第16話

ハスターさんを仲間にした翌日、私はまた授業をサボり殿下と屋上にいました。

ハスターさんと別れた後殿下は私に


「ハスターは大丈夫なのか!?」

「生きて会えるんだよな!?」


など執拗に彼の安否を訪ねてきてともうるさかったのでにっこりと微笑み


「殿下も行かれますか?」

「‥‥‥遠慮します‥‥」


とまぁこんなやり取りをした後に今後の打ち合わせのために予定を合わせていたのです。

殿下は彼に貸し出している私の犬であるルイスにお茶をいれてもらいそれに口をつけると


「それでどう騎士団を潰すのだ?」


と、まぁまぁできる王子の顔しておりますが連日の情けない姿を見ている私としてはとても滑稽です

まぁ、口にするとまた話が脱線しそうなのであえてスルーしますがね


「もちろん、力でぶっ潰します」

「は?いやいや!!ここは普通、こー、策略的な奴じゃないのか?罠に嵌めて失脚させるとか!?」

「殿下?」

「な、なんだ?」


私は殿下を真顔で見つめはます。

殿下は少しおろおろしながら私と目を合わせます。私に何を言われるのか少しビクビクしながら、そんな姿にちょっときゅんとしてから口角をあげある単語を呟きます


「公爵令嬢の婚約破棄」

「!?」

「私の領地改革」

「!?」

「追放されたの辺境でスローライフ」

「!?」

「王子様に溺愛されて困ってます」

「な、な、」

「あとは~、ああ、「イチャイチャパ」」

「それは口にしてはいけないっ!!っ!!」


殿下は慌てて私の口を塞ごうと立ち上がりますが後ろで控えていたルイスに肩を掴まれ座らされてしまいます。

ですがその後殿下は顔を真っ赤に染めて手で顔を覆い俯きながら小刻みに身体を震わせてしまいました。


ちょっと苛めすぎしたかね?


実は私が今言った単語は全てが本の題名なのです。女性向けの恋愛小説の‥‥


そう、この王子様は意外なことに恋愛小説を愛読されており、どの主人公も気の強い女性で敵を知略で罠に嵌めて成り上がる系の物を好むようです。‥‥最後のは例外ですが‥‥殿下も男の子ですからね‥‥


こほん、で、殿下は小説の彼女達みたいな立ち回りを期待していたようですが私にはどれも合わなかったのです。


なので私は殿下に優しく語りかけました。


「殿下?物語と現実ら違うのですよ?」

「言わなくてくださいっ!!」


先ほどまでのできる王子の顔はもう見る影もありませんでした。

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私は非常に我が儘なのです!! 伊佐波瑞希 @harukikouhei

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