644.ナナボード

 その頃、ステラ達は――。


(*・ω・)_/彡 しゅしゅしゅっ……!!


 砂嵐から降ってくる精霊たちはかなり排除できた。

 まだ落雷はないし、風も宮殿のときよりかは弱いからだ。


「それじゃ、そろそろ……」


 ナナと協力して砂嵐の核を攻撃。

 やり方は前にもやったナナボードでの突撃がいいだろうか。


 ステラが瞬間的にそんなことを考えていると、ナナが後ろを振り返っていた。


「どうかしましたか?」

「いや、向こうの宮殿の砂嵐なんだけどさ」


 手は止めずにステラも砂漠の後方を見る。


「……?!」


 そこには宮殿にあったはずの黒の砂嵐が猛スピードでこちらに迫ってくるのが見えた。


 ヴィクターがすいーっとふたりの近くにやってくる。


(・Θ・ っ )つ三 すいー


「さっきから少し魔力の流れが変わってきている。エルぴよたちがアレコレやっているようだな」

「確かにどるどるぅーがちょっと変わってきてますね」

「だが、それが向こうの砂嵐を刺激したようだ。こちらに急接近してきている」


 ステラは小さく頷く。

 超人的な視力を持つステラは黒の砂嵐のスピードさえも捉えていた。


「恐ろしい速さで移動してますね。数十分でこちらに到着しそうです……!」

「逆に言えば、まだ猶予はあるということだね」


 ナナがお腹のポケットから純白の鞭を取り出した。


「まずは目の前の砂嵐だ……!」


 キリッとした顔のナナ。

 ステラも真面目な顔でナナを見つめる。


「ええ、ここはフォーメーション・ナナボードでいきましょう!」

「えっ。なにそれ」

「ほら、北の雪原でやったアレです」

「……」


 ヴィクターが両手に風の塊を持っている。


「北でやったアレか……。まさかここでもやることになるとはな」


 ヴィクターは少し同情するような目でナナを見た。


「厳しい選択だ。準備はいいか?」

「ちょっと早くない!?」

「2回目だし……」

「ナナぴよ、安心してください。私の計算では、三半規管へのごく軽微なダメージで済むはずです」


 ステラの言うごく軽微なダメージって?

 ナナはふと思ったが、代わりに深く息を吐くだけにした。


「よし、やろう……。雪じゃなくて空に向かって突撃だ」


 ステラもびしっとバットを構えた。


「ええ、ナナボードふたたびです!」

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