第14話
「というわけでございます」
「‥‥‥」
私がハスターさんに事情、(もちろん私の婚約破棄関係は伏せて)今の王宮の状況を説明し終えるとハスターさんは黙って目の前のお酒に口をつけました。
しばらく沈黙が続くとハスターさんはゆっくりと口を開きます。
「俺、いや、私が殿下の役にたつのでしょうか?あっさり敵の罠にはまり飲んだくれまで落ちた私に‥‥」
「失礼ですが、ハスターさんはどんな罪を犯したことにされたのでしょ?」
「横領と強姦です、当時私は第8部隊の副隊長でした。ですが騎士団団長及び各隊長選挙と言うものがいきなり交付、実践され、私は立候補してすらいないのにいつの間に名前を上げられ、気づいたら横領の容疑をかけられ、さらに夜間に警備をしていたら怪しい人物を発見したので捕まえ、追問するといきなり大声を上げられなぜか私が逮捕、あとはそそのまま有罪判決、そして今にいたります。」
「なるほど、ちなみに今のご職業は?」
「お恥ずかしい話ですが、私は平民、しかも孤児なもので働くにも学がなく、土木関係の日雇いで食い繋いでるのが現状です」
ハスターさんの話を聞くたびに私の隣にいる殿下の身体が震えているのが視界の端で伺えます。今も膝の上においてある手を固く握っおり、今にも血がにじみ出そうです。
私はそっと自分の手を殿下の手を重ねて優しく握ります。
「!?」
すると殿下は驚き私の方を凝視しました。
目を大きく限界まで見開き、まるで、
「お前にそんな優しさがあったのかっ!?」
と言われている気分です。
なんです?
私にだって優しい一面ぐらいありますよ?
厳しさだけでは誰もついてきません
飴と鞭の使いようが優秀で忠実な犬を作る大事なコツです。
でも、ちょっとイラッとしたので私は殿下の手を離すと拳をきゅっとつねります。
すると殿下は一瞬痛みで顔を歪めますがその後すぐにホッとしたような笑みを浮かべました。
なんですか?その顔?
今は大事な交渉中ですよ?
「殿下?」
「!?す、すいません!!」
私は優しく、そう、ものすごーく優しく微笑みながら殿下の名前を呼べば何を勘違いしたのか、殿下は椅子から転げ落ちるように動き綺麗な土下座を披露しました。
殿下の流れるような動きを見て驚き固まるハスターさん、そんな彼を差し置いて
ぱちぱちぱち
「よくできました」
拍手と称賛を口にする私、
「き、君は一体‥‥?」
まるで化け物を見るかのような目を私に向けるハスターさん、私は椅子からゆっくり立ち上がり笑みを浮かべながらカーテシーを披露し
「名乗りが遅れたこと謝罪いたします。私はアマリリア・ベスター、ここにいるライル・アースハルト第一王子の未來の婚約者です。どうぞ、良しなに」
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