スタジオ06 本日最終枠! キスからはじまる撮影会①
佐倉には、俺に秘密にしていることが3つもある。
なのに俺には1つもない。
いや、たった1つだけ秘密というか、絶対に知られたくない過去がある。
もしもこのことが佐倉にしれたら、俺はもう生きていけない気がする。
それくらい大きな秘密。
この秘密だけは、絶対に守りたい。
たとえ相手が佐倉であっても。
いや、大好きな佐倉だからこそ!
って俺、佐倉のことが好きなの、かな……。
そろそろ22時近い。
俺は、佐倉と一緒に急いで衣装の準備をすることに。
佐倉が案内してくれた3つ目の部屋には段ボール箱がいくつも積んであった。
この中から浴衣の入った段ボール箱を見つけるのは至難の技。
それにしても、すごい量。
「まるで、倉庫みたい……。」
「えっ、倉庫なら別にあるわよ」
そうなんだ。そうだろうな。
超絶人気アイドル山吹さくらの元には、毎日たくさんのファンから贈り物が届く。
という噂、あれは本当だったんだ。
「すごいね、こんなにたくさん……。」
「そうなの。倉庫代がかさむって、社長が嘆いていたわ」
「そうだろうね。とりあえず、探そう!」
俺たちは手当たり次第に開封しては中身を確認した。
浴衣はなかなか見つからなかった。
特に俺が受け持ったエリアは、下着ばかり。
これだけあれば、洗おうって思わないのが普通なのかもしれない。
「あーん。これも違うわ……。」
佐倉の声に誘われて、ふと佐倉が手にしているモノを見て、俺は驚愕した。
「なっ、なんだ。その、セクシー衣装は……。」
「これ? 黒のバニースーツだと思うよ。着てみようか?」
「いっ、いや。いいよ……。」
バニースーツってなんだよ。
どうしてそんなモノあんだよ。
佐倉って、地味だと思っていたけど、意外に大胆なのかな。
まだ高校1年生なのにあんな衣装、普通持ってないよ。
「仕方ないでしょう。いただいたものなんだから……。」
「そっ、そうだよね……。」
恥ずかしがる佐倉を見ていて何故か安心した。
でもちょっとだけ黒バニースーツを着ている山吹さくらが見てみたい気もする。
さくらおっぱいやさくらくびれが強調される。
ぷりっとしたさくらヒップにはかわいいしっぽがちょこんと乗っている。
うさ耳のカチューシャも似合うだろうな。
そして、俺のためにカクテルを注いでくれる。
乳酸菌飲料の牛乳割り。
そんなちょっといやらしい妄想をしてしまった。
妄想しているのが顔に出てしまったようだ。
とてつもなくエロい顔として。
「あーっ、今、変な想像してるでしょう?」
「しっ、してないよ」
図星を突かれた俺はとっさにシラを切った。
だが、佐倉の追求は止まらなかった。
「本当? じゃあ、何か考え事でもしてたの?」
「あっ、あぁ。そうだよ。ちょっとした考え事だよ」
「ふーん。何考えてたの?」
まぁ、妄想も考え事のうちってこと。
俺はこれっぽっちも嘘なんかついちゃいない。
だから、なんの罪悪感もなかった。
けど、1つ俺の頭をもたげたのは、俺には1つしかないということ。
佐倉には秘密が3つもある!
このままじゃ釣り合いが取れない。
俺にはもっと秘密が必要だ。
だから、俺は言った。
「それは……秘密……だよ……。」
その瞬間、佐倉はイラッとした顔をして、俺に近付いてきた。
そしてショートキスをした。
そのあとに訪れるのは至福のとき。
さくらスマイルとさくらスメルとさくらボイスによる、さくら三重奏だ。
「秘密はよくないよ。おしえてっ!」
「黒バニースーツを着た山吹さくらの写真が撮りたいです」
「そう。じゃあ、いいよっ!」
俺の秘密は、数秒で暴かれた。
たいした秘密じゃなくってよかった。
それに、さくらは笑顔で、バニースーツでの撮影に応じてくれた。
ありがたや!
それからも、浴衣は見つからなかった。
代わりに数々のセクシー衣装が発掘された。
「あら、これは藍色のジャージじゃない」
「こっちは、ピンクのテニスウェア」
「チャイナドレス」
「レースクイーンのレオタード」
「チアダンサー」
「小悪魔と天使」
「なっ、ナース服と女医さん……。」
「あっ、ミクミク。ウィッグ付き!」
「エプロン、だけ?」
まるで、仮装パーティーの見本市のよう。
それらは全て撮影の対象ということになった。
俺はその都度必死に抵抗した。
浴衣の撮影がしたい俺にとって、数々のセクシー衣装は邪魔だった。
にも関わらず、着てほしいかと言われれば「はい」と言ってしまった。
佐倉にショートキスをされては、俺なんかひとたまりもないんだ。
======== キ リ ト リ ========
坂本くんとさくらん。生物としての格の違いがあり過ぎですね。
いつもありがとうございます。
これからも応援よろしくお願いいたします。
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