第10話


数日後

*正道晴人目線~


あの日、醜態を晒してしまった俺は

ベアラさんになぜか平謝りされていた。

俺も謝るとベアラさんは更に謝るという

何度もお互いに謝る独特の

謝罪合戦になってしまった。

それを止めたのは俺だが2人で

再度笑ってしまった。


そしてこの国の事を教えてくれた。

俺は遠い場所から来て、記憶があいまいな

旅人だと嘘をついてしまった。

ベアラさんが、親切で優しい事に変わりはないが

何か信じきれないっというか、信じてしまうと

ベアラさんの好意にこのまま流されそうな

自分が怖いと、思ってしまった。

罪悪感が半端ない。


リストン王国は、ここ数十年出生率も下がり、

さらに瘴気により大地や水が汚染されて

特に農作物や家畜の影響が深刻化している事。


ナスカン・クローマク・リストン国王と

カスタン・ボーゲン・リストン第一王子は

美形の従者や近衛を引き連れて浄化出来る

神官や魔術師に可能な限り浄化をし、

魔力の強い者にチャベツの種を授ける

儀式を勧めているそうだ。

チャベツ…。聞き覚えがあるが

何だったか忘れてしまった。

聞いてみようと思ったが、ベアラさんが

話してくれている時、僅かながら

顔を歪めていたので、あまり良くない事

なんだろうと、聞けなかった。


俺が可愛いと言うベアラは、国王と第一王子に

「可愛いあなたは狙われやすいので、

変装をしてほしい。」

と言われてしまった。

「俺は、可愛くない。」

と何度も言ったが聞き入れてくれず、

変装する事になった。


あと失礼な事に、俺は自分の名前を

伝えてない事に今更ながらに

気づかされてしまった。

「偽名をどうするかですよね。私は

(誰も呼んでくれないセカンドネームだから)

あまり知られてないから、ベアラのままでも

大丈夫ですが……。」

「す、すみません。伝え忘れて…名乗り

しないまますみませんでした。」

「いえいえ、滅相もございません。」

「いえいえ、こちらこそ…ってまた、

繰り返し、やっちゃいそうですね。」

「ははは……ちがいない。」

2人で笑い合っていた。


「名乗り遅れてすみません。俺は、

ハルト・ショウドウだから

ハルかショウにしようかな?」

「ハル、可愛い名前だ。」

「あ、ありがとう。」

この後、衝撃な事実を知らされるのだった。

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