめとこう。
うん、そうしよう。
〈Daikon〉『今言った装備で、キングサウルスは無理よね』
〈Zero〉『いや、それはさすがに無理だろw』
〈Gen〉『スキル200以下じゃ、まず道中の中ボスすらやばいぞw』
〈Senkan〉『だいはスパルタだなーw』
〈Jack〉『ちょっとまってねーーーーw』
俺たちが苦もなく倒せるようになったキングスサウルスだが、それでもあれは現状最高難易度のコンテンツボスだからな。
昔は何回も負けてた相手だし、ほんとね、だいの発言は強気すぎるよ。
自分の彼女ながら、そのログに俺が苦笑い。
〈Jack〉『じゃあ編成2つ言うねーーーー』
ジャックのログが出るまで、オフ会の感想などを話してた俺らだったが、5分ほどで再びジャックのログが現れると、みんなのログが止まった。
〈Jack〉『1班:ゼロやん、ゆっきー、だい、せんかん、リダで、挑戦するのは空中庭園のワシでーーーー』
〈Jack〉『2班:ぴょん、あーす、ゆめ、嫁きんぐ、あたしで、挑むのはピラミッドのミイラでーーーー』
〈Jack〉『あたしは2班でヒーラーやるねーーーーw』
〈Gen〉『ほほうw』
〈Jack〉『ワシのほうはちょっときついかもだけど、ゆっきーとだいは武器強いから、うまく立ち回れば倒せるはずだよーーーーw』
〈Yukimura〉『5人で挑むんですね』
〈Yume〉『ミイラかー。ぴょん盾でいけるかな?w』
〈Pyonkichi〉『おー?あたし一人で殴り倒してやるぜ!』
〈Senkan〉『いや、そのメンバーだとぴょん盾だからw』
ジャックの発表に、それぞれが思ったこと言ったりするが、そうか2班に分けるのか。
俺らが挑む空中庭園のワシは、一昨年の拡張データである「天空の咆哮」で実装されたダンジョンコンテンツで、ボスであるワシこと〈
空中庭園のグラフィックは正直めちゃくちゃ綺麗だが、ダンジョン内を進むにはワープ装置を起動させる特定のスイッチを押して、一定時間以内にワープ装置まで進む、という行程を何度も繰り返す、戦闘よりも移動が
またボスであるワシも通常モードだけでなく、定期的にくる飛翔モードで、物理攻撃が届かなくなるという状態がある。ガンナーのだいがいるから飛翔モードでもダメージは与えられるけど、ウィザードなしとなると、ちょっと大変かもなー。
ピラミッドのミイラは、前にだいの装備取りにいったボスであの時は瞬殺だったが、ジャックが発表した2班のメンバーだと、全ては
あーすは武器が強いから、下手に暴れてヘイト取ったらあっという間に死ぬだろうし。
まー、そっちにはジャックがいるからなんとでもなるだろうけど。
ちなみに実装当時はどっちも5人で攻略するようなコンテンツじゃなかったからな。
特にワシなんて盾役2にアタッカー1、ウィザード2、サポーターとヒーラーというのが基本編成だったし。
というか俺もあれじゃん、最高峰の武器持ち二人からタゲキープとか、うわ、しんどそう!
〈Gen〉『普段と違うことやるのは楽しみだな!w』
〈Daikon〉『そうね、コンテンツでの立ち回りなんて初めてだし、面白そう』
〈Yukimura〉『楽しみですね』
〈Senkan〉『回復は任せろ!w』
だが、俺の不安をよそに、ゲーマー色強めな我らが第1班のメンバーは既にわくわく感を出している。
いや、俺もね、楽しみではあるんだけどね?
〈Earth〉『あーちゃんが全部倒しちゃうぞ☆』
〈Pyonkichi〉『やばかったら盾チェンジよろー』
〈Yume〉『ほんとにそうなりそうw』
〈Jack〉『それじゃ意味ないよーーーーwww』
第2班もまぁ、うん。頑張れ。
〈Daikon〉『ゼロやんはちゃんとヘイトキープするのよ?』
〈Yukimura〉『守ってくださいね』
〈Zero〉『善処します・・・』
うちの班のアタッカーを務めてくださる女性陣からの期待に精一杯の返事をしつつ、嫁キングが戻ってきた21時ちょっと過ぎ、俺らは各班毎にパーティを組み、それぞれの目的地へと出発するのだった。
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以下
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第7章開幕。
久々のゲームパートです。
たまに自分でも迷いますが、本作はオンラインゲーム題材ですので……!
前半は久々のゲームパートにお付き合いください!
(宣伝)
本作スピンオフシリーズである『オフ会から始まるワンダフルデイズ~Side Stories~』。現在は〈Airi〉と〈Shizuru〉のシリーズが完結しています。
え、誰?と思った方はぜひご覧ください!
3本目難航中。
暑くなってまいりました。皆様もお体にはお気をつけください!
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