第2章 恋の自覚編
第43話 いつもと違う編成
修羅場の水曜を越え、やってきた安息の週末、6月27日の土曜夜。
俺たちはいつも通りの活動日のため、【
ちなみにこの前の水曜以降ちょくちょく亜衣菜から日常会話のようなTalkが来るようになったのが、今までの生活との違いだろうか。
〈Gen〉『今日はちょっと子どもが熱だしてな、すまんが俺と嫁は休ませてくれ!』
〈Daikon〉『え! ううん、こっちは気にしないで、お大事にね』
〈Yukimura〉『家庭優先』
〈Pyonkichi〉『しっかり見てやれよー』
〈Zero〉『お大事にな』
〈Yume〉『早くよくなるといいね!』
〈Jack〉『リダたちもきをつけてねーーーー』
〈Earth〉『具合悪いの、とんでいけー☆』
まもなく活動時間の21時だったのだが、珍しく時間前にログインしていなかったリダが現れたと思うと、今日は休むという連絡をして、すぐにログアウトしていった。
さすが普段は教師をやってるみんなだ、子どもが具合悪いとなるとみんな心配している。
このへんも、このギルドの好きなところだなぁ。
しかしやはり子どもができると、大変だ。
俺は……いつになるんだか……だけど。
頭に浮かぶ亜衣菜の顔。もしあいつと別れていなかったら……とかそんな妄想をしだした自分の頭を振り、妄想を打ち消す。
ええい、何を考えているんだ俺は!
〈Jack〉『リダなしかーーーーあーす、メイン盾いけるーーーー?』
〈Earth〉『え、あ、そっか、あーちゃんしかいないのか!』
〈Pyonkichi〉『何もしねぇのはつまんねぇよなー』
〈Yukimura〉『練習あるのみ』
〈Yume〉『そだねー。せっかく盾上げてるんだし』
〈Daikon〉『私がヒーラーやるよ』
〈Pyonkichi〉『え、だい錫杖あげてたの!?』
〈Daikon〉『嫁キングみたいにちゃんと鍛えてるわけじゃないけど』
〈Daikon〉『あーすのサポート、ジャックだけじゃ大変でしょ?』
〈Jack〉『女神かーーーーw』
〈Yume〉『見た目は男だけどw』
俺が妄想と戦ってる間に、ギルドチャットでは今夜の流れが話されていた。
しかし、だいのやつヒーラーやるって言い出すとか、珍しいな。
あいつはあれで負けず嫌いだから、自分が自信もってコンテンツに出せるっていう武器以外使いたがらないんだが、ありがたい申し出だ。
みんなは驚いていたようだが、だいと付き合いの長い俺は、だいが大半のスキルを上げているのを知っている。格闘と銃、弓は上げてなかったはずだが、それ以外は200近くまではあるんじゃないかな。
後衛なら、まぁなんとかなるだろう。
〈Jack〉『と、なるとーーーー』
盾:
アタッカー:
後衛:
という編成になった。今までの攻略よりアタッカーとしてあーす、だいが抜けるのは痛いが、その分ボスのHPも減っているから、なんとかなるか、なー。
まぁ全てはあーすのヘイト管理なんだけどね。
〈Earth〉『あーちゃん頑張るぜ☆』
〈Yukimura〉『サポートする』
〈Earth〉『ゆっきーありがと☆』
〈Pyonkichi〉『なんだかんだゆっきーは優しいなw』
〈Yukimura〉『負けるのは、悔しい』
〈Daikon〉『負けるとすれば、あーすじゃなくゼロやんかも』
〈Zero〉『へ?』
〈Jack〉『そだねーーーーそれはあるかもーーーー』
〈Pyonkichi〉『おおっと、イケメンが困惑しております』
〈Yume〉『俺がみんなを勝たせるぜ、とか思ってたんですかねー』
〈Zero〉『ど、どういうことだよ』
あーす次第、と思ってたのは俺だけ?
うーん、なんでだ?
