617.精霊の追い出し
崩落した部分からは砂嵐と精霊が入り込んでいる。
崩れた場所の近くにはレンガの壁ができていた。
兵士たちが槍や弓で精霊と交戦している。
「増援か!?」
「ありがたい……!」
後ろにもレンガがあるが……あれは崩れた部分を塞ぐ用だろうか。とりあえず精霊がひっきりなしに入ってきては兵士が撃退している状態だな。
「前に出ます……!」
すちゃっとステラがバットを構えて、レンガから飛び出そうとしている。
兵士たちがそんなステラに声をかけた。
「む、無茶だ!」
「それ、木の棒だろ!?」
「いいえ、これは……バットです!」
「木の棒だろ!?」
「言い返した……なかなか強いな」
ヴィクター兄さんがぽよぽよと兵士たちの元へ行く。
「大丈夫だ。行かせてあげなさい」
「し、しかし……!」
「大丈夫、心配はいらない」
ぽよん。ヴィクター兄さんが博士ボイスで兵士の肩に羽を置く。
「では、いきます!」
ステラが精霊の前に躍り出る。
「△○✕〜!」
精霊たちの意識がステラへと向く。砂が擦り合ったような音が響くな。
わらわらとステラの元へと精霊が突っ込んでくる。
「てぇぇーーい!!」
カッキーン!!
木製バットとは思えない音を鳴らして、砂の精霊が吹っ飛んでいく。
「あれ? 音が違うな」
「さっきのに比べて砂や不純物の違いかな。精霊にはよくあることだ」
ぴこぴこ。
ということらしい。
「俺は崩落の補強を行うか」
「ウゴ、俺は前に出る!」
「無茶はしないようにな」
「ウゴウゴ! かあさんのアシストしてくる!」
ウッドがのしのしとレンガから前に出る。
「ウゴー!!」
ウッドが右手を前に出して、シードバレットを発動させる。
ぽん、ぽぽん!
可愛らしい音だが、威力は十分。発射された種は砂の精霊を打ち砕いていく。
「ようし、僕も!」
ナナもマスケット銃を構える。うむ……ぽよぽよ着ぐるみが銃を……。可愛い。
ぱむっ、ぱむむっ!!
鋭い音じゃなくて、ほんわかした火薬の音だな……。しかし魔力の弾はきちんと出て、砂の精霊を撃退している。
よし、俺も……魔力を集中させ、大きな蔦と幹を生み出す。
「おおっ、すごい!」
兵士たちがどよめくなか、崩落部分を俺の植物が塞いでいく。
……とりあえず、荒っぽいが外側は覆うことはできたな。あとはこちら側に残った砂の精霊を倒せば、ここはオッケーだ!
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