第3話

ペリーヌさんの目線を追うと、ドアの前で店のなかを覗く戦士の姿が目に入った。白い髪に凛々しい表情、身長も割りと高そうだ。

男はドアを開け、微笑んで会釈をしながら再び店のなかを見渡した。きっと初めて来る客なのだろう。

「いらっしゃいませ、どうかなさいましたか」

俺はその男に店員らしく挨拶した。

「あ、どうもこんにちは。随分と大きな薬草店なので見入ってしまいましてね」

「なるほど。そうですよね、こんなに大きな薬草店も珍しいですから」

「ええ、本当に。確かにここなら見つかりそうだ」

「何かお探しの品があるのですか?」

「実は特別薬草調合をお願いしたくてここに来た次第なんです」

特別薬草調合、それは全国の薬品が揃えられているこの店ならではのサービスである。

内容を簡単に言えば、お客さんの要望に答える形でこちらが薬を調合することである。それの何が特別なのかというと、それはどんな要望でも叶えるをモットーにしている点だ。この世界の薬草はとても強力な効果を持ったものが多く、それらを上手く合わせることで、お客さんの要望をピンポイントで解決する事が出来るのである。費用がだいぶかさむのだが、それでも夢のようなサービスだということで口コミは広がり、それを求めて遠くから来る客もいる。現にこの男もそうなのだろう。

「なるほど、畏まりました。ではこちらにお座りになって少々お待ち頂いてもよろしいですか」

俺は座って休憩しているペリーヌさんの元へ向かった。

「ペリーヌさん、特別調合のカルテ作成お願いしてもいいですか?」

「うーん、今回はユウくんがやってみたら?もうここに来て一年だし大丈夫だと思う」

「え、マジですか?いやでもまだ薬品のことよく分かってないですし」

「カルテくらい薬品のことわかんなくても大丈夫よ。要望ちょっと聞くだけだし」

大きな仕事をこんなノリで引き受けていいのだろうか、、、?

「まあそうですけど」

「いつものアタシを思い出せば大丈夫だって、リラックスリラックス。それにあの人だいぶイケメンだし、ユウくんと合わせたら絵面がよさそう」

何を隠そう、ペリーヌさんは現実世界で言う腐女子なのである。

「ペリーヌさん、本当はそれが目当て何じゃないですか?」

「いいからいいから、お客さん困っちゃうわよ。さっきの借りもあるし、その分ということで行ってきて」

まだ年のことを根に持っていたようである。

仕方なく俺はペンと紙とお茶をもって男性客のとこへ向かった


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る