ステージ09 発動、ダークおっぱい②
坂本くんには、思い描いていた高校生生活というものがあるみたい。
友達作りとか、部活とか。青春だな。
1銭の得にもならないけどね。
条件さえ合えば、一緒に活動したいっていうのは本音。
坂本くんが一生懸命いろいろな部を紹介してくれた。
「本当! 弓道部はどうかな。週3日だけど、朝練ばっかだって!」
「ごめん。撮影に呼ばれることが多いのよ。朝陽は大事なの」
「じゃあ料理部なんかどう? 週1だし。俺も興味があるんだ」
「料理は事務所にサークルがあるの。セカンドキャリア用に」
といっても、料理なんか覚えるつもりないけどね。
卒業後は、適当に執事を雇って何でもやらせればいいんだから。
「それはそれは。あのおばさん、至れり尽くせりだね」
「そうね。ちょっと怖いとこあるけど、基本尊敬しているわ!」
おばさんってところはスルー!
「ちょっと怖いところ、な……。」
結局、私たちは最高の部活に巡り合えた。
その名も帰宅部。
楽しそう!
学校が終わったら、速攻で家に帰る。
そして、坂本くんと2人でキスする。
最高じゃない!
早速、とっとと帰ろう。
そう思った矢先、変なのが出てきた。
消してやろうか。
「男子諸君! 注目したまえーっ!」
なんだか良からぬことに巻き込まれそうな雰囲気がぷんぷん。
私はとっとと教室を出た。
けど、坂本くんが巻き込まれてしまった。
私は廊下で聞き耳を立てることにした。
「そこのリア充坂本くん! 君もだよ。君も観ていきたまえ!」
「お前、誰だっけ?」
「俺は青木雄大。だが、君たちは俺を別の名で呼ぶことになるだろう!」
青木雄大ね。名前は覚えたわ。
坂本くんに変なことしたら、本気で消す!
私たちの恋路を邪魔したら、マジぶっ殺す!
「なっ、なんだ……。」
「どういうことだ?」
みんなも慌てているみたい。
「まぁ、そう焦らずに。先ずはコレを見たまえ!」
「あーっ!」
「すっ、すげー!」
なになに? 何を見せているの?
「ほっ、ホンモノかよっ」
「これ、どうしたんだ?」
「なんでそんなものを持ってるんだ!」
中に残っていた女子の中にも、興味を持つ人がいたみたい。
「すっ、すごいわ!」
「雄大くんって、イケてるぅ!」
「やばーいっ!」
なっ、何? 気になるじゃない。
青木って子、何してるのかしら。
「どうだい。俺は山吹さくらFC会員様なんだぜ!」
なーんだっ! 私のFCの会員なのか。
青木くんちって、相当金持ちなのね。毎度!
「かっ、会員様……。」
「それって、相当高いんだろう?」
「まぁな。土台だけで週額4000円。年にして20万以上だからな!」
FC会員になるんだったら、可処分所得が年1千万円以上が推奨だけどね。
「まさか青木! お前って4月生まれなのか?」
「青木じゃない。会員様と呼びたまえ。俺様は4月2日生まれだぜ!」
「なるほど。それなら会員になれても不思議じゃないな」
生まれが早いからって、会員になれるってものじゃないわ。
私のFC会員になるのは、エグゼクティブだけ。
「だが、会員様。よく思い切ったな」
「会費だけでも、年額20万だろっ」
「そんな大金、俺には集められないよ……。」
ふふっ。そうそう。貧乏人は下がってなさい!
「いいや。払う価値は大アリだよ。こんなかわいい画像に毎日会えるんだぜ!」
まぁ、青木ったら、いいこと言うわね。
「たしかに。俺も会員になっちゃうかも。9月からだけど……。」
「こんな画像、持っているだけでかわいくなれそうだわっ!」
「毎日の生活にハリが出そうだな!」
「会員様。もう1度、見せてくれて!」
「おーっと。これ以上は見せるわけにはいかないんだよ!」
青木、意外とケチね。
私の画像は、庶民に見せびらかすにはベストアイテムなのに。
「いいじゃんか、減るもんじゃなし!」
「そうよそうよ。雄大くんって、イケてないわ!」
「まぁ、焦りなさんな! ここから先は交渉だよ!」
何? 交渉? どう言うことかしら……。
「君たちにも会員になってほしい。そして、別の画像をゲットしてほしい!」
これは……。もしそうなら青木、許せないわっ!
「別のって? まさかっ!」
「分かったぞ。会員様は、画像をクラスのみんなでフルコンプする気なのか?」
「察しがいいね。その通りさ。ま、レアリティワンだけだろうけど……。」
思った通りだわ。やはり、消すか!
「すっ、すげー!」
「俺たち1人では到底無理だけど……。」
「全員の力を集めれば、ひょっとすると……。」
「フルコンプも、夢じゃない!」
「会員様、すごい!」
「本当、イケてるわ!」
「私たちも参加していいでしょう!」
なに? この淡い友情ごっこ!
実にくだらない。
そんなことのために、坂本くんを巻き込んだというの?
許せない!
「へっへん! もちろんさっ!」
もう、聞いていられないわ! 下らないったらありゃしない。
みんなもみんなね。フルコンプなんて、できるはずないのに。
思い切って、全員消すか? それとも奴隷化する?
もちろん坂本くん意外だけど。
そう思ったときには、私はみんなの前に立っていた。
=========キ リ ト リ ========
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