〈Daikon〉『ヘイト』
〈Jack〉『リダとちがって、まだあーすじゃスキル少ないからねーーーー』
〈Zero〉『あー、そうか』
〈Zero〉『わかった。きをつける』
〈Daikon〉『ゆめ、がんばってね』
〈Yume〉『しょうがないなぁ、本気みせますかー』
〈Pyonkichi〉『いつも本気出してるくせにw』
〈Yume〉『余計なこというなー!』
だいはほんと、よく全体が見えてるなぁ。
たしかにリダとあーすじゃ性能が違う、武器も防具も、リダなら出来ることが、あーすには出来ないと思う。
そして最近発覚した銃による行動阻害は、盾でヘイトをあげる
通常攻撃して、阻害も全部して、とかしてると、あっという間に俺がターゲットされて、死ぬだろうな。
ヘイト減少装備かぁ……ちょっと調べておこうっと。
だいの指摘を意識しつつ、俺たちは今日も今日とて、あの恐竜の待つ火山へと向かうのだった。
攻略は順調、1体目、2体目、3体目と中ボスを撃破し、俺たちは2体からなる4体目の中ボスと対峙していた。
最近はめっきりリダとあーすの2枚盾編成で安全確実に戦っていたので苦戦しなかったが、案の定、一人で斧持ちと槍持ちの2体を相手取るあーすは少々てこずっているようだった。
〈Yukimura〉『両方が正面から見える位置に立って』
〈Earth〉『お、おう!』
ゆきむらが逐一指示を出すが、なかなかあーすはモンスターのヘイトを上げ切れず、ちょくちょく片方の攻撃があーす以外に飛んでいく。
〈Yukimura〉『じれったい、かわって』
〈Earth〉『へ?』
火山地帯を駆けるゆきむら。
赤い髪のキャラクターは、この火山エリアではほんと、似合っているってもんだ。
まぁ、さすがに具足姿は、リアルだったら熱そうだが。
そしてモンスターの攻撃を、見事に捌き切るゆきむら。
というか、捌いてるどころか。
〈Yukimura〉『1番!』
おおっと、間隙を縫って一刀両断だ!
その行動に慌ててゆめがグラウンドダウンを使用し、俺もマルチプルショットを放ち、ぴょんがブリザードを放つ。
〈Yukimura〉『あーすは槍みてて』
〈Earth〉『わ、わかtts』
何という頼もしさか。タイプミスをするほどあーすは慌てているが、ゆきむらは見事に刀で斧持ちの攻撃を捌ききっている。
斧持ちのHPは現在残り1割だから、
その後通常攻撃や単発スキルで斧持ちを落とした後、俺たちは今まで通りに槍持ちを撃破した。
〈Zero〉『ゆきむら、すげえな』
〈Daikon〉『うん、もこさんを見てるみたいだった』
戦闘終了し、最後の中ボスまで移動するさなか、俺は先ほどのゆきむらを称賛した。
続けてだいが、俺も思ってたことを言ってくれる。
そう、ゆきむらの完全な攻撃処理は、まるで【
あの人、盾なしでコンテンツやったりするからな。
刀でモンスターの攻撃を捌けるのはかねてから話していることだが、盾と違って刀で防ぐタイミングはシビアだ。
盾は面で防ぐ分、処理範囲も広いし、防御成功となる時間もある程度余裕があるが、刀は正面からの攻撃が自分に当たるタイミングで、コマンド入力する必要がある。
もちろん範囲攻撃は捌けないのだが、それにしてもゆきむらの動きは見事だった。
〈Yukimura〉『もこさんの動画見て、練習したから』
〈Jack〉『おーーーーw素晴らしい向上心だーーーーw』
〈Yume〉『うへー、やる気あるなー』
〈Daikon〉『みんなは、攻略動画とかみないの・・・?』
〈Pyonkichi〉『だいもそういうやつなのは知ってたよ、うん』
俺もぴょんに同意。
しかし、動画見て練習かー、すげぇなぁ。
自分が未クリアのコンテンツクリア動画は見たりするが、既に自分が倒したことのあるモンスターとの戦闘動画なんか、俺は見やしない。
なんというか、ゆきむらもだいも、真面目だなぁ。
〈Yukimura〉『次はあーす、しっかり』
〈Earth〉『お、おー☆ みててねー☆』
まぁこいつはいつも通りか。
次のは1体タイプだし、大丈夫だろう。
その読み通り、5体目との戦闘は俺が通常攻撃をしないという戦法の下、難なく撃破し、俺たちは3日ぶりのボスと、今日も対面するのだった。
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