第44話 ドロップ率は中の人を知ってる気がする
〈Jack〉『強化おkだよーーーー』
〈Yukimura〉『最初あーすだけでしばらくヘイト上げてもらったら?』
〈Zero〉『お、それいいな』
〈Earth〉『まっかせろー☆』
〈Daikon〉『後半から足も使ってくるから、よく見てね』
〈Earth〉『こいつは正面から見てたし、だいじょうぶいっ☆』
〈Pyonkichi〉『ほれ、じゃあいってこーい』
〈Yume〉『犬みたいw』
まぁあーすが雑な扱いなのはいつものことだけ、ゆきむらの言葉に従い、あーすだけがまずはボスに突っ込んでいく。
まぁこうやって見てる分には、安定してるよな。
〈Jack〉『ぼちぼちかねーーーー』
〈Yume〉『いくぜー』
ジャックの合図で俺たちはいつもの持ち場に移動する。
あ、だいだけは
俺はあーすの後方に立ち、ボスの爪を、
まずはボスの右腕を通じる。
続いて、尻尾か……ショット!
お、成功だ。
尻尾攻撃はボスが回転しながらやってくるため、振りかざして振り下ろす爪よりも、照準を合わせるのが難しく、俺もあまり成功率は高くないのだが、今日は幸先よく成功した。
残るは左の爪。絞り込めれば防ぐのは、造作ない。
〈Jack〉『ゼロやん完璧じゃーーーーんw』
〈Daikon〉『油断しないでね』
ジャックが褒めてくれたと思えば、だいは俺を甘やかしてくれないみたいだ。
まぁあいつなりの、称賛なんだろうけど。
〈Earth〉『ゼロやん!』
丁寧にあーすがブレスモーションを教えてくれたが、そんなのは言われなくても分かってる。
ほらよっと!
〈Yukimura〉『1番!』
ゆきむらの一刀両断による硬直時間延長後、ゆめが即座に
続けてぴょんのブリザード。
うん、これで1割は削れたな。
ここまでまだ3分かかってないし、これはいけるペースだろう。
ちなみにサイレントショットは次撃のヘイト上昇を大きく抑えるスキルで、連撃によるヘイト上昇軽減効果をさらに高めるものだ。
普段はほぼ使っていないのだが、今日は念のために道中用意しておいたのだ。
〈Zero〉『15秒あーすに任せる』
〈Earth〉『おっけぃ☆』
15秒とか、時間は適当だけど、この時間で再度あーすのヘイトをあげてもらう算段だ。
最近は15分とかで倒し切ってたけど、本来は30分あるんだし、まぁ今日は時間かかってもいいだろう。
ほんと、倒す手順が分かると、難敵攻略ももう作業だな。
こんなこと言うと、だいに油断するなと怒られそうだけど。
〈Yukimura〉『そろそろ足くる』
〈Earth〉『どんとこいだー☆』
ジャックの先を見たサポートや、ぴょんの阻害魔法、だいの丁寧な回復で俺たちの攻略は順調そのものだった。
残り時間も22分あるし、ここから5部位の攻撃阻害が必要になっても、まぁ時間は足りるだろう。
〈Daikon〉『ヒーラーって、けっこう暇ね』
〈Jack〉『ゼロやんがうますぎるんだよーーーーw』
〈Jack〉『でもいないと俺大変なんだけどねーーーーw』
〈Pyonkichi〉『まー敵変わってもやることは変わんねぇもんなー』
〈Daikon〉『嫁キングを尊敬するわ』
〈Jack〉『本人に言ってあげなよーーーーw』
〈Yume〉『みんな余裕じゃ~ん』
爪、足、爪、尻尾……ミスった。尻尾……ああ、くそ。足。
俺は集中してボスの部位に銃撃をしているため、正直会話をする余裕なんかない。
俺のミスに備えて集中するあーす、振り回す途中で攻撃判定がある尻尾を捌くゆきむらも、タイピングする余裕はなさそうだ。
パーティチャットに見える4人の会話に視線だけを送り、俺は変わらず狙撃を続ける。
こうやってると、時折ジャックから届くMP回復魔法や、銃撃の命中率を上げる魔法が、黙って働けという風にみえてくるから、何とも言えない気分になるな。
まぁ、みんなの武器が取れるまで、倒しつづけるしかないんだけど。
秋にはまた追加の拡張データが来るというし、それまでに今回の武器は取っておきたい。
傾向として次回は高レベル防具とかだろうしな。
そして残り時間6分。あと1,2連撃で倒せるかなーというところまで俺たちはボスのHPを削っていた。
そして来る。ブレスモーション。
今となってはこれはアタックチャンス以外の何ものでもない。
まぁ高レベル
〈Yukimura〉『1番!』
いつもの流れで始まる連撃。ゆきむらから、ゆめ、俺と続き……。
っておい!
