第2話 気持ち良くないなら……俺に文句を言えよ?


 次の日の朝――カイエは『斡旋あっせん屋』に向かった。


 『斡旋屋』とは冒険者ギルドのように、事件の解決や護衛、怪物モンスターの討伐などの仕事を紹介するところだが。

 組合ギルドじゃないから、手数料を取って仕事を斡旋するだけで、何の責任も義務も負わない……この犯罪都市まちに相応しい場所だ。


 『斡旋屋』の扉を潜ると――一目で堅気カタギじゃないと解る連中が、ホールに置かれたテーブルやカウンターで、こんな時間から酒を飲んでいた。


 これ見よがしに物騒な武器と見せつけるようにして、使い古した防具を身に付ける奴らは……俺が入って来ると、一斉に目を逸らす。


「何だよ、おまえら……俺に文句があるんじゃないのか?」


 『斡旋屋』で、俺がやらかしたからな――こいつらの反応も頷けるが

 だけど、そんなに大したことじゃない……たかだか十数人を墓の下に埋めて。再起不能にした奴らも、三桁になる前に止めた筈だけどな?。


「ハイ、カイエ。今日はおススメの仕事があるんけど……その前に、あたしが一晩買うわよ?」


 受付嬢のエミリー・ランス――勿論本名じゃないが。自慢の胸元を堂々を晒すソバカス女が、俺を誘う。

「おい、エミリー……前から言ってるけど、ドSのおまえの相手は願い下げだ。だから、さっさと仕事の話をしてくれ。おまえの馬鹿話に付き合うほど、俺は暇じゃないんだよ」


 馬鹿にしたように鼻で笑う俺に――


「あら、残念……でもさ、カイエ? あたしの子宮が、あんたを求めてるのは……嘘じゃないから。一回でも良いから、このあたしの味を……試食してみない?」


 長い睫毛まつげで化粧映えする美人が、舌なめずりする。


 だからって……なびいたりしない。女の色香とか、男の性欲とか……そんなモノと何かを換金するほど、俺も馬鹿じゃじゃないから。


「ああ、そうかよ……だけど、そういうのは間に合ってるんだって解るよな? それよりも……おまえの、おススメの仕事って奴は何だよ? 安い仕事だっだら……どうなるか、解ってるよな?」


 俺が睨むと――エミリーは本気で怯えまくる。


「カ、カイエ、冗談だって……ああ、仕事の話だよな? 任せてくれよ……あんた意外なら、危険な仕事だけど……破格の条件だからさ!」


 エミリーの説明を聞きながら……俺は内心でほくそ笑む。


 この都市スカルペジオの都市貴族同士の権力争い。なるほど、美味しい仕事じゃないか――


 このとき、『斡旋屋』の扉が……豪快な音を立てて開かれる。


 入って来たのは、蒼い髪と目の少女で――『聖騎士団』の銀糸で刺繍された制服を着た彼女は、黒縁眼鏡の位置を直しながら……ろくでなしどもに、凛とした声で告げた。


「私はグランツバーグ聖王国の最上級聖騎士の一人で……聖王国の第二王女ヨハネス・グランツバーグよ。ここに極悪非道な『混じり者』がいるって、聞いて来たんだけど?」


 彼女の言葉に――ろくでなしどもは尻尾を振って。生贄を捧げるように、俺に視線を集める――


 おい……確かに事実だけどさ。権力者に媚びるとか……ままえら、後で憶えてろよ。


「そうだ……俺がその極悪非道な『混じり者』だけど。だったら……何か文句があるのか??」


 開き直って言う俺に――蒼い髪と眼鏡の少女は応える。


「あなたが……カイエなの? あの、その……ごめんなさい……ちょっと、考えが整理できなくて……」


 まるで別人のように、俯き加減で自信なさそうに応える彼女だったが、俺は――


 拳に当たる柔らかいモノを無視して――頬を染めている女の胸倉を掴む。そして……強引に強引に引き寄せると彼女は……うっとりとした表情で、目を瞑っていた。


「おい、おまえさあ……何を考えてるんだよ? 俺に犯されたいのか……それとも、何かを救いたいのか? 両方を選ぶってなら……おまえは、確実に地獄に落ちるぞ?」


 この俺が睨んでいるというのに――ヨハネスは、笑顔を浮かべる。


「そのくらい……とうに覚悟してるわ。カイエ、あなたが落ちろと言うのなら……私は貴方を巻き添えにして、地獄に落ちるわ!」


 ヨハネスの覚悟が――俺には解ったから。無理矢理に起き上がらせて……


「あの……カイエ? あなたは……何をしようと言うのよ?」


 訝しそうに見つめる彼女の――俺は唇を強引に奪う。


「え……カ……」


 それ以上言わせるほど……俺はガキじゃない。

 絡み合う舌と、まさぐる俺の指先が……彼女を黙らせる。


 色々と敏感なところを、強引に侵略したけど――それくらいで黙るのなら。おまえを……俺は蹂躙するから。


「ああ、良いよ……全部解ったら」


「へ……何を?」


「いや、おまえさ……絶対に、処女だよな?」


「な、何を言ってるんですか! そんなこと……」


 真っ赤に頬を染めるヨハネスを――俺は笑い飛ばす。


「違うんだったら……全然、問題ないだろ? どっちにしても俺は……おまえの身体で、楽しむだけだからさ」


「そんなこと……」


 蒼い髪のヨハルスの色々なところを開発しつつ、『斡旋屋』を後した俺は――


 それから二十四時間掛けて……彼女の身体を隅々まで、探索した。


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やがて魔神となる少年は、綺麗なおねーさんや美少女と〇〇〇くる(仮) 岡村豊蔵『恋愛魔法学院』2巻10月30日 @okamura-toyozou

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