第87話 ピラミッド攻略戦
何年振りかに訪れたピラミッドのホラーゲーム感あるBGMに懐かしさを感じつつも、あまりにも格下の敵相手に俺たちはさくさくと進行していった。
最近やっているキングサウルス討伐のコンテンツでは、道中30分、ボス戦30分という制限時間があるが、このダンジョンは入場してボスを倒すまでを含めて45分。
昔はけっこうかつかつだった記憶があるが、やっぱね、装備スキル含めて250程度がキャップだった時代と比べると、今はもう余裕すぎるね。
〈Pyonkichi〉『そういや、ここのドロップ率って何%なの?』
〈Jack〉『武器以外は100%だよーーーーw』
〈Pyonkichi〉『え、マジ?』
〈Yume〉『お得だね~』
〈Gen〉『武器が3つだったかな、種類は抽選だけど、枠は確定だ』
〈Jack〉『スコープなんかみんな捨てるような装備だったねーーーーw』
〈Zero〉『いうな。悲しくなる』
〈Daikon〉『私も昔もらったけど、捨てた気がするわ』
〈Yukimura〉『ガンナーとアーチャーは昔から少ないんですね・・・』
〈Yume〉『ゼロやんレアキャラだ~』
〈Zero〉『うるせーな!』
背後から聞こえる、カタカタというタイピング音と、くすくすという感じの笑い声。
敵との戦闘が苦労ない分、みんな会話にも余裕があるな。
しかしだいめ、捨てるとはもったいない。
俺は初めて手に入れた時はけっこう喜んだのに!
〈Jack〉『あ、次の中ボス気を付けてねーーーー』
〈Pyonkichi〉『なんでだ?』
〈Gen〉『魅了があるw』
〈Pyonkichi〉『ほほう』
〈Zero〉『今なら大抵レジれるだろ』
〈Jack〉『いやーーーーわかんないよーーーー?』
〈Daikon〉『そうなの?』
〈Jack〉『くもんから聞いたけど、ここで【
〈Zero〉『まじかよ』
〈Yukimura〉『あのギルドでもそんなことあるんですね』
〈Jack〉『全員が全員、幹部みたいに強いわけじゃないよーーーーw』
〈Pyonkichi〉『元幹部が言うと説得力がちげーなw』
〈Jack〉『魅了されたのくもんらしいけどねーーーーw』
〈Zero〉『幹部じゃねーかよ!w』
ぴょんに同意しかけたところで、俺は思わずツッコミをいれる。いやぁ、見事なオチだった。
しかし【Vinchitore】でも半壊か、まぁ今はアタッカーたちの性能が上がってる分、魅了くらったやつの攻撃受けたら、後衛なら1発、
あ、ちなみにレジってのはレジストのことね。モンスターがやってくる状態異常攻撃を防ぐことを意味するぞ。
〈Jack〉『前方の方がレジ率上がるから、みんなリダの後ろから攻撃がいいねーーーー』
〈Yume〉『おっけ~』
〈Yukimura〉『わかりました』
〈Daikon〉『了解』
そんな会話をした2分後くらい。
迷路のようなピラミッド内部を、ジャックの案内で進んだ俺たちは予定通り中ボスが見える位置までやってきた。
この頃のダンジョンは中ボスも通常モンスターと同じように配置されていて、普通に近くに雑魚モンスターも配置されている。
よく考えると、当時はけっこうえぐい敵だったんだな。
扉の前に立つ、ちょっといい感じのローブを着たミイラ。
今ならもう苦戦もしないだろうけど。
〈Gen〉『じゃ、いくぞー』
リダも軽いノリで突っ込んでいく。
まー連撃2回もあれば余裕だろう、うん。
でも行動阻害ないのは、今となってはちょっと物足りないなー。
射程範囲外に立つと雑魚モンスターに
そこで淡々と銃撃を行いつつ、リダのヘイトがいい感じにあがった頃、ゆきむらの
いつも通りの連撃は、ゆめのスキルミスもなく、順調。あ、ぴょんは弱点の関係で炎系のファイアストームに使う魔法変えてるけど。
1回目の連撃で、残りあと1割まで削れた。
うん、やっぱもう今じゃ敵じゃないなー。
猛攻なっても大して脅威でもないし。
「っておい!」
「あ」
あとちょっとで倒せるなー、と油断してモニターを見ていた俺は、タイピングより先に声を出していた。
〈Jack〉『フラグだったかーーーーw』
〈Yukimura〉『一直線でしたね』
〈Pyonkichi〉『ヤンデレかよw』
〈Yume〉『ちょっと笑ったw』
〈Daikon〉『ご、ごめんなさい・・・』
あと少しだから削り切れると判断したであろうだいは、背後からの攻撃の方がダメージ倍率が上がる短剣スキルを発動させようと、中ボスの背後に回り込んでいた。
そして見事なタイミングやってきた魅了技。
一人を除き全員がレジストしたが、一人だけ、背後にいたキャラクターが魅了され。
味方に襲い掛かる凶刃。
鋭いだいの攻撃の前に、
いやもうほんと、反応できる速さじゃなかった。
迷いなく、俺を
普通は中ボスのヘイトあげてたリダにいくんじゃないの!?
