第7話 試合の後

徹がスタメンで出た試合。この試合はゲームが終わり1-1と引き分けで終わった。


最終打席で徹がフォアボールで出塁するも、後続が打てずに凡退。リリーフで登板した黒鳥の2番手鹿又(かのまた)から1点も取れなかった。


守りでは勉が好投したが、最終回で代打出場した馬場(ばば)にホームランを打たれて同点。後続をリリーフで登板した氷河神(ひょうがしん)が抑えて延長無しの試合終了となった。


試合後のミーティングでは普段やらない反省会が行われた。今日は勝てなかったが、部員からは手応えを感じたとの意見が殆どだった。新しい発見が徹の活躍。そして、少ししか触れられてないが、氷河神のリリーフだ。


「まさか、氷河神が投手だったとはね」


勉がそう言うと皆が頷いた。いつもキャッチボールをしていた徹も氷河神が投手だとは思っていなかった。


「ですが、氷河神君は素晴らしかったですよ。サイドスローからのカーブボールに角度のあるストレート。馬場君相手に投げさせてみたかったですね」


佐々木先生はリリーフの氷河神を高く評価していた。先発勉でリリーフ氷河神となると、勉の負担も減り最終回で疲れた所で1発を喰らうことが無くなるからだ。


「あのオカマ野郎が俺の実力よく分かってないだけなんだよな。俺の体力じゃ先発無理って言ったら、オカマ野郎がベンチに居ろとか言うんだぜ!」


氷河神の言葉に、あの監督なら言いそうと部員達は話している。


「こうして新しい戦力が出て来たんです。この新しい戦力を生かして秋の大会も頑張って下さいね。指揮を取るのは大鎌監督ですけど」


こうして、黒鳥との練習試合が終わった。


徹が帰ろうとすると、誰かが徹を呼び止める。


「あー…さっきは…良い勝負だったよ」


声の主は黒鳥中学校の間抜。試合で疲れてるのか間が抜けたようになっている。


徹もありがとうと礼を言う。間抜はしばらく黙ると「次は…負けないからな」と徹に言い放った。


これに対して徹が反応した。


「負けない…?ふざけんな!こっちは1安打も打てなかったんだぞ!今日はそっちの勝ちっぱなしじゃねーか!」


徹の怒りに間抜は暫くした後に「怒る所はそこなの?」と笑って返した。


「次は負けないのはこっちだからな!」


徹がそう言うと間抜は「楽しみにしてる」と言い残し、白鳥中学校を去って行った。


その場を見ていた統と勉は楽しそうだなぁと思いながら徹と間抜を見ていた。


「ライバルって良いもんだね。投手と捕手の夫婦関係も好きだけど」


統は勉にくっつこうとするも、勉は「やめてくれ」と統を突き放した。


篠木のおかげで間抜をマウンドから引きずり下ろせた。篠木にはまだ自分のした役割が理解出来ないだろうが、今日の試合は篠木の役割が大きかった。勉はそう思っていた。


「このチーム変わるかもな」


勉の言葉に統は「そうかもね」と楽しそうに返した。


燃えるような夕焼け。新生白鳥が新たな巣立ちを迎えていた。

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