第5話

その後私と殿下は黒装束‥‥犬に用意させたテーブルセットに座り、犬が用意してくれたお茶を飲みながら談笑を始めた。


「いやいやいやいや!!してないから談笑っ!!」

「談笑を始めた」

「無視っ!?強引に進めようとしないで!?あとどこから出てきたこの家具たち!?うっかり座っちゃったよ!?」


殿下は大声を上げなら立ち上がった。

方を上下に揺らし、呼吸も乱れている。

何を慌てているのか、落ち着きのないひとだわ、マイナス1ね


「マイナスっ!?君が原因だからね?」

「あら?声にでてました?」

「ばっちりね!!」

「それは失礼しました、‥‥‥ちっ」

「舌打ちっ!?」

「お気にならさらず」

「気にかるわっ!!」


殿下はぜぇぜぇと息を切らしている。

そして喉が乾いたのか目の前にある紅茶を飲もうとしたが、口許で止めてしまった。


「毒など入っていませんよ?」


私は自分側に置かれたティーカップを持ち上げ飲んでみせ、最後に殿下に微笑みかける。

すると殿下は恐る恐る口をつけた。


「!?‥‥うまい‥‥」


味に驚き、その後はゆっくりと味わうように飲み始めた。やはり王子殿下、所作がとても優雅だ。殿下が紅茶を飲んで落ち着いた頃を見計らい


「それで、お話の続きですが」


殿下は黙ってて聞き耳を立てた。

よかった、これでも話を聞いてくれなかったらどうしてや、ごほん、どうしようかと思ったわ


「私と婚約していただきたいのです」


殿下は私の顔をチラッと見ると


「なぜ?」

「実は私に婚約話が上がりまして‥‥‥」


そこから私は先日父に言われた事を殿下に話した。婚約にいたる経緯や私の気持ち、考えなども。話し終わると殿下は目を閉じ黙り混んでしまった。

そして少しして、殿下は口を開いた。


「君は市井で穏やかに暮らしたいと言ったな?」

「はい」

「俺と婚約したらそれは叶わないのではないか?」

「そうですね、なので殿下にはもう一つお願いがあるのです」

「なんだ?」

「事が済みましたら私と婚約破棄してぐさいませ」

「‥‥‥は?」


私の願いを聞いて殿下の口から変な音が漏れた。ここからが本題だ!!

がんばれ私!!

理解できず混乱する殿下を他所に私は決意を固くし殿下を見た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る