第6話
プーエルと第二王子 3
夢中に薬草粥をあげていると、半分以上
残ってしまったが口を閉ざした神子に
誤ってこぼしてしまった。
ぺろっ。
「……。」
ペロッ、チュッ。
無意識に、神子の首筋や口周りの薬草粥を
舐めとっていた。
甘い。苦手だった身体に良い薬草粥は
美味しいと言われるどんな料理よりも
好物のデザートよりも甘く魅惑的な味だった。
「……や…やめっ…。」
俺の舌が神子の口の中に入りさらに
夢中になってしまった。
止まらない。
ダメだと思っているが、神子の冷え切った
身体が熱くなるような感覚がした。
同時に俺の身体も熱をもっていた。
この熱を神子に打ち込みたい。
なんとも言えない感情までもが
湧き上がった感じがした。
「うっ…はぁーっ、く、くるし……。」
あっ、神子が苦しがっている。
やめなければ……。
溺れてしまう。もう…手遅れ…だな。
「あっ…ふ、服…。」
神子の麗しい声。
ぶかぶかの大きな俺用の庶民服。
めくれたシーツから、治りきらない傷ついた
細い太ももが見えた。
俺のモノは何度白濁を出すのだろうか?
「すまん。苦しかったか?でも、だいぶ
元気になったから、良かった。」
早く立ち去り、立ち上がる熱杭の
白濁を洗い流したい。
「……。」
潤んだ黒い宝石の様な瞳に見つめられた。
「君は、5日間位眠ったままだったから、
心配したよ。」
「5日…。」
神子に対して、神子を知らない木こりか
農夫設定の俺だが、偉そうにして大丈夫だろうか?
神子に対して、君って……。
俺は不敬で、なんて愚かなんだろうか。
5日間も意識のない神子は、うなされ
怖い夢を見ている様だった。
何度も抱きしめ、不敬だと思いながらも
薄めた薬草粥やお水を口移しで飲ましていた。
生命維持の為、やましい気持ちは…
ないはず…だった。
プーエル・ベアラ・リストン。
公爵家の三男。
25歳で第二王子の近衛に抜擢され
今年で29歳の俺。
今はか弱い、魅惑的な俺の黒神子。
たとえ国を追われようとも、俺が
一生涯お守りします。
この身体と顔つきのせいで結婚も出来ず
使い道のなかった給料は貯まる一方だ。
娼館も行ったが虚しさが残るし、
戦いの後は、同じ様なむさ苦しい同僚で
慰める程度だった。
今持たされているのは、第二王子のお金だ。
しばらくは、コレで凌いで危険なら
国外に行く予定だ。
俺の持ち物は、ほとんど置いてきた。
下着やよくある日用品、少しお金持ちの庶民や
商人が使うものばかり。
昔に、作った名前が変わる前のギルドカードも
使えるだろう。
「あ、あなたは……。」
麗しい神子の声で、あれこれ考えていたのを
やめた。我が神子、ご用件は……。
「な、なんでしょう……?」
あっ、違った。自己紹介してなかった。
「べ、ベアラだ。き、君は……。」
なんだろう、名前を聞くだけなのになぜ
こんなに緊張するんだろうか?
「……。」
「無理ならいい…。身体は少しずつ、ゆっくり
治していこう。」
「ベアラさん、ありあと……。」
かすれ声で、ありあと…。
なんて可愛いんだ。
俺の心はとろけきってる。
「……可愛過ぎだろ。ヤバイ。」
俺は抱きしめたくなるのを必死に抑え
「な、何か、とってくる。」
その場から逃げる様に、小屋の外に出た。
正道は自分が、子どもだと思われてるとは
知らず、舌足らずで噛んだ事をかなり
恥ずかしがり、枕に顔をうずめていた。
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