第2話 再会は唐突に②
「...やっぱいるよなぁ。」
授業を終えた放課後、俺はいつも通りひとりで玄関に向かい靴をはきかえながら視線の先にいる一人の女性に目を奪われた。
凛とした佇まいで人を待つ樋口の姿は詩的な表現になるがまるで一つの芸術かのように美しく気高く見えた。
そんな彼女が俺を待ってるのか?
...いやさっきのは俺の気のせいだったんじゃないのか。あのイケメンを振るような女が俺と帰りたいなんて思うとはとても...。
「いつまでその気の抜けた顔で私を見れば気が済むの。」
声の聞こえた方を向くと先ほどまで玄関にいた樋口が俺の前に立ちふさいでいた。
「斬新な挨拶だな。罵倒から口を開くのは樋口のお家芸か?」
「私一人の発言を家全体の責任にしないで。それに私だって普通の人と話すときは一般的な挨拶を挟むわ。」
「遠回しに俺を普通未満呼ばわりしたな。」
可笑しいな。昼休みの流れならもっとピュアで清楚な俺の青春が幕を開けるかと思ったんたがナンダコレ。
俺はドM向けのギャルゲーの世界にでも入ってたのかって位の罵詈雑言だったぞ。
「...さて、挨拶もすんだしそろそろ行きましょうか。」
「あれで挨拶完了した扱いになるのもどうかと思うが...。つか今から何するんだよ?」
俺は極めて当然の質問を樋口に問う。けれどその言葉を聞いた彼女は何故か頬を紅く染めながら視線を泳がす。
そして樋口は意を決した用に視線を俺に向けその答えを口にした。
「決まってるでしょ。...デートしましょう。」
「...は?」
こんな甘い台詞を言われると思っていなかった俺の口からは情けない声を出すことしか出来なかった。
最近幼なじみが可愛い @kenitiro1115
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