第4話

私の挨拶を見て殿下はめんどくさそうな顔をした。

これはあれかしら?

殿下の追っかけとでも思われたかしら?

殿下はハエでも払うように手を振りながら


「知らん、帰れ」


このくそ野‥こほん

さてそれでは始めますか


「まぁまぁ、そう言わずに、話だけでも」

「うるさい、お前に用などない、さっさと消えろ」


全くとりつく島もありませんか‥‥

ならしかたないですね

私は指を鳴らした


「なっ!?」


その瞬間どこからともかく現れた三人の黒装束、三人は殿下の首筋にナイフを当て私の指示を待ちます。

ほんと、よくできる者達だわ

私は扉から離れる。すると黒装束の一人が私と入れ違いになる形でとびらの前に立ち、扉を閉める。そして外から鍵を閉めた。これで誰かが入って来ることも、殿下が逃げることもできないわね、閉められた扉を見て殿下は顔を青くさせた。

あら?意外にかわいいかも?

ふふ、虐めたくなっちゃう‥‥おっとつい癖が‥‥

私が近づくと殿下は顔色を悪くさせながらも気丈に振る舞う。


「お、俺をどうするつもりだ?」

「まぁ、私なにもしませんわ、野蛮な事もいたしませんわ?」

「どの口がっ!!」

「まぁまぁ、落ち着いてくださいまし、私は殿下にお願いがございますの」

「願い?」

「ええ、まぁこの状態では話はできませんわね」


私はもう一度指を鳴らす。

すると2人の黒装束はナイフをしまい私の後ろに控える。


「‥‥‥」

「ふふ、これでお話できますわね、聞いてくださりますか?」

「‥‥ああ、」

「では」


殿下は私が何を言い出すのか緊張して身構える。

私はとびっきりの笑顔を殿下に向けて


「私と婚約してくださいませ」


殿下は私の言葉を聞くとかたまってしまった。


「‥‥‥はいっ!?婚約っ!?」


そしてすこしして言葉の意味を理解したのか驚きながらのけ反る。

ですが私は殿下の反応なんか気にしません。

欲しい言葉は頂きましたの


「殿下、ありがとうございます!!私の気持ちを受け取ってくれて!!嬉しいです!!」

「は?え?い、いや?俺はなにも‥‥」

「先ほど「はいっ!!」と素敵な顔で了承してくれたではありませんか?嘘だったのですか?」

「え?いやいや!!あれはちがっ」

「私、嬉しかったのに‥‥」

「うっ‥‥」


瞳を潤ませ下から覗き込めば殿下は後ろにたじろいだ。視線は私ではなく私の後ろを向いているような気はしますが‥‥

まぁ、気にせず、押せ押せですわね!!


「殿下、私の気持ちを受け取ってくださいませんか?」

「‥‥‥‥っ!!!」


今度はズズイーっと殿下に近づきながら訴える。すると今度は顔を赤くさせる殿下‥‥

このままいけそうですわっ!!

私は思わず口角を上げてしまった


「っ!!う、うそ泣きはやめろっ!!」


ちっ

私としたことが‥‥

私は仕方なく殿下から離れた。

ついでにハンカチで目元もふく

あとすこしでしたのに‥‥‥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る