AO/アオ

D・Ghost works

AO/アオ

昔、小さな工場があった。

人々は工場で多くのロボットを作った。

そのロボットで工場をより大きくした。

無限とも思える成長を続けた。


工場が大きくなると問題が起きた。

最初のいさかいが何だったのか、今では誰も思い出せない。

けれども最後には人々は二つの派閥に分かれ、互いに争った。

工場はあらゆる兵器を作り、ロボットを使って攻撃し合った。


 ある日、核が落ちた。


ロボットは粉々に壊れ、工場はスクラップになった。

人は例外なく灰になった。


※ ※ ※


数百年後、残骸の下でロボットが一台、目を覚ました。

瓦礫をかき分け、外に出たロボットの目に空が映った。

空は分厚い雲に覆われていた。

ロボットのメモリに【空はあおい】と記されていた。

ロボットは空を見上げ、自分にAOアオと名前を付けた。


AOはスクラップを使い工場を作った。

工場を動かしてロボットを作った。

ロボットたちは工場をさらに大きくして、さらに沢山のロボットを作った。


ある日、ロボットたちは争いを始めた。

やはり最初のいさかいが何だったのか、誰にもわからない。

けれども、やはり最後には二つの派閥に分かれ、互いに争った。

AOはうろたえた。

空はやはり青かった。

分厚い雲に覆われていた。


 ある日、再び核が落ちた。


工場は吹き飛んだ。

すべてのロボットは散り散りに壊れた。

爆発が雲を押しのけ、空を割った。

その時、AOは雲の隙間から確かに空の色を見た。


                     完

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