第15話

私が名乗るとハスターさんは固まり、まるで石像のように動かなくなりました。

私は再度椅子に腰掛け


「それで、ハスターさん、私達に協力していただけますか?」


するとハスターさんははっ、と動き、いまだに土下座状態の殿下をチラチラと見ながらも


「は、はい、私の力であれば、殿下にこの命ある限りご協力させていただきます!!」


そして勢いよく頭を下げるハスターさん


「素晴らしい!!その気持ちがあれば大丈夫ですわね!!それでは早速やっていただきたいことがありますの、」

「はっ!!何なりとお命じください」

「死んで来て下さい」

「「は?」」


私の言葉にハスターさんだけでなく殿下まで気の抜けた声をあげました。


さぁ、始めますわよ~!!


パンパン

「「?」」

ガタッ

「「えっ!?」」


私が手をたたくと先ほどまで私たちを遠目で見ていた店内にいたお客が皆立ち上がる。

もちろん立ち上がる際の動作はみな一律、淀みがないその動きはある種の芸術のよう

急に店内のお客が立ち上がるので殿下もハスターさんも驚き店内を見渡します。

その間抜けな顔が私の心を満たして今とても機嫌がいいです♪

私たちの一番近くに座っていたお客が二名近づき私の側で膝ま付きます。

私は笑みを浮かべながら


「では予定どおりお願いしますね?」

「「はっ!!」」


返事をした二人は立ち上がるので未だに現状が理解できず困惑するハスターさんの両脇に立ちがっしりとハスターさんの肩を掴みます。


「え?え?、で、殿下?」

「ハスターっ!?あ、アマリリア嬢?一体何を? 」


慌てながら殿下は私に問います


「今のハスターさんで力不足なのですこーし鍛練を」

「「鍛練っ!」」

「時間はあまりないので、そうですね、一週間で仕上げてください、大丈夫です、家の者はみな優秀ですから死ぬギリギリを確実に攻めます。では、連れていきなさい」

「「はっ!!」」

「で、殿下~!!?」

「ハスター!!!」


二人はまるで愛し合う恋人達が引き裂かれるような別れを演出して私を楽しませようとしますが、20点ですかね?


そしてハスターさんは扉の向こうへと消えていきました。

一週間後が楽しみですね!!





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