Side Stories の続編は別作品『オフ会から始まるワンダフルデイズ Side Stories』に移籍しました!

Side Story 〈Airi〉 episode Ⅰ


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以下作者の声です。

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 第3章までであの二人の関係が大きく変化しました。


 それに伴いまして、というと変な言い方ですが、本編と並行してここまでの登場人物の誰かにスポットを当てたサイドストーリーも書いていきたいと思います。

 こちらを読んでから改めて色々と読み返すと、当時このキャラはこう思ってたのかー、とか見えてくるかもしれません。

 そんな内容にしたいと思います。


 なお、Side Storiesは第3章までお読みいただいてから、手をつけられるのをオススメさせていただきます。


 なお、Side Storiesは第3章までお読みいただいてから、手をつけられるのをオススメさせていただきます。


 なお、Side Storiesは第3章までお読みいただいてから、手をつけられるのをオススメさせていただきます。


 大事なことなので、3回書きました。笑


 できれば、毎日本編1話・サイド1話掲載できればと思いますが、サイドストーリーは間に合わない日もあるかもしれません。

 ご了承ください。


 最初の主役は〈Airi〉。「え、誰?」と思うかもしれませんが大丈夫です。

 読んでいただければわかります(笑)

 むしろこの段階で、あのキャラか、と分かる方がいたら驚きです。読み込み度高いです。嬉し泣きします笑

 もし分かった方いましたらご連絡ください。ご希望があれば、希望するキャラのサイドストーリーを次にします。笑


 ちなみにこの子は特に作者のお気に入りキャラの一人。

 この子なくしてこの物語は成り立ちませんからね。

 困ったときはこの子なのです。


 なお本編よりはテンポよく、文字数も短めに書いていく予定です。

 こちらはカクヨムオンリーでやろうかなと思います。


 本編同様、お楽しみいただければ幸いです。

 それでは、どうぞごゆっくり。







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「あ」

「……ふーん」

「え、ちょっと!?」


 もう具体的な日付は記憶にはない。

 でもたしか7月の頭頃だったかなー。


 社会人になって2年目の夏。

 まだあたしが26歳になる少し前の頃。

 

 1学期の期末テスト前だったから、普段は部活指導で出勤が多い土曜日も、あの日は休みだったんだよなー。


 だから、あたしはちょっとしたサプライズをしようと思った。

 でも逆にサプライズをのは、今考えると滑稽だ。


「ち、ちがっ!」

「ちっ、ちがうんです!」

「うっせーよばーか。何が違うのか説明してみろってんだ」


 あたしはサプライズのつもりで、当時付き合ってた彼氏の家にノーアポで行った。

 合鍵ももらってたし、別にいつ行ってもいいんだろって思ってたんだ。


 でもやっぱ、いつ行ってもいいわけなんてないんだなー。

 相手にも都合ってのがあるらしい。


 知るかって感じだったけどねー。


「荷物、回収してくから」

「ま、待ってくれって!」

「そ、そうですよ! 早まらないでください!」

「あん?」


 あの時は自分でも思った以上にドスの効いた声出せた気がするなー。

 あたしにびびって、あいつ黙りやがったからな。


 出会ったのは大学1年の頃、18歳。

 付き合ったのは、1年半前。

 告白は向こうから。

 きっかけはあるあるの、同窓会。

 ああ、また無駄な1年半だったなー。


 さすがに1年半も付き合ってりゃ、相手の家にも私物は増える。

  化粧品やら着替えやら色々置いてたから持って帰ろうと思ったけど、荷物整理してる間にあんな男の家に置いてたものが汚らわしく見えてきて、あたしは持って帰るのをやめた。


「やっぱ、あたしのもの捨てといて」

「お、おい!」

「は、話だけでも!」


 彼氏、いや元カレは焦った表情を浮かべ、隣にいた女も同じように焦った表情だった。

 でも、何言われても響かねぇよ。

 何か言いたいならそれなりの恰好しやがれってんだ。

 じゃねぇんだからさ。


「あんたはあたしの物を捨てる」

「え?」

「あたしはあんたを捨てる。お互い様でちょうどいいだろ」

「ま、まてって!」

「違うんです! 私と彼はそういう関係じゃ――」

「――男と女が裸でベッドの上にいて、そういう関係じゃないならなんだってんだ?」

「わ、私には別に恋人がいますから!」

「なんだよ、クズ同士かよ。お似合いなんじゃん?」


 男前に見えてた元カレの顔が、ものすごくダサく見える。

 隣にいた女は、髪が長くて、色白で、可愛くて、胸が大きい。

 ザ・男受け◎って感じの子だったな。


「あたしは不誠実なやつは嫌いなんだ。もう一生あたしの前に姿みせんなよ?」

「あ、愛理あいり待てって!」

「大学の同窓会に顔出しやがったら言いふらすからなー」

「お、おい!」


 もらってた合鍵を床に放り捨てて、あたしは通い慣れた1Kのアパートから退散する。


 あいつらが抱き合ってたベッドであたしも寝てたとか、ほんともう、吐き気がするわ。




 結局またなんだ。

 ほんと、毎回こう。


 付き合い始めは楽しくやれても、付き合ってから、必ずこうなる。


 自分で言うのもなんだけど、あたしは女の子らしくない。

 色白じゃないし、髪は短くするのが好きだし。

 顔は……悪くないと思うけど、胸はもう絶望的に小さい。

 いや、悲しいかな絶壁。

 

 でも付き合う時はこう言われるんだ。


『そんな愛理が好きなんだ』


 あたしだって、そう言われれば、当然嬉しい。

 だから信じてしまう。いや、騙されてしまう、が正解かな。


 結局男は可愛い子が、女の子らしい子が好き。

 結局あたしは友達の延長でしかない、そんな存在止まりなんだろ?


 元カレの家から帰る途中、そんなことを考えてた気がする。




 こんな日は決まってあそこに逃げていた。

 悔しいけれど、やっぱむかついてしょうがないから、あたしは現実逃避をするのだ。


 そこは文字通り非現実。

 1と0の世界。

 顔も知らない者同士が、それを共通ルールとして過ごす場所。


 ここを紹介してくれたのは、あのくそ男だったけど。


 腹立たしい気持ちを抱えたまま、あたしは自宅に帰ってPCを立ち上げ、慣れた操作をする。


 画面が立ち上がり、あたしの逃げ場所が表示される。


『Legendary Adventure』


 ここがあたしの逃げ場所。

 嫌なことがあっても、この世界にはいつだって冒険が溢れてる。

 いつだってあたしを迎え入れてくれる。

 ここなら、あたしの見た目なんか関係ない。


 この世界では、山村愛理あたしを知っている奴はいない。

 この世界での私は〈Pyonkichiぴょんきち〉。

 あたしの分身は、可愛い可愛い、小人の男の子。


 さぁいくぞ〈Pyonkichi〉!

 

 今日も冒険に出発だ!!

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