第26話 いつだって出会いはデスティニー

〈Gen〉『まず俺と嫁の出会いは、学生時代だ』

〈Gen〉『俺は生まれも育ちも栃木なんだが、地元の大学に通ってる時、地元の塾で講師のバイトしてたんだよ』

〈Pyonkichi〉『お!バイト先の出会いか!?』

〈Gen〉『そうそうwまぁ出会ってから知ったけど、嫁も同じ大学の、1個下の後輩だったんだがw』

〈Yume〉『地方だと大学の数、そんないっぱいなわけじゃないもんね~』

〈Gen〉『東京に比べるとなwで、まぁそこで出会って』

〈Gen〉『俺と同じ、小学校教師志望ってことを、飲み会で知って』

〈Gen〉『そこからあれよあれよと』

〈Pyonkichi〉『付き合ったんか!』

〈Gen〉『わけではないw』

〈Jack〉『おっとーーーーw』

〈Yukimura〉『だまされた・・・!』


 さすがリダ、話に引き付けるのがうまいな!

 俺もぴょんとかゆきむらと同じく、だまされたぞ。

 でもたしかにそれだけだったら、あっさり教えてくれそうなものかー。


〈Daikon〉『出会ってすぐ付き合ったわけではないのね・・・』

〈Gen〉『ああ。まぁあの時は嫁に彼氏がいてなー』

〈Yume〉『なんと』

〈Pyonkichi〉『そりゃ付き合えねーわなw』

〈Gen〉『俺もそれを聞いてたし、別に意識したことなかったんだよw』

〈Yume〉『学生時代逃したら、どうやって出会うのー?』

〈Pyonkichi〉『合コンでばったりか!?』

〈Daikon〉『・・・ぴょんはそういうの行くんだ』

〈Pyonkichi〉『うるせー!美人はだまってろ!』

〈Daikon〉『ちょ!やめてって言ってるでしょ!』

〈Yukimura〉『美人という言葉を否定しないだい』

〈Yume〉『そりゃ自覚できるレベルだもんね~』

〈Daikon〉『ああもう!』

〈Zero〉『まぁまぁ、リダの話聞こうぜ』

〈Daikon〉『ゼロやんは黙ってて!』

〈Zero〉『なんで!?』


 助け船をだしたはずが、なぜか船を乗っ取られて俺が蹴落とされた気分だ。

 解せん。解せんぞ……!


〈Gen〉『実は俺、教採教員採用試験1回落ちたんだよなw』

〈Yukimura〉『おお・・・』

〈Zero〉『地方は難しいもんなー』

〈Pyonkichi〉『あー、そうなー』

〈Pyonkichi〉『あたしも地元は落ちたわ』

〈Yume〉『ぴょんの地元ってどこなのー?』

〈Pyonkichi〉『愛知』

〈Daikon〉『手羽先・・・』

〈Jack〉『もしかして、だいは食いしん坊なのかなーーーー?w』

〈Daikon〉『ち、ちがうわよ!』


 ちなみに俺は地元の教採も受験したが、普通に落ちたぞ。うん、受かる気がしなかった。だってライバル、ほとんど現役で講師やってる、即戦力感のある人たちだったし。

 しかしぴょんは地方からの上京教員仲間だったのか。

 そしてだい……たしかにそう言われてみれば、昨日料理を一番頼んでたのはだいだった。

 ……いや、もう何も言うまい。


〈Yume〉『昨日いっぱい食べてたもんね~』

〈Yume〉『あれであのスタイルとか・・・』

〈Yume〉『女の敵』

〈Daikon〉『な、変なこと言わないで!』

〈Pyonkichi〉『ゆめは好き嫌いなくせw』


 あ、ゆめが踏み込んでしまった。

 ま、言ったの俺じゃないし、いっか。


〈Yume〉『嫌いなものは嫌いでーす』

〈Pyonkichi〉『あ、そういえば』

〈Pyonkichi〉『先生、ゼロやんはちらちらだいの胸見てました』


 うおおおおおおおおおおおおおおおい!!!


〈Zero〉『ちょ!ちが!!』

〈Daikon〉『は?』

〈Zero〉『濡れ衣です!見てません!』

〈Yukimura〉『軽蔑・・・』


 まぁほんとは見てたけど!!!!!


