730.第3層へ

「ふぁ……ふぅ……」


 俺はあくびをしながら身体を起こした。ふむ、少し寝入っていたようだな。


「ウゴ……」


 俺の左隣にはウッドが寝ている。ウッドも声を上げ、頭だけを起こした。ウッドのお腹のところにマルコシアスがのびーっとしているからな。マルコシアスの脚の先が俺のお腹の上に乗っている。


「わっふ。起きたんだぞ?」

「ウゴ……うん、目が覚めた」

「我は寝てないんだぞ。……特になんにもしていないから眠くないんだぞ」


 マルコシアスが堂々と認めた。まぁ、これは仕方ない。家族の中で身体能力が一番低いのがマルコシアスだからな。いまや押し合いでもディアに負けるレベルだし。


「ぴよっ! おきたぴよ!」


 ステラの顔に張り付いていたディアがぴょーんと起き上がる。


「……ステラ、起きているか?」

「ふぁい……」


 俺の右隣で寝ているステラが答える。ステラは何日も不眠不休で動けるが、眠らないわけではない。むしろ寝付きはめちゃくちゃいいほうだ。


「しっかり休めました」


 ステラがディアをお腹の上に移動させ、身体を起こす。そのわずかの間だけで、ステラの目元がしっかりとしていく。


「ウゴ……レイアとナナは?」

「ん、向こうでコカトリスと一緒に……」


 俺が視線を向けると、もうレイアたちは目を覚ましていた。コカトリスも目をしょぼしょぼさせていたが、起きている。


「ぴよ……」(起きたぜ……)

「ぴよ〜」(出発だ〜)


 レイアとナナがのそのそと起き上がる。


「はふ、疲れは吹き飛びました……!」

「僕ものんびりできたよ」

「それはなによりだ。第2層も残り半分くらいのはずだし……」

「ええ、問題ありません」


 というわけで俺たちはシートを片付け、再び第2層を進んでいく。

 とはいえ、基本的にワープボールのアスレチックをクリアしていくというのは同じだ。ちゃんとルート確認を行い、慎重に進んでいけば大丈夫……。


「ふぅ、やっとゴールだな」


 さらに小一時間ほど進み、俺たちは第3層へのゲートに辿り着いた。前と同じく、枯れたようなツタのゲートだな。


 次の第3層は様々な名前で呼ばれている。しかしもっとも有名なのは【キノコの庭園】だろうな。


 俺たちが今回目指す第4層までで、一番魔物が多いとされる階層だ。

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