ちかちゃんとおかあさん
ちかちゃん、いい子でお留守番しててね
いってらっしゃい
私は少しうるっとしつつ、2人を送り出した。
こないだまで赤ちゃんだったのにもう幼稚園なんて…あっというまに大人になるんだろうな。
私は掃除機をかけながらちよちゃんの成長をかみしめていた。
ちよちゃんが生まれてすぐこのマンションに越してきたものの人と関わるのがあまり得意でなかった私はちよちゃんにお友達を作ってあげられなかったので人形を一体買い与えた。
ちよちゃんはちかちゃんと名付け妹のように可愛がっているが外遊びに連れて行ったり、1日中手放さないのでかなり汚れている。
前回、パパとお出かけしているすきに洗濯したらベランダから落としてしまい、少し傷んでしまった。
あの時は大泣きされて困ったわ…。
ソファーの上に転がるちかちゃんを見ると先日の公園でのおままごとでかなり汚れている。
泥のハンバーグ食べさせてたものね…。
今日は天気もいいし、洗濯するか。
ちよちゃんが幼稚園に行ってる間にきれいにしましょうね。
私は掃除機を止めちかちゃんを抱えた。
バスルームへ行きシンクに水を張り洗剤を少し入れちかちゃんを押し洗いする。
泥のハンバーグを食べさせられていたのでみるみる水が泥で濁る。
何度か押し洗いするうちに前回破れたところから綿が出てきたがちよちゃんが帰る前に修理すれば大丈夫よね。
私はちかちゃんをベランダにぶら下げた。
さ、掃除を終わらせて買い物に行かなくちゃ。
私は掃除の続きを始めた。
あら、濡れてる…。
水の絞り方がたりなかったかしら?
リビングに小さな水たまりができている。
私は雑巾で小さな水たまりを拭きながらちかちゃんがなくなっていることに気づいた。
まさか、また落ちた?
私は慌ててベランダに出ると爪先立ちで下をのぞき込む。
見えないわね…。下まで降りて探さないと…。
ふと足元に何かが触った。
ふくらはぎを小さな手がつかむ感触に総毛立つ。
スカートが引っ張られ腰の上に水を含んで重くなった何かが乗る。
私が震えているのは腰が冷たいからか、それとも…
恐る恐る振り返るとすごい形相のちかちゃんが私を見つめていた。
私は手すりをつかんで顔だけ出しているちかちゃんに見守られ下へ下へと落ちていった。
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