第3話


ここは……?

目覚めると木の天井?

ログハウスっぽいと思い、首を動かそうとした。

「うぐっ……。」

身体全体に痛みが走った。


「おっ。目覚めたか?」

「……あ。」

座っていてもわかるくらい体格のいい

大きな熊の様な男。

思わず赤いTシャツを着てもらいたいと思った。

可愛い感じの男だった。

「……。」

俺は目だけ動かしながら、男を見てた。

男は一瞬息を飲んだ気をしたが、

相変わらず俺を見つめていた。

「……。」

身長は、2メートルはあるだろうか?

俺自身は172㎝の痩せ型。

横幅は俺の2倍?いや、3倍はありそうな

筋肉質っぽい身体。

頭にはバンダナのように布で覆われており、

長い茶色っぽい髪の毛は無造作に

後ろに流されていた。

白っぽいカポってかぶるようなシャツに、

焦げ茶色の片方だけの吊りズボン姿。


無言で立ち上がり戻って来た男の手には、

木のコップ。男にはちょうどいい大きさだが

俺にはジョッキくらいの大きさだった。

薬草臭いドロドロしたモノを差し出され

「飲め。楽になる……。」

楽になる?コレは毒なのか?

嫌そうな顔をしてしまった。

「……。」

もう一度戻ってきた男の手にはスプーンがあった。

そのスプーンで、ドロドロのモノをすくい

安全だと言うように、食べてる姿を見せてくれた。

ベッド脇に椅子を移動し、どっかり座ったあと

同じスプーンで少量すくい目の前につきだしてきた。

「……んっ。」

見た目に反して甘い。

匂いなどを無視すると、甘い野菜ベースのムースに

似た味だった。

「美味しい…。ありがと…ムグッ。」

大きな男は、うれしそうに俺の口に

スプーンを突っ込んできた。

少しといってももともとは、大きな男サイズの

スプーンだから、カレースプーンの一回り

大きくした様なスプーンだから、ペースが早いし

口周りがベタベタで気持ち悪い。

お腹もいっぱいになり、言葉にする前に

スプーンを突っ込んでくるので口を閉じると

液体は、ドロッっと首筋に流れてしまった。


ぺろっ。

一瞬何が起きたかわからなかった。

「……。」

ペロッチュッ。

首筋からアゴ、アゴから口を舐められていた。

「……や…やめっ…。」

やめてくれって言おうと思ったが、それを

阻止するかのように大きな男の舌が割り込み

口の中を舐めまわされた。

恥ずかしいし、男にキスなんて嫌だ。

俺はストレートだ。


冷え切った身体が熱くなるような感覚がした。

そして、なんとも言えない感情までもが

湧き上がった感じがした。


息が苦しくなり、枯れ果てたはずの涙が

こぼれ落ちた。

「うっ…はぁーっ、く、くるし……。」

大きな男の目が透明感のある薄褐色だったのが

よりキラキラ光ったような琥珀色になった気がした。

もともとがボロボロにされたスーツを

無理矢理着せられ…?

思い出せない?!

布を巻かれてい…る…だけのはず?

「あっ…ふ、服…。」

ぶかぶかの大きな少しゴワついた服、

たぶんこの男の上の方の服だろう。

めくれたシーツから、傷だらけの俺の

太ももが見えた。

カポッと着せられたような、ブカブカな

服は俺の太ももの下まであるようだ。

彼シャツ状態?

下着?ないよな?

スースーするし、俺のムスコは半分くらい

立ち上がっていた。


「すまん。苦しかったか?でも、だいぶ

元気になったから、良かった。」

「……。」

「君は、5日間位眠ったままだったから、

心配したよ。」

「5日…。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る