第21話 登の拉致

 葬礼から帰って、制服を脱ごうとしたとき「副担任の吉村先生よ」という義母の声が聞こえた。声は1階の玄関からだった。

ドアの開く音と共に

「こんにちは、登さんは大丈夫ですか?」という吉村美沙よしむらみさの声が聞こえた。

 なんで担任でもない、ミサちゃんが? 

 不審に思っていると、突如、布を裂くような悲鳴が、聞こえた。

 自分の部屋を飛び出し、階段のところまで来ると、玄関で義母が気絶していた。吉村が必死で介抱しているように、見えた。

 登は階段を駆け下りた。最後の2段を飛ばして、駆け寄った時、義母の顔は蒼白だった。

「どうした!」

「お母さんが、急激に倒れて……」そう吉村が言った。そのとき、義母の体の下に回されていた吉村の左手が、すっと伸びて来た。

 シェーバーのような形状の器具が、その手に握られている。登が気づいたときには、それが首に吸い付いていた。

 電撃。

「うぁ」

 激しい痛みとショックを感じた。登は、義母と同じく、スタンガンによって気絶させられた。

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