第15話


とある冒険者

最近、この森に緑が戻り獲物が増えた。

おかげで少し懐が暖かい。

他の数箇所も、急激に草木が伸び

木の実を実らす木まで出始め、近隣の村は

神子様が降臨したと噂し始めた。

なーにが、神子様だ。

なーにが、チャベツ神の……。

「……。」

あ、あれは何だ?

光輝くような…天使か?

いや、人?だけど…なんであんなに美しいんだ。

人…だよな?

やはり……天使様?

黒髪で、白い衣を身につけた裸足の天使。

見惚れてる場合じゃない,

何かに追われてる?

助けなければ。


「ハルーどこだ?」

泣いてる美しい天使。追われてる天使を早く

俺の手で優しく、助けなければ。

俺は、無我夢中で行動に出た。


風魔法で天使のすぐそばに近寄った。

「天使様、こちらです。」

「……えっ?て、天使様?」

あぁ、こんな至近距離で見た天使様は

可愛い。しかも、細くて小さな手は

なんて手触りのいいスベスベ肌なんだろうか?

幻影魔法を駆使して、追手をまいた。

天使様を俺の隠れ家にご招待だ。

そこなら人目につかないし、多少の保存食もある。

よし、行くぞ。

「天使様、失礼します。」


手を引いていたが、天使様は俺のスピードに

ついていけず、よろけさせてしまった。

寸前で受け止めお姫様抱っこで運ぶことにした。

軽い。しかも柔らかくて、いい匂いがする。

ヤバい。立ち上がりかけている。

ギュッと抱きしめる様に不安そうな顔をした

天使様の短い髪が、時折俺のほっぺを

撫でていた。

甘い香りを吸い込みながら、あっという間に

隠れ家に着いた。

念の為、ここにも幻惑、幻影の魔法をかけた。

ずっと抱きしめていたくて、家の中を

風魔法でホコリを追い出し、ベッドを先に

きれいにした。

ベッド……。

いや、だめだ、天使様が汚れる。

おさまれ、俺の下半身。

名残惜しみながら、ベッドに天使様をそっと

降ろした。これくらいなら許されるよな?

俺はさりげなくほっぺにキスをした。

「……。」

可愛い、可愛すぎる。

きょとんとした表情も儚げで尊い。

だがキスをした瞬間、俺の身体中の血が

一斉に騒ぎ出し身体が熱くなった。

魔力があふれるような感覚だった。

天使様、私はあなたをお守りします。

この手で追っ手から守れた事に感謝したい。

「天使様、大丈夫ですか?」

裸足の柔らかいおみ足は、無数のキズが付いていた。

願うなら天使様の柔らかいおみ足を

治癒できる魔法使いになりたい。

天使様、好きです。愛してます。

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