第6話
「今君は婚約破棄してくれてと言ったか?」
「事が済みましたら」
ようやく頭が正常に動き始めたらしい殿下は真面目な顔をして口を開く。
「つまり君は俺に、公爵家から婚約を求められた令嬢をかっさらい、公爵家を敵に回し、そしてそこまでの手間をかけてまで手にいれた令嬢を捨てろと?そう言いたいのか?」
「そうですわね」
「そうですわねって?そんな事をしたら俺の評価は地に落ちるではないか」
「ご心配なく、婚約破棄は我が家、ベスター伯爵家からのお話にいたします。まぁ簡単に云えば私に問題があり、王家に嫁ぐには相応しくないと」
私の言葉に殿下は困った顔をする。
やっぱり殿下の困った顔や慌てた顔、いいわ
とても好みかもしれない
そんなことを思っていると殿下はさらに口を開いた。
「どう相応しくないと証明する?」
「そうですわね、殿方を10人位侍らせればよろしいかと?一人を椅子にして、一人を脚おき一人を「待て待て!!」なんです?」
「それ、君の趣味か?」
「んー、趣味ですわね」
「認めるのかっ!?」
「いやですわ、冗談です」
「ほんとに?」
殿下はジト目で私を見る。
いやですわ、ほんとうに冗談ですのに
‥‥‥‥半分は‥‥‥
とりあえず話を進めるべく私は殿下の視線をスルーした。
「まぁ、理由は王妃教育についていけないとか、婚約してから反りが合わないとかなにか適当に話を作ればいいのです。」
「適当って‥‥‥」
「どうせ世の令嬢達は殿下の地位や容姿にしか興味無いんですから婚約者がいなくなれば歓喜し、しがない伯爵令嬢のことなどすぐ忘れますわ」
「いろいろ酷いな‥‥‥」
「それで殿下?この話、お受けいただけますか?」
私は紅茶を一口飲み、殿下の答えを待ちます。もしも殿下が受けてくだされなければ最悪死ぬしかありませんかねぇ‥‥
次のプランを考えていると
「わかった、受けよう」
「へ?」
まさか受けてくださるとは思えず、思わず変な返事をしてしまいまいましたわっ!!
私の反応が面白かったのか殿下は口許に手を当て笑うのを我慢してらっしゃいます。
そこまでするならいっそ笑ってくださいなっ!!
咳払いを一つし、
「本当に受けてくださいますの?」
確認をとると殿下は笑いを引っ込め真剣な顔で頷いてくださいました。
「ああ、ただし、条件がある」
まぁそうですわよね?
これでは殿下になんのメリットもございませんもんね
「なんでしょうか?」
「俺にはすでに婚約者がいる」
「は?」
「その婚約破棄に手を貸してくれたら協力しよう」
その時の殿下はそれはとてもとても素晴らしい笑顔だったとここに記しておきます。
待って!!
婚約者ってどゆこと!?
いったいどうなるの!!!?
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