632.ほかのパーティー

 その頃、ディア達は――。


「ぴよよー。テントテント、お泊りぴよねー」

「だっぞだっぞー」


 ディアとマルコシアスは野営の準備をしていた。

 小さくてもディアはコカトリス。見かけによらずパワフルである。


 テントの釘をふにーっと羽で押し込んでいた。


「ぴよよよーー!」

「わふふー。入ってる、入ってるんだぞ!」

「曲がってないぴよ!?」

「まっすぐなんだぞ! 我、ちゃんと見てるんだぞ!」

「お願いぴよねー!」


 ふににー。最後に足でぐりぐり押し込み、完成である。ディアは寝袋を運ぶレイアに振り返る。


「どうぴよー!?」

「ちゃんと出来てますよ、えらいです! マルシスちゃんも働き者です……!」

「わっふー♪」


 レイアはディアとマルコシアスを撫で撫でした。


「ふぅ……。荷物はこれで出し終わったかな」


 ナナも様々な野営道具を出して、ぐったりとしている。


「大丈夫ぴよー?」

「うん、さすがに連続でやって疲れただけだから」「働き者なんだぞ」

「ぴよ! あれ……ぴよ?」


 ディアが地面を足でぽむぽむする。


「どうかしたのかい?」

「ぴよよー。なんだか、砂の下がどるぅーとしてるぴよね」

「どるぅー……!?」


 レイアがぎょっとする。


「わっふ。魔力的なアレだぞ? 我も足先からほのかに感じるんだぞ」


 子犬姿のマルコシアスが地面をぺしぺし叩く。


「地下で動きがあるかもなんだぞ」


 ◇


 同じ頃、ウッドとヴィクターは崩れかけた塔の1階部分を探索していた。


「ウゴ、なんか意味ありげ……!」

「祭壇型の魔法具だな。資料によれば、修理はしたそうだが起動方法がわからなかったらしい」


 ふたりの前には大きな石造りの祭壇があった。祭壇には複雑にボタンとコードが組み合わさっている。


「今回の砂嵐で怪しいと睨んでいたが……動いてないな」

「ウゴ、魔力ないね」

「うむ……やはり外れか?」


 ヴィクターはぽむぽむと祭壇を調べて回る。ウッドも色々と触れて魔力を確かめるが、起動している様子はなかった。


「ウゴ、手応えないね」

「そうだな……。うーむ。他に怪しいモノは見つかってはいないのだが。やはり塔の中ではなく、外にあるのか……」

「ウゴ、とうさん、かあさんと砂コカトリスのほう?」

「砂コカトリスいわく、怪しいモノはあったそうだが。しかし簡単に見つかるものは、これまでに調べ尽くしているはずだ」

「ウゴ……。本にもなっているくらいだからね」

「この遺跡には100年以上前から調査が入っているからな」


 そこでウッドがふっと立ち止まって、床を見た。


「……ウゴ? なんだろう、これ……?」


 魔力がざわめくのを感じ取り、ウッドは石の床へと屈みこんだ。

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