第5話
プーエルと第二王子 2
*プーエル視点~
黒い神子に被せられた粗末な布を取ろうとした。
ナイフで頭のあたりに大きく切り込みを入れ
空気穴を開けた。
甘い香りがした。
短い黒髪。黒い神子。
「今すぐ、お助けしますので、もうしばらく
ご辛抱下さい。」
第二王子に黒い神子を保護した事を
魔法で伝えた。
密命に従い長期戦で保護する予定だ。
これから、森の小屋を転々とする予定だ。
初めはすぐ近くの粗末な小屋。
遮音、気配を消しながら黒い神子を
お世話した。
粗末な布を取り払い、身体を清拭し
なるべくやわらかな生地の
庶民服を着せた。
初めて神子の顔(かんばせ)を拝見した瞬間、
気が高ぶりすぎて風や木々の音、
自分の心音さえおかしく聞こえた。
落ち着け、落ち着くんだっと何度も自分に
言い聞かせたが、脈打つ心臓、体をめぐる血、
全く平常に戻る気配はなかった。
それどころか、下腹部の自分のモノが目覚め
何度抜いても治らなかった。
俺はおかしくなったのか?
神子に催淫剤が使われているのか?
張りつめた俺のモノを誤魔化す為、
ぶかぶかのズボンをはいた。
大きく何度も深呼吸をし、欲望に負けないように
触り心地の良い肌を清拭した。
詳しくは知らないが、複数の同時に授かった時の
儀式の前、魔力測定をし魔力が高い方を残す。
弱い者の方には、両手にしるし
切り傷を付けるそうだ。
痛々しいナイフで切りつけられた両手。
癒せる力欲しい。
だが俺は、主に土と炎の2属性だ。
浄化が込められた高級な傷薬を惜しみなく
使い、手や傷ついた場所に塗りこんでいった。
神子の艶やかな黒髪は整っているものの
短く刈り込まれていた。
無残にも切られたのか?
愚かな国王と第一王子に怒りがおさまらなかった。
思考が混濁しながら、移動の為抱き上げた
神子の身体からは、魅惑的な甘い匂いと
熱が高いからか、はぁはぁはぁと
荒い息づかいがしていた。
細身の身体は、異世界から来た事を
判らせるかように、この世とは思えないくらい
キレイで、軽かった。
その息づかいが、欲情の時に出す息づかいに
似ている様に聞こえ、俺の下腹部は大変な事に
なっていた。
何度か洗浄の魔法を使おうか迷ったが、
万が一に備え、極力魔法は使わないようにした。
マジックバックに、一般人なら余裕で数年は
暮らせるお金と、魔石、薬草、携帯食が
詰め込まれていた。
第二王子は、どこかに行こうとしていたのか?
お忍び服も何着かあったが、あらゆる職業
変装用カツラまであった。
3度目の場所移動、発見してから5日目
高かった熱も下がりはじめ、やっと
神子が目を覚ました。
俺はしばらく魅了されたかのように動けない。
短くても神々しい髪に、まゆげ、まつげはもちろん
下生えの毛も黒い神子。
清拭の為に、衣服を脱がせるか僅かながらに
感じで下さるのか反応しているのをみると
もっとご奉仕したい欲にかられた。
だが、意識がないままだと、同意がないのと一緒で
あいつらと同じになる。
だから、目が覚めたら口づけしたい、
口付けの許可をもらおうと思っていた。
あまりにも儚く潤んだ瞳を見ると、
俺は保護欲の方が勝った。
貴族階級の子どもが病気になると出す
甘い薬草粥を用意し、飲みやすいように
コップに入れたが、大きすぎたのかと
思ったが、身体は痛めつけられたうえ
数日動かしていないから、身体が
痛いのだろうと思い、身体をわずかな角度をつけ
背中に俺の丸めた服を置いた。
独特の匂いで好き嫌いはあるが、身体には
いいモノだから少しでも食べて欲しい。
スプーンで薬草粥をすくい毒じゃない事を
見せて、小さな口に入れた。
うまく飲み込めるかみていると
「美味しい…。ありがと…ムグッ。」
かわいい。もっと食べて欲しい。
かすれた声も色っぽい。
この方を甘やかして、俺の名を呼んでほしい。
叶わない望みだが、願うなら……。
浅ましい考えが過ぎってしまった。
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