スタジオ06 本日最終枠! キスからはじまる撮影会②
ふと時計を見ると、もう23時をまわっていた。
このままでは、深夜0時からの山吹さくら出演番組に間に合わない。
俺は断腸の思いで、佐倉に言った。
「もう時間がない。今日のところは諦めよう!」
「そんな。私、坂本くんに撮影してもらいたいのに……。」
「でも俺、0時までに帰らないと!」
「どうして、0時までなの?」
言えない。
0時までに帰りたい理由が、山吹さくら出演番組見たさだなんて。
本人を前にして、言えない。恥ずかしい。
俺は理由を隠したくって、つい言ってしまった。
「それは……秘密……だよ……。」
その瞬間、佐倉が俺にショートキス。
「秘密はよくないよ。おしえてっ!」
「それはもちろん、山吹さくら出演番組を見るためさ!」
「じゃあ、家で一緒に見よう。帰るのはそのあとでいいでしょう、ねっ!」
「はいっ。そうさせていただきます!」
さくらに対しては如何なる秘密を持つことも許されないのかもしれない。
けど俺は、絶対にあの秘密だけは守らなくてはならない。
番組まであと1時間。
キス30分、撮影30分。
もう浴衣は諦めた。
そのうえ、俺たちは衣装を絞りに絞らなくてはならない。
じっくり撮影したいってのもあるから、俺は2着に絞って提案した。
「こうなったら、巫女装束とメイド服に絞ろう」
「分かったわ。巫女装束とメイド服と、下着エプロンね!」
「えっ?」
「いや、だから。巫女装束とメイド服と、下着エプロンでしょう!」
「ちっ、ちが……。」
俺には、違うと主張する暇もなかった。
下着エプロンは大丈夫というさくらボイスを信じるしかなくなった。
無論、ショートキスのあとの言葉である。
今日1日で、俺は色々なものに免疫を持った。
佐倉が恥ずかしがりながらバスローブを脱いだ。
下着1枚の姿を晒した。
でも、俺は大丈夫。既に免疫を獲得しているから。
ほんの少しだけ佐倉に欲情しそうにはなる。
出るおっぱいは出ている。
腰付きはいい感じに丸みがある。
脚なんかはすらっとしていて、すべすべ。
よく考えると、基本スペックは山吹さくらと同じ。
というか、ご本人様なんだから。
そんな佐倉に下着姿を見せつけられて欲情しない高校生はいないだろう。
けど佐倉がこうやって俺に下着姿を晒すのは俺のことを信頼してくれているから。
ならば、その信頼に応えるのが男というものだ。
だから、欲情しても襲ったりはしない。
俺はそう決意して、キスに臨んだ。
佐倉とのキスは、相変わらず地味だった。
キスのあとは撮影会。しかも今回は俺がカメラマン。これは楽しみ!
だから俺は佐倉を急かしてベッドの中に入った。
ある意味では、俺たちにとってはキスも含めて撮影会だ。
キスからはじまる撮影会なんだ。
俺はキスの間に佐倉のことを理解する。
佐倉も俺のことを知ってくれる。
さっきは1時間のキスをこなした俺たち。
30分のキスははじめてしまえばあっという間。
体感だけどもうあと5分くらい、ラストスパートに差しかかった。
何だか惜しい気持ちにもなった。
このままキスを続けてもいいかな、なんてね。
でもそれだと、山吹さくら出演番組に間に合わない。
ふと、新しい感触を覚えた。唇に。
優しくて、地味にねっとりしていた。
もしかしたら佐倉リップかな。
けど佐倉上唇は坂本上唇と、佐倉下唇は坂本下唇とくっついている。
リップ同士がぶっちゅっちゅしてるんだから、そりゃそうだろう。
キスだもん。
じゃあ、この感触は一体何だろう。
上唇と下唇の間に身体の部位ってあったっけ……。ないな!
錯覚かもしれないが、変な虫だったらまずい。
佐倉を守らないと。
さぁ、この何か、どうやって調べよう。
まさか指で触れるわけにもいかない。
あぁ、そうか。坂本トングを使って調べればいいんだ。
俺って天才!
早速俺は坂本トングを刺激のある坂本下唇へと伸ばした。
すると、何かとぶつかった。
あいつに違いない。
けど、あいつは直ぐに逃亡、よりによって佐倉の口の方へ移動した。
佐倉ブレスが荒々しくなった。
これはまずい。佐倉のピンチじゃないか。
でも、あいつは一体何だったんだ。
あぁ、考えられないよ。
ものすごい刺激だったから。
舌先に、気持ちいい刺激がね。
あいつ、侮れないなぁ。
======== キ リ ト リ ========
坂本くん、惜しい。あいつって、あいつのこと!
いつもありがとうございます。
これからも応援よろしくお願いいたします。
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