第16話 五月晴れに詠む詩

だれもいない屋上で、僕は空を眺めていた。

真っ青にき通った、雲ひとつない5月の空だった。


美しかったが、さびしかった。

雲ひとつない空は。

思い出せないことばかりのまま。

楽しかったことも、美しかったことも。


苦しいが、それは漠然ばくぜんとしたもや

何もない空は、起伏のない平面。


夕暮れはまだ遠い。

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