第4話


プーエルと第二王子 1

記憶が混濁している?

あまりの出来事に、心が拒否してるのか。

俺の名前は、正道晴人(しょうどう はると)

仕事遅くまでしていて…最終電車に揺れられ、

コンビニで買い物した。

そこで、もう1人岡真琴(おか まこと)が

召喚され、イケメンに同じように囲まれた。

2人の神子は不吉だから、俺は服を脱がされ

風呂場の様なところで暴れたが……。

あれ?

思い出せない…。

気を失ったからか?

荷物の様に抱えられて、森の木の根本のウロに

隠されるように寝ていたらしい。


*プーエル視点~


俺は15歳で成人して25歳まで魔法剣士として国に

忠誠をささげていたが副団長になった25歳の俺は、

第二王子の近衛に抜擢された。

そして瘴気が日々濃くなるこの世の中は、

魔法剣士、魔術師、神官、冒険者などで

パーティを組み魔獣をやっつけながら、

浄化しなければならないのだが……。

農業や畜産を中心にしていた者は、農作物や

動物の生育が悪く、生活のために

浄化出来ないまま魔獣狩りをし、レベル上げ

やギルドに部位を売っていた。


つまり瘴気を浄化しないまま魔獣をやっつけ

空気や水に影響が出はじめた。

後押しするかの様に農業や畜産に悪影響が出た。

神官を中心に浄化出来るものは疲れ果て

魔力切れを起こしやすくなり、回復できないまま

死に至る者まで出始めた。


つい最近、第一王子と国王は異世界から

浄化の神子を召喚したらしい。

厳重に包囲されたお城の中の神殿。

俺は第二王子に付き添い、部屋から

神殿が見える位置で仕事をしていた。


太陽が最も高くなる時刻、周りが白くなり

目が開けれない位の光に包まれていた。

光がおさまると同時に辺りは騒然となり、

神子が降臨したと伝令が走った。

だが2人。

双子や三つ子が稀に生まれる事もあるが、

古い因習で魔力の強そうな方を残し、

あとは闇に落とされてきた。


国王、第一王子、大神官を中心に会議が

行われて、黒髪の神子は闇に落とされる事に

なったらしい。

茶髪と毛先は金髪の不思議な色合いの神子は

愛くるしい表情で、国王や第一王子を虜に

していったようだ。


夕方になると、誰かの悲鳴が聞こえた気がした。

自分だけではなく、お守りしている

第二王子にも聞こえている様だった。


『誰か…助けて…もう…殺し…くれ…。』


途切れ途切れの頭の中に響く声は、

低音だけど何故か心が満たされる様な

艶やかな声だった。


黒い神子?

隠す気が無いのか、すっぽり布で覆われた

小さな人を荷物抱きした神官が、荷馬車に

積み込み森に向かっていた。

気を失っているのか、声は聞こえない。

闇に落とす前、魔力を削ぐ為に魔力を

吸い取るための劣悪な儀式をするらしいが…。


神子らしき後、死体袋が数個神殿墓地に

葬られる事となった。


俺は、第二王子の命令で黒い神子の荷馬車の

あとをつけ、保護する事にした。

昔の因習を改革しようとしている最中の

神子召喚。

助けを求める声。

俺と第二王子しか聞こえていない声。


荷馬車が止まり、さらに後を付けると

ドサッと鈍い重いものを下ろす音がした。

見知らぬ男は足早に立ち去っていった。


夜の森、生臭さと血や汗の匂い。

襲ってくれと言ってるようなものだ。

殺す気か。

っていうか、殺されそうな目にあったんだよな。


第二王子に手渡された、薬品や獣除け、

魔石、路銀、清潔な服や布、あの短時間で

準備出来たものだっと感心した。

服は庶民の服。多少ごわつき、普段着ている

隊服がいかに高級な物だと再確認させられた。


木のウロに押し込める様に入れられた粗末な

布袋。死体袋じゃないだけマッシだった。

かぶっていてもコレは只者じゃないって

わかる。なぜか神々しい光に包まれてる気がした。


「あと、少し…。」

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