第14話


あれから半年

*正道晴人目線~


カツラを被りフードまで被り山や森を

転々としていた。

少し疲れたらクマさんことベルラさんは、

俺を軽々とお姫様抱っこをし夜の山や森を

移動していた。

時折、魔獣に出くわしたがベルらさんが

どこに隠し持ってたのって問い詰めたいくらいの

大剣でほぼ一撃でやっつけていた。

その後、浄化が込められた魔石で浄化していた。

そうしないと、瘴気がさらに増えるらしい。

浄化の魔石は、僅かながらでも浄化の

魔法が使えるものがコツコツと毎日

魔力を込めた魔石だそうだ。

「魔法、いいなあ……。」

ぼそっと呟くと、

「全部試すか?」

と言い出し、空の魔石があるから順番に

炎、水、土、風、雷、闇、光、夢、空間、無を

試した。光属性はこの世界では重要で癒し、

治癒、浄化どの魔石でも高値で売買され、 

貴重なものだった。

「で、出来た…。」

「出来たな……。」


「「……。」」

全属性は、チートだよな。言語もわかるから

これもチートだよなぁ……。

「ま、まさか…。」


ピコン。


名前 ハル 年齢 30歳

性別 男  種族 人族

属性 炎、水、土、風、雷、闇、光、夢、空間、無

魔力 無限

体力 127/255

状態 ーーー

職業 ーーー

異世界からの来訪者、旅人

追われし者、チャベツ神に愛された者


「えっ?」

名前、ハルって名乗ってたから、ハルに

なってる。あと、これなんだ?チャベツ?

キャベツじゃなくてチャベツ……。

あっ、コンビニのポスターだ。

出会った人がポスターのキャラに似ている。

だとしたら、ここはゲームの世界なのか?

あの子はどうなったんだろうか?

神子ともてはやされていたけど、

大丈夫だろうか?


ベアラさんはどうだろう?

強いし魔法もすごいし、冒険者なのか?

冒険者なら、ギルドとか定期的に

行かなきゃならないんじゃないのか?

食事は、山や森で調達しているが、

補充なしで調味料とか、服や小物は、

割と多いし、ベアラさんは何をしている人なんだ?

あれ?そう言えば半年近くいるのに、

あまり知らない。

ずっと居てくれるのが当たり前になり

寒い夜なんかは抱き合い、しかも

挿れる事はないが、素股までし合う仲に

なってしまった。

それなのに、お互いの素性や年齢すら

知らない気がする…。

俺は…召喚された事を伝えた方がいいのか?

彼は、信じてくれるだろうか?

そして…信じるに値する人物か?

優しいし、頼りがいがある。

だけど何か違和感はある。

自分と同じように何かを隠している気がする。


ピコン。


名前 プーエル・ベアラ・リストン。

年齢 29歳

性別 男  種族 人族

属性 炎、土、無

魔力 352/586

体力 523/780

状態 ーーー

職業 近衛騎士

公爵家の三男。

第二王子の近衛、密命中。


「……。」

のぞき見なきゃよかった。

ベアラさん…偽名じゃないけどセカンドネーム。

名前が、くまのぷーじゃなくプーエル。

木こりや、冒険者でもなく第二王子の近衛騎士。

近衛騎士で密命中って、最初から俺のこと…。

言葉遣いも丁寧だったのは…。

全て知っていて、俺を監視していたから…?!

何も知らない俺を、知らんぷりしながら

あんな際どいエッチな事してたのか?

「……くっ。」

「ハル?どしたんだ?」

心配そうに近寄るベアラさん。

俺を抱きしめようとする手をかわし

首を振りながら、違うちがう、騙されるな、

これは演技だ。心配してるフリで、

俺を油断させて…ほだして…監視して…るんだ。

目の前が歪んで見えた。

「ハル?どうして泣いてるんだ?」

誰が泣いてる?ハル?

ハルト、俺が泣いているのか。

自分のことを棚に上げて隠し事していたのに

相手に隠し事されるのが、こんなに辛いなんて

初めて知ったよ。

「……もう、ヤダ。」

俺は、夕暮れの森の中に飛び出し

無我夢中です走っていた。

「ハルー、ダメだ。出たらダメだ。」

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