だいのやつなんでボスの後ろに走ってんだ!
お前ヒーラーだ……ろ……!?
俺のマルチプルショットの直後、ぴょんのブリザードと同時に、だいの
〈Yume〉『いつのまにーw』
〈Zero〉『すご、リアル
〈Yukimura〉『そろそろ、刀でないかな・・』
〈Daikon〉『ジャックにやってみたらって言われたからよ!』
〈Daikon〉『もらって、いいよね・・・?』
〈Jack〉『やったねーーーーw作戦成功――――w』
〈Earth〉『だいちゃんおめでと☆』
〈Pyonkichi〉『あたしのトドメ予定がーw』
〈Daikon〉『ありがとね』
〈Zero〉『でももう1個どうするよ?』
〈Jack〉『誰もいないなら、もらうけどーーーーw』
〈Yume〉『ほんと2つでるんだー』
トドメを刺したのは、だいのシャドウスタッブ。
そして見事に、だいはトドメドロップで10%の確率を引き当て、見事に短剣をドロップさせた。
そしてさらに、1%という奇跡的な確率で通常ドロップしたのは、槍。
残念ながらこのギルドには使い手が誰もいない、槍。
〈Zero〉『まぁジャックが一番槍スキル高いか?』
〈Earth〉『ゆっきーは、槍やってないのー?』
〈Yukimura〉『うん。どうして?』
〈Earth〉『え、真田幸村って、槍の使い手じゃないの??』
〈Zero〉『そうだな、史実だと十文字槍の使い手とかなんとか』
〈Pyonkichi〉『さすが社会科』
〈Yume〉『男の子は歴史好きだもんねー』
〈Yukimura〉『そう言われると、槍も、あげようかな・・・』
〈Jack〉『もらっちゃえもらっちゃえーーーーw』
〈Yukimura〉『あ、ありがとう』
〈Zero〉『おめーw』
〈Yume〉『次回から、ゆめが順番最後ね!』
〈Pyonkichi〉『あたしとの勝負だなw』
〈Yukimura〉『なんか、嬉しいな』
〈Daikon〉『だね、これでもっと強くなれる』
顔は見えないが、
うん、出てよかったな!
〈Jack〉『リダなしでもいけるもんだねーーーーw』
〈Earth〉『あーちゃんに任せとけい☆』
〈Yume〉『ゆっきーいなかったら、危なかったでしょーが』
〈Pyonkichi〉『調子のんなあーす』
〈Earth〉『みんな冷たいよー☆』
〈Zero〉『だいもヒーラーお疲れw』
〈Daikon〉『ジャックがいなきゃ危なかったわよ』
〈Jack〉『いやいやwだいもハードなギルドいただけあって、うまかったよーーーーw』
〈Yume〉『明日、リダがきたら報告だねw』
ドロップ品を分配し、俺たちはダンジョンを脱出する。
たしかにボスを倒し続けるのは作業だけど、やっぱこの、欲しいアイテムが出た瞬間、これがたまんないよな。
一人じゃ取れないからこそ、みんなでやる。
うん、これが醍醐味だな!
いい充実感を伴ったまま、俺たちはその日の活動を終了するのだった。
〈Zero〉『短剣おめでと!』
〈Daikon〉『うん、ありがと。嬉しい』
〈Zero〉『しかしまさか武器持ち替えてたとか、気づかなかったわw』
〈Daikon〉『ジャックが、そろそろって、言ってきたから』
〈Daikon〉『言ってこなかったら、私も黙ってみてたわよ』
〈Zero〉『3分前からあの状況を見越してか、すげーなー』
〈Daikon〉『ね、ジャックはほんとにすごい』
戦闘中の武器変更により、リアル3分間のスキル・魔法使用不可ペナルティになるのを見越しての行動とは、ジャックの状況把握はほんとに恐れ入るな……。
〈Zero〉『今度スキル見せてよ』
〈Daikon〉『もう動画あがってるでしょ?』
〈Zero〉『いや、動画と間近じゃちげーだろw』
〈Daikon〉『しょうがないわね』
〈Zero〉『さんきゅw』
〈Zero〉『じゃ、今日はいい気分で休めよw』
〈Daikon〉『はいはい、じゃあまた明日』
〈Zero〉『おう、おやすみ』
〈Daikon〉『おやすみなさい』
ログアウト前の、俺とだいの個別のやり取り。
いつもはだいから送ってくることがほとんどだが、今日はきっと新装備を手に入れたことで、
まぁやっぱだいも喜んでるみたいで何よりだ。
ログアウトをし、俺はベッドに横になる。
今日もいいLAライフだった。
しかし、「また明日」か。
いい言葉だよな。
寝て起きれば、明日は変わらずやってくる。
うん、明日もいい日になりますように……Zzz
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