第22話


対応中

コンコン。

ガチャ。

「失礼します。」

ギー二は、茶器を運び入れその場で

わざと香りの強めのリラックス効果がある

茶葉を用意してくれた。

その場で相手に茶葉を選んでもらい、茶葉を

混ぜ合わせたあと丁寧に煎れてくれたギー二。

いれ終わると、速やかに立ち去っていった。


「貴方様はお茶に詳しいんですね。

失礼ながら大変高貴なお身分だと思われますが、

わたくし勉強不足で申し訳ございません。」

「いえいえ、普段はフルネームで言わないん

ですが、S級ランクの最強のギルドマスターに

敬意を払って、名乗らせていただきました。」

「わざわざありがとうございます。

ところで、人探しとの事ですが……。」

パシッ。

「失礼しました。遮音しましたので

外にはもれません、御安心を。」

「これは、ご丁寧な対応有り難い。

早速だが、ナスカン・クローマク・リストン国王

とカスタン・ボーゲン・リストン第一王子が

お探しになられている方かいらっしゃるんだが

なかなか見つからず、保護者がついてるかも

しれないとの見解で、場合により、その

保護者ごとお城にご招待したいとの

仰せなんだが、どうだろうか?」

こいつ、変な方向に揺さぶりしてきたな。


「リストン王国の国王と第一王子ですか?

大変なご身分の方の探し人ですね。」

「ああ。貴重なお方を誤って逃して

しまったそうで、密命中なんだが

ここは一つ、高名なS級ランクの

ヒューゴ・カナップ殿、ギルドマスターに

ご依頼したいと前々から訪ねてたんですが

いつも運悪くご不在でした。本日やっと

お会い出来て、大変嬉しいです。

ゆっくりお話ししてみたいですね。」

「それはそれは、本当に運悪く

申し訳ございませんでした。今、多忙で、

あちこち飛び回ったりしていたので、

仕事も溜まり気味なので、手短に話したい

ところですが、リストン王国の国王様と

第一王子の貴重なお方とありますが、

万が一見つけれたとしても、そのお方は

嫌がって逃げたんじゃないでしょうか?

戻られてもお幸せになられないなら

探し人をわざわざ苦労して、探して

連れ戻したくは無いんですが、

そこんとこは、どうなんでしょうか?」

「……。それは、ご本人同士の話し合いで

これからの未来の事話すつもり…

だと思いますよ。とにかく、探し出して

話がしたい。だけだと思う…。」

「探し出したお相手が拒否すれば

貴方様は、直ぐに引きますか?」

「…国王と第一王子に報告後…私の一存では

わかりかねます。」

「わたくしとしては、お断りさせて頂きたい

案件ですが、お断り出来ないでしょうか?」

くま男こと、プーエル・ベアラ・リストンは

一瞬怒りをあらわにした。

「国王からの依頼を断るのか?」

「国王からの正式な依頼書はございませんし

今は貴方様プーエル・ベアラ・リストン様

との契約にしかなりません。」

「で、でわ…。」

「お断りします。」

「な、なんだと。」

「落ち着いてください。あー、せっかくの

お茶が冷めてしまいましたね。わたくしが

いれなおしますね、先程と同じ茶葉でも

よろしいでしょうか?」

2番煎じ。

もう一度このやり取りをくりかえすのか?

とっとと、帰れって意味を込めて、

自分自身を落ち着けるために、新たにお湯を

いれ、じっくり蒸らしていた。

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