第15話 上達には実践あるのみ
〈Gen〉『あーす、とりあえずモンスターがでたらチアアップだ。それで範囲内のモンスターがお前にいく』
〈Earth〉『まっかせといてー☆』
〈Pyonkichi〉『きったいしてるー☆』
〈Soulking〉『かっいふくまかせろー☆』
〈Earth〉『まねしないでよぅ!』
〈Jack〉『緊張感ないねーーーー』
〈Zero〉『まー、もう7回目だし、ボス戦まではそんなに苦労しないべ』
〈Yukimura〉『あーす次第』
〈Earth〉『あっ!言ったなー☆あーちゃんにおまかせっ』
〈Yukimura〉『鬱陶しい・・・』
〈Jack〉『ゆきむらしんらつーーーーw』
〈Pyonkichi〉『鬱陶しい☆』
〈Earth〉『ひどーいっ』
正直魔王軍との戦いであるはずの設定なので、魔王と恐竜の関係とは? と思わなくもないのだが、恐竜系の大型モンスターは攻撃力とHPが高く、武器スキル上げに必要な取得経験値が多いので、けっこう人気のモンスターでもあるのだ。
特にこのダンジョンは24時間に一度しかトライできない仕様ではあるが、出てくるモンスターが全て恐竜系のため、ボス討伐はせずにボスエリアに到達するまでのモンスターでスキル上げをしている人が多いのも特徴だ。
なおコンテンツエリアは入場を申請したリーダーのパーティ以外は同一エリアに入れないため、同時にこのコンテンツを攻略している団体と出会うことはないからな。
ごつごつした岩が並ぶ薄暗いエリアを進む8人のプレイヤーたち。
現実世界でみたらこんな熱そうなところ行けるわけないが、まぁそこはゲームだからな。
気にしないでおこう。
〈Gen〉『ほら、モンスターだぞーっと』
〈Earth〉『おお、でたなー!かかっておいでっ』
現れたのは雑魚モンスターだが、昔であれば普通にボスクラスの強さだったレベルのもの。
まぁ、長く続くゲームはモンスターの強さがインフレするのはしょうがないよな。
アースが
尻尾を振り回してアタックしてくるモンスターの攻撃を、しっかりと盾で受け止めるアース。
うん、基本はちゃんとできてるな。
盾は攻撃を防ぐことで敵のヘイトを高めることができるから、この盾で防ぐのが基本アクションなのである。
〈Jack〉『MP温存でいこーーーー。リダとゼロやん、ゆっきーとだいの通常アタックでよろしくー』
〈Gen〉『まかせろ!』
〈Yukimura〉『斬る』
〈Zero〉『しっかりヘイトあげとけよっと!』
リダの大剣の一撃とゆきむらの刀の一撃が決まった直後、態勢が崩れた雑魚に俺の銃撃が決まる。あとはだいが背後から一撃を浴びせれば倒せると思ったのだが。
〈Zero〉『む、だい?』
〈Daikon〉『あ、わり!』
〈Gen〉『今日ちょっと元気がないが、大丈夫か?』
だいのトドメの代わりに、ゆきむらが翻した太刀で2発目のアタックを当てて雑魚を撃破する。
〈Daikon〉『いやーごめんごめん、ちょっとよそ見してたわw』
〈Jack〉『おーーーーい、しっかり頼むよーーーー』
〈Daikon〉『ごめんごめんw』
〈Zero〉『頼むぜ相棒?』
だいがなんか調子悪そうだったが、その後はとりあえず何事もなくダンジョンを進み、俺たちは1体目の中ボスに遭遇した。
〈Earth〉『えー!ちょっと動き早くなーい!?』
あーすが戸惑っているが、この敵は地を這うタイプのトカゲ型でたしかに動きがはやく、いきなり目の前で飛び跳ねた攻撃をしてくるので盾で防ぐタイミングも取りづらい。
もちろん、
〈Gen〉『動きをよく見れば、規則性があるから、見極めろ!』
〈Earth〉『よ、よーし!』
もちろん、リダが
きっとそういう意図を込めて、具体的に規則性を伝えないんだろうな。
〈Jack〉『ぴょん、阻害魔法はなしでいこーーーー』
〈Pyonkichi〉『お? じゃっくもすぱるたじゃーん』
〈Soulking〉『あーすちゃんなら大丈夫だよねっ☆』
後衛3人組はジャックの指示であーすの育成を支援する模様。
〈Earth〉『くっそー、こいついきなり飛んできてうざい・・・』
〈Yukimura〉『いつまでもやってると、時間なくなっちゃう』
後衛3人組と俺とリダ、だいはあーすの苦戦を眺めていたのだが、時間制限があるということに焦ったゆきむらがあーすの前に立ち、刀を構えた。
〈Yukimura〉『3回方向変えたら、次はこっちにとんでくる』
ゆきむらがそう言った直後、とびかかってきたトカゲ型のモンスターの攻撃をゆきむらが刀で受け流し、敵の攻撃モーションが終わった瞬間、振りかぶった一撃を食らわせた。
刀使いの基本アクションである受け流しは、敵の攻撃モーションと同時にアタックを行うことで発動する攻防一体の基本スキルなのだが、今のタイミングは完璧だった。
受け流した直後に一刀両断というスキルを発動し、トカゲの動きが止まる。
いまゆきむらが使った、ダメージ+硬直効果のある技の影響だな。
さすがにこの隙を逃すことはできず、俺はマルチプルショットで敵に数発銃弾を撃ち込み、だいが背中から短剣を突き刺すシャドウスタッブを食らわせて戦闘終了だ。
〈Yukimura〉『こんな感じでくるから、盾ならもっと防ぎやすい。目で見てからじゃ、ちょっと遅い。頑張れ』
〈Earth〉『お、お、お、おー!がんばるぜぃ☆』
きっと今、あの二人以外はモニター越しに苦笑いだろうな。
でも目で見てからじゃちょっと遅れるというのは、間違っていない。むしろ敵の行動を予測した上でアタックなり防御するのがこのゲームの醍醐味なのだから。
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