〈Yume〉『さすがまな板。よく見てたな~』

〈Pyonkichi〉『おい、ログに呪い込めて殺すぞ?』

〈Yume〉『こわ~いww』

〈Jack〉『オフ会組の仲良し感いいなーーーーw』

〈Daikon〉『どこがよ!』

〈Yukimura〉『いきたかった・・・』

〈Jack〉『7月楽しみーーーーw』

〈Gen〉『ちょっと目を離してる隙に盛り上がってるなw』

〈Gen〉『嫁も早く会いたいって言ってるよw』

〈Jack〉『リダリダ、続きはーーーー?』


 ナイスだジャック!

 この話が続けば、俺のギルド内での立場が死ぬ危険があったぞ!

 授業に脱線はつきものだが、教師が揃うとほんと脱線しまくりだな。


〈Gen〉『おうw』

〈Gen〉『で、まぁ1回落ちた俺は、1年間教採浪人でフリーターだったんだが』

〈Gen〉『翌年無事に合格してなー』

〈Jack〉「おお、おめーーーー」

〈Gen〉『もう8年前だぞw』

〈Jack〉『あ、そっかーーーーw』

〈Gen〉『同じタイミングで教採受けた嫁は、優秀だから1発で受かったんだよw』

〈Yume〉『おお、まさかの赴任先がかぶったとか~?』

〈Daikon〉『そんな奇跡的なことあるかしら・・・』

〈Pyonkichi〉『奇跡の体現者が言ってんじゃねえwww』

〈Yume〉『ほんとだよw』

〈Jack〉『え、何のはなしーーーー?』

〈Daikon〉『き、きにしないで!』

〈Pyonkichi〉『オフ会でのお楽しみにwww』

〈Yukimura〉『気になる・・・』

〈Zero〉『ほんと、何回脱線すんだよ・・・』

〈Gen〉『見てる方は面白いけどなw』

〈Gen〉『赴任先は、一緒ではなかったw』

〈Yume〉『ちがったか~』

〈Pyonkichi〉『リダの話はミスリードうまいなw』

〈Daikon〉『じゃあ、初任者研修?』

〈Yume〉『あ、ありそう!』

〈Gen〉『そう、久々に再会したのは初任者研修だった』

〈Pyonkichi〉『おー、懐かしさに二人の夜がヒートアップ!?』

〈Zero〉『いきなり話をぶっとばすな!』

〈Yume〉『ぴょん・・・』

〈Daikon〉『引くわ・・・』

〈Jack〉『下ネタはだめだよーーーーw』


 ほんと、ぴょんは下ネタばっかだな!

 そういうノリ嫌いじゃないけど、やっぱログだけじゃ女とは思えねぇ……。


〈Gen〉『ヒートアップ!』

〈Yume〉『え!うそ!?』

〈Daikon〉『まさか!?』

〈Gen〉『なんてことはないw』

〈Jack〉『ですよねーーーーw』

〈Pyonkichi〉『ちっ、外したか』

〈Zero〉『当てる気ねぇだろwww』

〈Yukimura〉『リダも楽しんでそう』


 しかしそうなると、どこでどう繋がってくんだ?

 あ、これは下ネタじゃないよ。


〈Gen〉『久々に再会して話はしたが、俺も教師なりたてで忙しくてな。正直恋愛どころじゃなかったw』

〈Zero〉『あー、初任のときはそうだよなー』

〈Pyonkichi〉『わかる』

〈Yume〉『同じく』

〈Daikon〉『そうね・・・』


 将来の夢を叶えるのがゴールじゃない、スタートだ、とはよく言うが、ほんとにそうなんだよ。

 夢を叶えてそれが仕事になっても、そこから夢を叶えるまでにかかった年数以上に、その夢を続ける日々が始まるんだから。


 もう、あんなキラキラしてた頃にはもどれねーなー……。

 学生から社会人なった1年目は、全てがひっくり返るような忙しさだった。

 ……我ながらよく【Mocomococlub】の活動やってたもんだわ。


〈Gen〉『働いてると時間はあっという間だが、4年勤めた学校を異動になってな』

〈Yume〉『なるほど、異動先か!』

〈Pyonkichi〉『いや!ここまでの流れだとそうはならないんじゃないか!?』

〈Gen〉『お、さすがぴょんw気づいたかw』

〈Pyonkichi〉『読み切ったぜ!w』

〈Yume〉『むむ』

〈Gen〉『俺も当時は27歳で、まぁ友人たちもけっこう結婚しだしてた頃でな』

〈Zero〉『わかるわー』

〈Jack〉『そだねーーーー』

〈Pyonkichi〉『ここで同意するやつはアラサー』

〈Yume〉『ぴょんもそうじゃんw』

〈Yukimura〉『ぴょんはアラサー』

〈Pyonkichi〉『若いやつらはだまってろ!』


 27歳か、今の俺の年齢じゃん。やっぱ、そのくらいなるとけっこう結婚しだすよなー、みんな。

 同意するってことは、ジャックも、同い年くらいなのかな。


〈Gen〉『それで、他校に勤めてた同期が、俺に女性を紹介するって話になってな』

〈Yume〉『え、まさか』

〈Daikon〉『その相手が?』

〈Gen〉『とみせかけて』

〈Zero〉『まだ続くのか!』

〈Pyonkichi〉『何転すんだよw』

〈Gen〉『みせかけない』

〈Jack〉『みせかけないんかーーーーいwww』

〈Gen〉『紹介されたのが嫁だったw』

〈Yume〉『長かった!w』


 俺もゆめに同意だ。だが、そうやって出会ったと考えると、なんか運命的なものを感じただろうなー。

 出会いは運命ってやつか。


〈Daikon〉『同期の紹介で、知り合いと出会うってすごいわね・・・』

〈Pyonkichi〉『だいとゼロやんのほうがすごいわwww』

〈Zero〉『で、紹介で再会して、付き合ったのか?』

〈Gen〉『まー紹介だからな。最初からそういう目的だし。まさかの相手にお互いに最初は笑ったもんだw』

〈Daikon〉『でもなんかいいわね、知ってる人なら最初から安心感あるだろうし』

〈Yume〉『運命か~』

〈Yukimura〉『うん、なんかいいね』

〈Pyonkichi〉『燃え上がるリダのリダ!』

〈Jack〉『そろそろ黙っとけーーーーw』

〈Gen〉『まぁあとはとんとん拍子だよw付き合って、2年前に結婚して、今年の初めに子ども生まれてってな』

〈Yume〉『なるほどね~』

〈Daikon〉『あれ・・・でもリダも嫁キングも、ギルド立ち上げから一緒よね?』


 お、だいのやつ面白いとこに気づいたな。

 そう言われればたしかにそうだ。

 4年前に立ち上げられた【Teachers】。リダと嫁キングが募集してて、じゃっく、だい、俺と立ち上げまもなくに加入したのだが、リダと出会ってLAを始めたとは思えないほど、嫁キングはキャラ育ってたよな。


〈Gen〉『お!いいとこきづくなーw』

〈Gen〉『実は、って言おうと思ってたのにw』

〈Jack〉『付き合ってから嫁キングが始めたわけじゃないんかーーーーw』

〈Gen〉『むしろ、嫁のほうが少し古参プレイヤーだったんだw』

〈Pyonkichi〉『すげえなw奇跡の再会からの、お互いLAプレイヤーww』

〈Gen〉『付き合ってから知ったんだけどなw』

〈Gen〉『で、どうせなら“らしい”ギルド作ろうって話になって、ここを作ったw』

〈Daikon〉『やっぱり、運命だったのね』

〈Gen〉『まー運命なのか必然なのか神のみぞ知ることだが、今は幸せだから、奇跡なんじゃないかな』

〈Gen〉『お前らっていういい仲間にも出会えたしw』

〈Jack〉『いい話――――w』

〈Pyonkichi〉『すげえなw最後いい話にまとめるとか、教師かよw』

〈Zero〉『教師だろうがwww』

〈Gen〉『出会いは大切にしたほうがいいぞw昔の出会いも、今にいつ繋がるかわからんからなw』

〈Yume〉『タメになる言葉だねーw』

〈Yukimura〉『めもめも』


 昔の出会いも、今にいつ繋がるかわからない、か……。

 たしかに7年前に出会っただいと、今になって実は色んな繋がりが見えてきた。

 ぴょんやゆめも、LAで知り合ったのは1年以上前だけど、昨日初めて実際に会った。

 亜衣菜からも……今になって連絡がきたし。

 全部、意味があるのかな……。


〈Gen〉『ということで、明日の活動もよろしく!』


 今日は活動日ではなかったが、なんだかんだリダの話にみんな聞き入って、活動日並に時間が経過していた。

 すごいな、時間管理も完璧じゃんか。


〈Daikon〉『明日は、まかせて』


 一昨日は調子悪かっただいも、明日は大丈夫そう、だな。


 未来の自分の隣には、誰がいるのか。

 今までに出会った色んな人々を思い返しながら、俺は今日を終えるのだった。

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