第12話

「というこでやってまいりました!!」

「‥‥‥」


私が元気よく手を腰に当て胸を張りながら宣言すると私の正面に立つ殿下から何故かじとっと見られました

あらやだ!!私なにかしましたか?


「殿下?どうしました?」

「‥‥どうして君がここにいる?」

「本日はいいお天気ですわね~、絶好の視察日和ですわ!!」

「お願い、答えて!!」

「まぁ、とりあえず、こっちですわ」

「え?、あ、おーい?俺の話を聞いて?ね?」


殿下の質問を華麗にスルーした私は殿下の腕を掴み路地裏に殿下を引きずり込んだ。というかこの前の出来事から妙に殿下の態度が軟化した気がする。最初の俺様な態度や誰も近寄るな!!みたいな感じが全く感じられたいけど‥‥‥まぁいいか!!今はそれよりやらなければならないことがあるのよ!!


「ここです」


路地裏を暫く歩くとお店の看板が置かれた扉の前で止まった。急に止まった私に疑問の目を向けながら殿下は「ここは?」と問てきたが私は殿下を無視してお店の扉を開けた。

そして扉をくぐる


店内は昔からやっているような古びた内装で使い古された木製のテーブルに椅子そしてカウンター、テーブル席には誰もおらずカウンターには一人の赤毛の客が一人カウンターに項垂れながら酒をあおっていた。

私は無言でカウンターに近づき赤毛の客の隣の席に腰かけた。私の気配に気づいた赤毛がこちらをちらっと見たがその後また前を向き酒煽った。

私はテーブル置かれたボトルを取り空になった杯に酒を注ぎながら赤毛に話かけた。


「探しましたわ、ハスター様」

「‥‥‥俺にナンの用だ」

「貴方にまた騎士団へ戻ってきてほしいのです」

「けっ!!誰があんなクソッたれな場所に戻るかよ、あんなとここっちから願い下げだってんだ!!」


赤毛もといハスターはそう言うとまた酒をぐいっと煽った。


「ちょっと失礼!!」

「きゃっ!!?」


もう一度話しかけようとしたところで今まで黙っていた殿下が急に私を後に引っ張った

危ないじゃないっ!!

怒る内心を押さえる私


「なんですか?」

「君はなにしようとしてるんだ?」

「え?先日お伝えしたではありませんか?」

「先日?」

「お忘れですか?殿下が涙をポロポロ流しながら私に膝まずいたあの日ですわ」

「そんな日はないっ!!」

「あれ?そうでしたか?では殿下がまるで犬のようにしっぽを振って私に返事をしていたの日ですわ」

「そんな日もな‥‥ああ、あの日か‥‥‥」

「思い出しました?」

「あ、ああ、思い出しました‥‥」


殿下はあの日の無様な自分の姿を思い出したのかがっくりと項垂れてしまいましたわ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る