ちなみに中ボス自体はゆめとゆきむらがそれぞれのスキル使ってだいの魅了直後に倒しきったため、俺以外に被害はなし。
「ご、ごめんね・・・」
「いやもうフラグ回収見事すぎて笑えるわw」
〈Pyonkichi〉『被害なーし!』
〈Yume〉『なーし!』
〈Gen〉『ま、問題ないべw』
〈Zero〉『みんなひでーな!』
〈Jack〉『なんでゼロやんにいったんだろうねーーーーw』
〈Yukimura〉『だいさんは、ゼロさんがお嫌い・・・?』
〈Daikon〉『か、関係ないでしょ!』
〈Yume〉『リアルパラメータも影響するんだね~w』
〈Pyonkichi〉『新ギミックか!?w』
〈Gen〉『動画とっとけばよかったーw』
〈Zero〉『誰にもつたわんねーよ!』
〈Zero〉『ていうか早く
付近に雑魚モンスターがいるため、自動蘇生が発動しないので、ジャックの蘇生魔法をもらって復活する俺。
まぁ俺一人いなくても余裕だろうけど、ほんと、最近の俺への扱い、みんなひでーな!
今振り返ったら可哀想だから、振り返らないけどさ!
そして俺だけ3分間のスキル使用不可ペナルティとなり、黙ってみんなについていくだけという悲しい役割になりながら、道中の燭台ギミックも通過し、2体目の中ボスも撃破した俺たちは、あっさりとボスまで辿り着いた。
そして魅了技もないようなボスは、あっさりと撃破し、だいの目的の装備を手に入れる。
うーん、こんなあっさりだと何の感動もない。
このメンバーで来たの初めてなのに、いきなり作業だったな。
〈Yume〉『さくさくだったね~』
〈Pyonkichi〉『ぬるいな』
〈Yukimura〉『ここのBGM、眠くなりますね』
〈Yume〉『ゆっきーそれはわかんないw』
〈Jack〉『でもだいおめーーーーw』
〈Jack〉『それあると攻撃当てやすくなるよーーーーw』
〈Daikon〉『うん、がんばるね』
そんな感じでピラミッドを脱出し、俺たちはみんなでホームタウンへ帰還したのである。
時計を見ればだいたい23時ちょっと過ぎ。
うん、だいたいいつもと同じ感じの終わりだな。
〈Pyonkichi〉『おつかれーw』
〈Yume〉『今日も楽しかったね~』
〈Jack〉『リアルで会ったばっかだから、ちょっと不思議な感じーーーーw』
〈Yukimura〉『でも、皆さんの顔が浮かぶとすごく楽しいです』
〈Gen〉『俺も早く会いたいもんだw』
〈Daikon〉『宇都宮楽しみ』
〈Gen〉『餃子巡り案内するよw』
〈Daikon〉『え、嬉しい』
〈Zero〉『さすがっすわ』
〈Gen〉『じゃ、また火曜な!』
〈Yume〉『おやすみ~』
〈Pyonkichi〉『じゃーな!』
〈Yukimura〉『おやすみなさい』
〈Zero〉『おつー』
〈Daikon〉『おつかれさまでした』
〈Jack〉『またねーーーーw』
こうして今日の活動日&ぴょんが言うところの「だい
二日目があるのか知らないけど。
アイテム整理を終えてギルドメンバーを確認すると、リダとゆめとぴょんは、もう
ゆきむらは……あ、なんかフィールドでてるからなんかしてるのか。
俺は俺で、背後にいるだいはこのあとどうするんだろうとか、ちょっとそんなこと考え出す。
みんながいなくなったらなったで、再び湧き上がる緊張感。
こいつ、このあとどうするんだろ?
さすがにもう夜遅いから帰るよね……?
そんなことを考えていたせいで。
俺たちみんな、リダに「誕生日おめでとう」を言うのを忘れていたのを思い出したのは、次回の活動日なのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます