729.ぴよにも人気の

 ダンジョン第2層は岩山と荒れ地とはいえ、風は暖かく過ごしやすい。ぽよーんぽよーんという音を別にすれば……そしてコカトリスに抱きついてていいなら、昼寝にはもってこいだった。


 レイアはもぞもぞとしながら、仰向けのコカトリスの上に乗っている。


「ああ……」


 ふかふか、もこもこ。それでいて暑すぎない。コカトリスは体温を自動調節する。現在のコカトリス体温はややぬるめ。そして日向ぼっこの香り……。


「すやー、ぴよー……」


 ぽむぽむとコカトリスがレイアの身体を撫でる。どうやらコカトリスもレイアのツルッとした冒険者の服を気に入っているらしい。


「はわ……すぅ……」


 単純な体力勝負である第2層の疲れが取れていく。


「んむぅ……」


 ナナも別のコカトリスに寄りかかりながら休んでいた。着ぐるみ越しではあるが、コカトリスは最上質のクッションでもある。


 ふよんふよん……。


(うー、足が痺れる……)


 着ぐるみの扱いは慣れているとはいえ、激しい運動になると別である。しっかりと休み、体力を回復させないといけない。


「ぴよ……」(抱きまくらによさそう……)


 ナナが寄りかかっているコカトリスがごろんと横向きになり、ナナのお腹に羽を回す。


「……ぴっよ……」(………ふもふも、やわらか……)

「こうされるのも悪くないね……」


 すりすりとコカトリスの頭を擦りつけられる。


「ぴよぅ」(それ、よさそう)

「あっ、うぇ?」


 と、うつ伏せで休んでいる別のコカトリスがほふく前進でナナに近寄る。


「ぴよー……」(むにゅー……)


 どうやらナナに触りたい気分らしい。下半身にふももっと抱きつかれる。もちろんナナにとっても


「よしよし……」


 ナナが着ぐるみの羽でぽんぽんとコカトリスの頭を撫でる。それを気持ちよさそうにコカトリスは受け止めていた。


「ぴよ……すー……」


 お互い様、というのはこのことだろう。ナナもたっぷりと休憩を満喫するのであった。

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