542.特別編・マルちゃんの部屋が続くとは……だぞ!

「あんまり過度のぴよみはヤバそうなんだぞ」


 マルコシアスは思案する。

 本来の企画は腕相撲(羽相撲)であったが、それをやるとレイアがまた倒れそうだ。


 時間のかかる企画も不可である。

 レイアがこの空間に耐えられる時間は、想像以上に短いのだ。


「ぴよぴー?」(なにするのー?)

「ぴよっ……!」(ばっちこい……!)


 わふわふと考え込んだマルコシアスの結論は――。


「輪投げをやるんだぞ……!」

「輪投げ……! いいですね、面白そうです!」

「ぴよっぴ?」(どういうゲーム?)

「丸い輪っかを目標にうまく投げ入れるのです。実演すれば早いのですが」


 じゃん! とマルコシアスの手元に黄色い輪っかが現れる。


「抜かりはないんだぞ」

「おおっ! あとは目標の……」


 ででん! と部屋の離れた場所に赤いポールが出現する。

 輪投げの目標としてぴったりの大きさだった。


「完璧です!」

「ぴよ!」(だいたいわかった!)

「ぴよよ!」(その意気だよ、お姉ちゃん!)


 コカトリス姉妹も乗り気である。


「勝負は10回投げて、より多く投げ入れるのに成功したほうが勝ちなんだぞ!」

「「ぴよぴー!」」(はーい!)

「わかりました……!」

「勝者には豪華賞品がプレゼントなんだぞ!」


 こうして、輪投げ対決が始まったのであった。


 ◇


「投げる距離はこんなもんなんだぞ」


 マルコシアスがポールの位置を調整する。


 レイアとコカトリス姉妹の投げる位置から、ポールまでは5メートルになった。


「近いかもだけど、意外と難しいんだぞ」

「なるほど……。いい距離ですね」

「お試しで3回投げたら、ゲームスタートなんだぞ!」


 部屋に現れたラインに並び、試し投げ。


 最初の2回はお互いに外したが、3回目はレイアもコカトリス姉妹もポールに投げ入れ成功である。


 それから本番のゲームが始まった。


「第1投なんだぞー」


 レイアが輪っかを投げる。


 ヒュン、スポッ!


「ふふふ……。ぴよちゃんの前なら、私の能力は1.5倍くらいにはなります!」

「リアルな数字なんだぞ。次はコカトリス姉妹のほうなんだぞ」

「ぴよ!」(お姉ちゃんがいくよ!)

「ぴよよー」(がんばえー)


 コカトリスがぴよっと輪っかを投げる。


 ヒュン、スポッ!


 お互いに第1投は成功だ。


「ぴよ、ぴぴよー」(ふっふーん。どやぁ……!)

「ぴよー!」(お姉ちゃん、やるー!)

「さすがですね……。いきなり優位には立てませんか」


 マルコシアスがわふわふと、


「盛り上がってきたんだぞ。じゃあ、続けて行くんだぞ!」

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