541.特別編・マルちゃんの部屋リターンズ

 レイアは夢を見ていた。


 ステラからぴよみマックスなシートの試乗を依頼され、眠ってしまったのだ。


 狭苦しい赤と黄色のファンシーな部屋に、レイアは座っていた。


「ここ、は……むぎゅう」


 レイアの両隣にはコカトリスがいた。


( ╹▽╹ )(*´ω`*)( ╹▽╹ )


「ぴよちゃん、ぴよちゃんじゃないですか?!」

「ぴよっぴ」(そだよ)

「えっ……!? 今、頭に声が……」


 るーるる、るるる、るーるる。


 謎の音楽が部屋に鳴り響く。


 気が付くと、部屋の真ん中には子犬姿のマルコシアスがいた。


「むっ、今回はレイアなんだぞ」

「おはようございます……。不思議な夢ですね」


 レイアは動じることなく対応する。

 ベテランのレイアに死角はなかった。頭のぴよ帽子もそのままであるし。


「そういえば、ジェシカが不思議な夢を見た――と言っていました。コカトリス姉妹に挟まれる夢だとか。中身はあまり覚えてなかったと言っていましたが」

「話が早いんだぞ。そうだぞ、これはマルちゃんのマルちゃん時空というやつだぞ」

「ほほう、なるほど……! ぴよちゃんと一緒なら何でも素敵です」

「ぴよぴ」(今回も出番だ。楽しみー)

「ぴよっぴ!」(レギュラーだ!)


 そこでレイアは怪訝な顔をする。


「さきほどから、頭の中に声が聞こえるのですが……」

「わふ。マルちゃん時空ではコカトリスと会話でき――」

「ごふっ!」


 いきなりレイアは倒れた。


「「ぴよよーー!?」」(えーー!?)


 マルコシアスもびっくりである。


「なっ!? どうしたんだぞー!?」

「ううう……」


 コカトリスに介抱されるレイア。


「ぴよみが、ぴよみが……。限界を超えました」

「この空間で我より面白いこと言うのは反則なんだぞ!?」

「魂がオーバーフローしたみたいで……」

「しっかりするんだぞ、レイア! レイアならこのぴよみを受け止められるんだぞ!」

「ぴよー……!」(そんな、ぴよみでこんなことになるなんてー……!)

「ぴよよっ!」(大丈夫、まだ体はぴよみに耐えられるっ!)


 コカトリス姉妹がレイアの顔をマッサージする。


「ぴよよー」(ほーら、元気になるなーる)

「ああっ……!」

「わふー。仕方ない。こうなったら翻訳機能を取るしか――」

「復活! レイア、復活しました!」


 レイアががばっと体を起こす。


「ぴよっぴ!」(生きてたっ!)

「ぴよぴー」(ふー、一安心だねー)


 コカトリス姉妹は顔を見あわせて笑っている。

 二人もレイアとの付き合いはかなり長い。日頃もふっているせいで、レイアがどーいう人間なのかわかっているのだ。


「わう。大丈夫なんだぞ?」

「ええ、お騒がせいたしました」


 レイアもやっとぴよみ濃度に慣れてきた。


「それで……何をするんですか?」

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