第13話

「今朝はすまなかったな。俺も心配はしてたが、本当に冷凍保存してたクラーケンが暴れだすとは」

薬を探していると、ダイアンさんが俺に謝ってきた。

「いやいや、自分のせいです。まさかそんな箱とは思わなくて。興味本位で箱を少し揺らしたらぶわーって」

「赤い箱は危険物だからなぁ。一応覚えておいてくれ」

今回は箱から出てきて暴れているところをダイアンさんが何とか捕まえて冷凍室にぶち込んでなんとかなったが、危うく飲み込まれるところだった。

「了解です。でもあんなの薬になるんですか?」

「一応あれも希少な薬品なんだよ。薬ってのはいろいろあるのさ」

しかし一体これからあれをどうやって調理するのだろうか。

「俺にはいろいろあり過ぎてわけわかんないですけどね」

「まあなぁ。あ、そうだ薬のことを知りたいならいい本があるぞ。ロバート=ウィリアムの『世界一わかりやすい医学講義~薬草編~』っていう本で、俺の書庫にもあったはずだ。言葉も簡単だから読みやすいし、内容も大雑把だけどわかりやすいから初心者にはもってこいだ」

凄そうな学者が書いているのに、題名の大学受験参考書感が全てを台無しにしている。絶対東〇ブックスだろ。

「そんな本があるんですね、あとで探してみます」

「ユウくーん、まだ薬見つからないの?」

薬品室でもたもたしていると、受付のペリーヌさんに呼ばれてしまった。

「今行きます!いけね早く見つけないと、サーベルタイガーの牙はどこだ」

「ここだよ、それとぬりかべの衣もじゃないか?だいたいそこらへんはセットだ」

「ありがとうございます」

流石は一級薬草士、薬に関して抜かりはない。

俺はそれらを瓶に詰めて、ペリーヌさんの所へ向かった。

「ありがとう。ユウくんたら、お客さんあんまり待たせちゃだめよ」

「すみません、なかなか見つからなくて」

「大丈夫、次の人対応しといて」

俺はボードに書かれた次の番号札を読み上げた。すると、一人の若くて高貴な身なりをした女性がこちらへ向かってきた。

「32番の方ですか?」

「いえ、違います。ダイアンさんに用があって伺ったんですが、呼んでくださいます?」

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